publicメソッド以外の単体テストを作成する
2つ目のシナリオは、public修飾子以外のメソッドの単体テストの作成です。一般的にはpublicなメソッドの単体テストを作成することが多いかもしれませんが、privateやinternal(Visual BasicではFriend)修飾子がついたメソッドの単体テストを作成したくなることもままあります。テスト対象メソッドは先ほどのリスト1に引き算をするメソッドをprivate修飾子で作成したものです。
namespace ClassLibrary1 { public class Calculater { //Addメソッドの定義部分 //引数x, yの差を計算するメソッド private int Sub(int x, int y) { return x - y; } } }
作成の手順
作成の手順は先ほどと大きくは変わりません。テスト対象メソッドのブロック内でコンテキストメニューを表示し、[単体テストの作成]を選択します。ここからがポイントで単体テストの作成ダイアログで右上の[フィルタ]を選択し、[パブリックでないアイテムの表示]にチェックが入っていることを確認します。入っていない場合にはチェックを入れます。
通常、このフィルタはオンになっているはずですが、念のため確認しておきましょう。フィルタがオンの状態であれば、図8のメソッド一覧部分のようにpublicではないメソッドも一覧に表示されるようになります。publicかそうでないかはメソッド部分に表示されているアイコンからも確認することができます。ここでは、先ほどからテスト対象にしようとしているSubメソッドを選択した状態で、出力プロジェクトは[TestProject1]になるように設定して[OK]を選択しましょう。Subメソッドの単体テストが作成され、リスト2のような内容になっています。
/// <summary> ///Sub のテスト /// </summary> [TestMethod()] [DeploymentItem("ClassLibrary1.dll")] public void SubTest() { Calculater_Accessor target = new Calculater_Accessor(); // TODO: 適切な値に初期化してください int x = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください int y = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください int expected = 0; // TODO: 適切な値に初期化してください int actual; actual = target.Sub(x, y); Assert.AreEqual(expected, actual); Assert.Inconclusive("このテストメソッドの正確性を確認します。"); }
このテストメソッドのひな型に対して値の設定を行い、それが済んだらAssert.Inconclusiveメソッドを削除またはコメントにして実行すれば手順は完了です。
補足・注意事項
さて、private修飾子などのメソッドの単体テストを作成するのも普通に作成する時となんら変わらなかったように思いますが、VSによる支援に支えられている部分が多々あります。リスト5の内容はリスト2とほとんど変わらないようですが、大きく異なるのはテスト対象メソッドを含むクラスのインスタンス生成の部分です。本来はCalculaterクラスのはずが、Calculater_Accessorクラスに変更されています。
Calculater_AccessorはVSが自動生成しているクラスで、内部的にはリフレクションの技術を利用して、Calculaterクラスのpublic以外のメソッドにアクセスするための処理を仲介してくれるクラスです。このため、このインスタンスを使うと直接Subメソッドを呼び出すコードが書けるという状態になっています。ただし、このクラスはCalculaterクラスを継承しているわけではないので、テストメソッド内で型判定やキャスト処理が必要になるようなケースでは注意が必要となります(次の節で後述します)。また、このようなアクセッサーと呼ばれるクラスがある場合、テストプロジェクト内には、図9に示すようなClassLibrary1.accessorというファイルが含まれています。
中身を見てもよく分からないようなファイルですが、このファイルを消してしまうとアクセッサーを利用している部分がコンパイルエラーになってしまいますので注意しておきましょう。