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Visual Studio 単体テスト機能大全

Visual Studioで作る単体テスト、基本のき
(VS2010向け改訂版)

Visual Studio 単体テスト機能大全(1) 改訂版

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publicメソッド以外の単体テストを作成する

 2つ目のシナリオは、public修飾子以外のメソッドの単体テストの作成です。一般的にはpublicなメソッドの単体テストを作成することが多いかもしれませんが、privateやinternal(Visual BasicではFriend)修飾子がついたメソッドの単体テストを作成したくなることもままあります。テスト対象メソッドは先ほどのリスト1に引き算をするメソッドをprivate修飾子で作成したものです。

[リスト4]テスト対象のSubメソッド
namespace ClassLibrary1
{
  public class Calculater
  {
    //Addメソッドの定義部分

    //引数x, yの差を計算するメソッド
    private int Sub(int x, int y)
    {
      return x - y;
    }
  }
}

作成の手順

 作成の手順は先ほどと大きくは変わりません。テスト対象メソッドのブロック内でコンテキストメニューを表示し、[単体テストの作成]を選択します。ここからがポイントで単体テストの作成ダイアログで右上の[フィルタ]を選択し、[パブリックでないアイテムの表示]にチェックが入っていることを確認します。入っていない場合にはチェックを入れます。

図8 フィルタの確認
図8 フィルタの確認

 通常、このフィルタはオンになっているはずですが、念のため確認しておきましょう。フィルタがオンの状態であれば、図8のメソッド一覧部分のようにpublicではないメソッドも一覧に表示されるようになります。publicかそうでないかはメソッド部分に表示されているアイコンからも確認することができます。ここでは、先ほどからテスト対象にしようとしているSubメソッドを選択した状態で、出力プロジェクトは[TestProject1]になるように設定して[OK]を選択しましょう。Subメソッドの単体テストが作成され、リスト2のような内容になっています。

[リスト5]SubTestメソッド
/// <summary>
///Sub のテスト
/// </summary>
[TestMethod()]
[DeploymentItem("ClassLibrary1.dll")]
public void SubTest()
{
  Calculater_Accessor target = new Calculater_Accessor(); // TODO: 適切な値に初期化してください
  int x = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください
  int y = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください
  int expected = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください
  int actual;
  actual = target.Sub(x, y);
  Assert.AreEqual(expected, actual);
  Assert.Inconclusive("このテストメソッドの正確性を確認します。");
}

 このテストメソッドのひな型に対して値の設定を行い、それが済んだらAssert.Inconclusiveメソッドを削除またはコメントにして実行すれば手順は完了です。

補足・注意事項

 さて、private修飾子などのメソッドの単体テストを作成するのも普通に作成する時となんら変わらなかったように思いますが、VSによる支援に支えられている部分が多々あります。リスト5の内容はリスト2とほとんど変わらないようですが、大きく異なるのはテスト対象メソッドを含むクラスのインスタンス生成の部分です。本来はCalculaterクラスのはずが、Calculater_Accessorクラスに変更されています。

 Calculater_AccessorはVSが自動生成しているクラスで、内部的にはリフレクションの技術を利用して、Calculaterクラスのpublic以外のメソッドにアクセスするための処理を仲介してくれるクラスです。このため、このインスタンスを使うと直接Subメソッドを呼び出すコードが書けるという状態になっています。ただし、このクラスはCalculaterクラスを継承しているわけではないので、テストメソッド内で型判定やキャスト処理が必要になるようなケースでは注意が必要となります(次の節で後述します)。また、このようなアクセッサーと呼ばれるクラスがある場合、テストプロジェクト内には、図9に示すようなClassLibrary1.accessorというファイルが含まれています。

図9 ClassLibrary1.accessorの確認
図9 ClassLibrary1.accessorの確認

 中身を見てもよく分からないようなファイルですが、このファイルを消してしまうとアクセッサーを利用している部分がコンパイルエラーになってしまいますので注意しておきましょう。

次のページ
InternalsVisibleTo属性を利用した作り方

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト りばてぃ(リバティ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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