はじめに
第1回目の本稿は、Web APIの説明と、開発を行うための準備として、開発環境のインストールについて解説します。
対象読者
Androidアプリケーションの開発を始めたい方で、JavaとEclipseの基本的な知識がある方を対象とします。
Web APIとは
本連載であつかう「Web API」とはどういうものかを、まず始めに説明しましょう。
Web APIとは、ひとことで言えば、インターネット(Web)を経由して、何らかの処理を行うための、手段や決めごと(API)のことです。APIとは、Application Program Interfaceの略で、直訳すると、あるプログラムを、他のアプリケーションから利用するためのインターフェース、という意味になります。
一般的なプログラムでは、関数やサブルーチンと呼ばれるひとかたまりの処理を作成し、それをプログラム内のほかの場所から呼び出すことができます。Web APIを利用すると、それと同じような感覚で、インターネット経由で別のサーバー上にあるプログラムを呼び出し、その結果を受け取ることができるようになります。
Web APIの特徴
Web APIでは、その名のとおり、Web(HTTP)の仕組みを利用して、プログラムの呼び出しを実現しています。HTTPとは、一般にWebページを表示するために用いられるプロトコルなのですが、Webページ以外のデータを取得することもできます。またHTTPは、たいへんシンプルなプロトコルのため、Javaだけでなく、多くのプログラム言語から容易に利用できるのも、利点の一つです。
Web APIでは、HTTPを利用して、プログラムの呼び出しと、そのプログラムの実行結果を取得します。実行結果は、通常、XMLやJSONと言った、テキストベースのデータ形式です。そのためWeb APIは、プログラム言語や特定のOSなどに依存することなく、非常に多くの場面で活用することができます。
本連載では、このWeb APIを利用して、かんたんにAndroidアプリを作成する方法を紹介します。
Web APIのデータ処理
では次に、AndroidアプリからWeb APIを利用するためには、具体的にどうすればよいのか、ひととおり説明しましょう。
Web APIの例
Web APIは、GoogleやYahoo、Twitterなど、有名どころのWebサイトはもとより、個人が運営するWebサイトに至るまで、数多くのサイトで公開されています。
ここでは、具体的に、かんたんなWeb APIを見てみましょう。ブラウザで以下のURLを入力してみてください。
これは、駅データ.jpというサイトが公開している、路線の駅一覧を表示するWeb APIです。ブラウザには、JR山手線の路線情報がXML形式で表示されるはずです。
では今度は、以下のURLにアクセスしてみましょう。
このURLから取得できる情報は、先ほどのXMLと同じ内容なのですが、データの形式がJSONになっています。JSON(JavaScript Object Notation)は、その名前が示すとおり、JavaScriptの表記を利用したデータ交換用のフォーマットで、数値や文字列などをテキストで表現したものです。なおJSONは、JavaScript専用の形式ではなく、Javaでも利用することができます。