近日リリース予定の新しい開発ツール
――近日、ソフトウェア製品の名称やラインナップが一新されるそうですが、数多くの製品を提供されています。そこで製品ラインナップをいま一度整理していただけますか。
まず、一番需要があるコンパイラ製品について。コンパイラは最新版のバージョン12.0になり、いくつかの新機能が実装されます。主な変更点を2つ挙げると、並列化に対するサポートが大きく増えることと、最新のプロセッサに対して最適化されることです(新CPUアーキテクチャの「Sandy Bridge」を含む)。
CやC++においてはTBB3.0。また、Cilk PlusやABBが初めて導入されます(3つを併せて「インテルParallel Building Blocks」と総称)。Fortranはバージョン2008の機能であるCo-Array Fortranをサポートし、シェアメモリにも分散メモリにも対応します。
コンパイラ製品には、コンパイラとライブラリを併せた「Compiler Pro」シリーズがありますが、この製品名称を変更します(現時点では非公開、以降同様)。
分析ツールとしては「VTune Performance Analyzer」と「Thread Checker」という2つの製品が現在あり、両者とも今回ワクワクするアップデートが含まれています。
VTuneはおそらく2年ぶりの大きな更新で、いくつかの新機能を追加していますが、一番大きいのがユーザーインターフェイスの部分です。インテルParallel Studioに含まれるインテルParallel Amplifierで実装された使いやすいUIを採用し、名前も変更されます。
同様に、Thread Checkerの名称も変更されます。次期バージョンではスレッドチェック、メモリチェック、.NETをサポートします。
最後に、非常に人気の高い製品としてグリッドコンピューティング用の「Cluster Toolkit」があります。一番大きい変更点はコアのスケーラビリティで、今回最大50,000コアまで対応可能です。
コンパイラも同梱した製品は「Cluster Toolkit Compiler Edition」という非常に長い名前になっていましたが、次期バージョンにて、簡潔な名称に変更されることになりました。
――近日リリースされる新バンドル製品について。今回Linux版も提供されるとのことですが、Windows版との違いがあれば教えてください。
Linux版では、Windows版のVisual Studioに当たる統合開発環境(IDE)はなく、すべてスタンドアローンとして提供されます。それ以外のコンパイラやライブラリといった部分はすべて同じです。
――新バンドル製品と通常版との主な違いを教えてください。
Fortranをサポートしているのは新バンドル製品だけです。サイエンティフィックユーザー向けのインテル マス カーネル ライブラリも新バンドル製品だけに含まれます。分析ツールの解析結果も新バンドル製品の方が詳細に得られますし、コンパイラも新バンドル製品の方がより最適化されています。
それ以外の部分は基本的に同じで、コンパイラ言語、ライブラリ、UIなど、2つのツールは互換性があります。
――新バンドル製品はどういった用途を想定していますか?
例えば、科学技術計算といった用途が考えられます。HPC分野とほぼ同じと考えていただいてもよいかもしれません。新バンドル製品ならではの機能が必要ない場合は通常版でも十分です。
並列コンピューティングのスキルの必要性
――今後2~3年先のことを考えると、ソフトウェア開発者は並列コンピューティングについて学習しておくべきでしょうか?
HPCユーザーはもちろん並列処理について深い知識を身につける必要があると思います。
そうでない開発者についても、必ずしも専門家にならなくても構いませんが、並列処理を安心して使っていけるレベルまで習熟しておく必要はあるかと考えます。ビギナーの方はCilk Plusから入ってみるとよいでしょう。
そういった意味では、当社は開発ツール・プログラミングモデルにおいて、さまざまなレベルのニーズに応じた選択肢を提供しているので、ぜひ一度試していただければと思います。
――並列プログラミングを学習するためのオススメ教材は?
自著ですが、C++のプログラマであれば『インテル スレッディング・ビルディング・ブロック』が非常によいと思います。特に、半分くらい使って実装例を紹介していること、日本語に翻訳されていることの2点でオススメできます。
Cilk Plusに関するよいガイドも作ろうとしていますが、まだ完成していません。インテルのマルチコア開発者向けのサイトなどをウォッチしてもらえればと思います。
――ありがとうございました。
