呼びだされるメソッド
Androidのフレームワークから呼び出されるメソッドは、onCreateメソッドだけではありません。
Androidでは、複数の処理を同時に実行できますが、画面の最前面に表示されるアプリケーションは1つだけです。作成時、最前面になったとき、そうでなくなったとき、不可視になったときなど、アプリケーションはさまざまな状態となります。
そうした状態の変化があったときに、Activityクラスで定義している特定のメソッドが呼び出される仕組みになっています。
HelloAndroidクラスでは、onCreateメソッドしかオーバーライドしていませんが、Activityクラスには、アクティビティの状態に対応した次のようなメソッドが定義されています。アプリケーションでは、必要に応じて、これらのメソッドをオーバーライドします。
各メソッドが呼ばれるタイミングをまとめると、次のようになります。
メソッド名 | 呼ばれるタイミング |
onCreate() | アクティビティの起動時 |
onStart() | アクティビティが表示されたとき |
onResume() | アクティビティとユーザーとのやり取りが可能になるとき |
onPause() | アクティビティが前面でなくなる前 |
onStop() | アクティビティが不可視になった後 |
onRestart() | アクティビティが再度開始される前 |
onDestroy() | アクティビティが破棄される前 |
メソッドの追加
実際にメソッドが呼び出されることを確かめてみます。HelloAndroid.javaに、onCreateメソッド以外のメソッドを追加して、実際に呼び出されるかどうかを見てみましょう。
オーバライドするメソッドを追加するには、Eclipseの[ソース]メニューから、[メソッドのオーバーライド/実装]を選択します。表示されたウィンドウで、次のように追加したいメソッドにチェックします。
OKボタンをクリックすると、ソースにメソッドが追加されます。次に、このメソッドが呼びだされたことが分かるように、次のように、ちょっとしたコードを追加します。
@Override protected void onStart() { super.onStart(); System.out.println("onStart()が呼び出された!"); }
LogCatビュー
通常のJavaアプリケーションのように、System.out.printlnで文字列を表示してみましょう。ただし、当然ながら、System.out.printlnでは、Androidの画面には文字が表示されません。この出力は、EclipseのLogCatビューに表示されます。EclipseのLogCatビューを表示するには、Eclipseの[ウィンドウ]メニューから、[ビューの表示]-[その他]で表示されるダイアログから、Android以下のLogCat行を選択してOKボタンをクリックします。
Android SDKにはログ出力の機能があり、本来LogCatビューは、その出力を表示するものです。ただSystem.outに出力されたものも、同時に表示されるようになっています。
LogCatビューは、あらゆるログ出力が表示されますので、目的の表示が埋もれてしまいがちです。そのような場合にはフィルターを作成して、表示行を絞り込みます。
フィルターを作成するには、LogCatビューにある+アイコンをクリックします。次の図は、プロセスID(pid)でフィルタリングした例です。
エミュレータをいろいろ操作してみましょう。その時の状態に応じて、メソッドが呼び出されている様子が、LogCatビューに表示されるはずです。
最後に
今回は、クラスに関連する基本的な構文と、Androidアプリケーションの基本となるActivityクラスを解説しました。次回は、ビューを用いたAndroid画面の処理と、Java SEの基本APIを紹介することにします。
参考資料
- 『ゼロからのAndroidアプリケーション開発入門』 鈴木哲哉 著、ラトルズ、2011年1月
- 『基礎からのAndroidプログラミング』 I/O編集部 著、工学社、2011年1月
- 『日経ソフトウェア 2011年2月号』