はじめに
Google App Engine(GAE)/Javaでは、Java仮想マシン上で動作する言語を利用することができます。例えば、JRubyやGroovyなどです。
Scalaも、コンパイルすることによりJava仮想マシン上で動作するクラスファイルを生成する言語ですので、当然、GAE/Java上で動作させることができます。
Scalaが動作するということは、ScalaでできているWebアプリケーションフレームワークであるLiftを元に作成されたアプリケーションを、GAE/Javaに載せることができるということです。
前後編で構成される本連載では、ScalaおよびLiftをGAE/Java上で動作させる方法を解説した後、サンプルアプリケーションでGoogleが提供するさまざまなAPIを利用した、GAEならではのアプリケーションを作成して、GAEでのアプリケーション作成のイメージをつかんで頂くことを目標とします。
Liftについての基本的な解説は、「Scala + Lift実践開発」をご覧ください。
対象読者
- Javaは知っているが、Scalaも学んでみたいと思っている方
- ScalaでのWebアプリケーション開発に興味がある方
- Google App Engineでのアプリケーション開発に興味がある方
動作環境
- J2SE 6.0 JDK
- Apache Maven 2.20
- Scala 2.7.7.final
Google App Engine/Java
Google App Engineについてはご存じの方も多いかと思われます。ひとことで言うと「任意のアプリケーションをGoogleが提供するクラウド環境で動作させることができるサービス」でしょうか。詳しい解説については、以下の記事をごらん頂くのが手っ取り早いと思われます。
Google App EngineでのLift
LiftのGoogle App Engineへの対応ですが、現在の安定バージョンである1.0系では、Google App EngineでのAPI制限のため、残念ながらそのままGoogle App Engine上でアプリケーションを動作させることができません。しかし、次バージョンであるLift1.1では、Google App Engineへの対応が取り込まれており、このLift1.1で構築されたアプリケーションは問題なく動作します。
とはいえ、Google App Engineでの制限により、LiftでのCommetサポートはGoogle App Engine上で動作するアプリケーションでは利用することができません。これは、Google App Engine上ではユーザーがThreadを生成できないためです。
また、データベースへのアクセスを行うLift/Mapperも、Google App Engine上でのデータストアにそのままでは対応していません。JPA/JDOを経由することで、限定的ながらLift/Mapperを利用することはできます。
Lift/Mapperについては、「Scala+LiftフレームワークのModel」を参照してください。
開発環境の構築
Google App Engineでのアプリケーション開発を行うための環境について説明します。
通常のScala/Liftの開発環境の他に、Googleが提供するGoogle App Engine用のSDKが必要になります。
具体的に必要なソフトウェアは、次のとおりです。
JDKのインストール
JDKについては、「Java SE ダウンロード」より、OSに合ったインストーラーをダウンロードしてインストールしてください。
Apache Maven、Scala、Google appengine java SDKのインストール
Apache Maven、Scala、Google App Engine SDK for Javaについては、各ダウンロードページより圧縮ファイルを取得して任意のディレクトリに展開し、展開されたディレクトリ以下のbinディレクトリを実行パスに設定します。
Google appengine java SDKは、python版とJava版がありますので、Java版(python版の下にあります)をダウンロードするように注意してください。