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米Adobe社 Greg Rewis氏インタビュー
HTML5/CSS3、JavaScript - 新たなWebの到来

~ Dreamweaver CS 5.5からみるWebの新技術

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2011/08/12 14:00

目次

刻々と変化するウェブ技術を追いかけ続けること

特にHTML5など、Webの技術は常に変化し続けていくものですが、仕様変更による対応などは大変でしたか?

 ご指摘の通り、大変な作業です。仕様がすぐに変わるため、プロダクトチーム、商品担当チームもそうですが、私自身も追いついていくのが大変です。アドビシステムズとしては、HTML5の標準化団体「The World Wide Web Consortium(W3C)」の一員でもあるため、その中でどういうような作業が行われ、どういった方向性で変化していくのかを、先取りして理解できるという強みがあります。

 特に、HTML5というのは刻々と変わりゆく標準規格なため、どの機能を実装するのかというのを十分に考えたうえで実装しているという現状があります。ユーザーの方で「このフィーチャーを使いたかったのに、今回のバージョンには入っていないの?」という声もありますが、実情は、1年前の製品開発時にフィーチャー自身が存在しなかった、もしくは、存在したとしても全く違った形のものであったというという状況もあります。変化の激しいものに追随して作りこんでいくというのは、すごく大変な作業であることは事実です。

 仕様自体がいつの段階で正式な仕様として固まるのかということだけでなく、たとえ正式にこの仕様ですということで完了が得られたとしても、どのブラウザがサポートするのかというのもまた大きな問題なんです。サポートしているブラウザが1~2つしかないのか、そのために私たちはその機能を取り込むのか取り込まないのか、もしくは様子見ができるのかできないのか。そのあたりはとても難しい問題です。開発者チームでは、日々議論が飛び交っており、どのフィーチャーをサポートする/しないか、待つ必要があるのか。また、待てる猶予があるのか/無いのかをうまく推し量ってフィーチャーを決定し、製品に組み込むという段取りを取っています。

 ちなみに、私にとって事態はもっと深刻です。プロダクトチームであれば、「このフィーチャーセットで行く」と決定してから6~8か月の期間を掛けて開発作業を進めればよいのですが、私の場合は、世界各地で頻繁に、週単位でWebカンファレンスなどを行っております。一度行ったプレゼンと同じものを2週間後に行おうとすると、その2週間の間に仕様が変更になることもあり、常に変更していっていつもそれに話を合わせていかなければならないということで私にとって大変な問題なんです。

製品に設定されたフィーチャーセットが仕様の変更によりアップデートされた場合、製品のアップデートは行われますか?

 できる限りアップデートで追随していくという努力はしています。例えば、Dreamweaverの5から5.5へのアップデートにおいても、全体状況を網羅し、絶対にフィックスしなければいけない(変更が必要な)ものはないだろうかということを十分に精査して考えて展開していきました。それでも、ユーザーの方々にとっては「遅すぎた」「後手に回っている」とお叱りを受けることもあります。何はともあれ、今の状況というのが大変流動性の高い環境下なため、全てが思った通りというわけにはいかないというのが往々にしてあります。

モバイル端末へ対応を特化 - jQuery、PhoneGapの採用

現状で対応されているモバイル端末以外、例えばWindows Phoneなど、別のものに対応する予定は?

 できれば対応したいと思っています。古いWindows Phoneというのはあまり魅力的ではなかったんですが、Windows Phone 7というのは有望であると思っております。市場での占有率が高まれば、十分にそれに対応した形のものを作っていきたいと思っておりますし、今回のDreamweaverからPhoneGapフレームワークを導入できたため、そういった意味ではWindows Phone 7も対応が可能です。加えて、BlackBerryにも対応できるという能力も持ち合わせています。ゆくゆくはそういった方向性で幅広くと考えております。

 PhoneGapを導入するにあたり、多くのユーザーの方がこの決定を喜んでいただいて、期待していただいていると感じております。すでにPhoneGapを使ってアプリケーションを作られた方もいるでしょう。今後もさらに、ユーザーの方々のニーズに耳を傾けながらうまくお使いいただけるような形に持っていきたいと思っております。

他に似たようなフレームワークもあると思いますが、PhoneGapを選定された理由は?

 まず、jQueryを選択した理由は大変簡潔で、1番人気のあるフレームワークだったためです。そこから波及したjQuery Mobileの存在や、jQueryのコミュニティと既に密に作業をさせていただいているということもあって、jQueryを選択しました。

 アドビシステムズには、社内でjQuery Mobile専用のエンジニアがいます。アドビシステムズの社員として雇用されていますが、その方の責任はあくまでもjQuery側の仕事を100%するという専用のエンジニアです。これは、私たちがコミュニティにこれだけコミットしているんだということ、および私たちが貢献させていただきたいという意思を表しているとも思うんですね。私たちにとっても、コミュニティの中でいろいろな密なつながりができることが、とてもメリットになります。

 PhoneGapを採用した理由は、HTML5、CSS、JavaScriptにとても近い関係にあったという点です。もちろん、SproutCoreなどの他のフレームワークもすばらしいのですが、論理的な組み立てでいくと、HTML5/CSS/JavaScriptとなるとPhoneGapが妥当かと思いました。

 他のフレームワークに関してはまず、JavaScriptありきでそこからHTMLをというような段取りになります。しかし、PhoneGapはHTMLを使って、CSSでレイアウトをし、JavaScriptで機能を付け足し、というように作成できます。ツールがどういう形で相互接続しているのかを理解でき、過程のすべてを想像ではなくビジュアル的にブラウザで見ることが可能なのです。私自身も最先端のところでデザインをしているので、最終的にどうできあがるかを待たなくても直感的に作業できるという点が、1つの優位性ではないかと感じました。どちらかというとDreamweaverのユーザーはビジュアル志向が高い方なので、そういう方にとってはやはりPhoneGapだというのが、選択の理由です。


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著者プロフィール

  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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