手軽さと強固なセキュリティーを両立したPaaSを提供
続けてパイプドビッツの林哲也氏が登壇し、PaaSベンダーの立場からSPIRALを紹介。
同社では「情報資産の銀行」というコンセプトを掲げている。それを具体的にPaaSとしてシステム化、プラットフォーム化したのがSPIRALだ。すでに銀行や区役所などを含め、5000アカウント以上の実績がある。DBを中心にWebプラットフォーム、一覧表、会員認証といたWebのコンポーネント、メール配信といったコンポーネントを組み合わせ、素早くアプリケーションを開発することができる。
このコンポーネントの組み合わせだけでなく、PHPやJavaScriptにより、個別要件に合わせてプログラミングできる。APIがいろいろ用意されているので、外部システムやスマートデバイスと連携したシステムを開発することが可能だ。
これにより、SPIRAL上でキャンペーンサイトやアンケート、セミナー管理、給与明細といった個々の顧客の課題を解決するためのアプリケーションを作る、あるいは既存のものをインポートして使う、といったことができる。
PaaSはIaaSとSaaSの間にあり、開発、運用のクラウドを提供しているのだが、林氏は「業務系PaaSと開発系PaaSの2つに分けられる」と考えている。開発系PaaSは、開発に必要なミドルウェアのレベルまでをクラウドにして、各種の言語を使い、柔軟性の高い開発を可能にする。
一方、業務系のPaaSでは、業務アプリケーション開発で必要となるソフトウェア部分までが提供される。林氏は「業務系PaaSは、PaaSの導入スピードと、開発系PaaSのフィット感を合わせ持ったPaaSになる」とイメージを語る。
林氏は、業務系PaaSがもたらす価値として以下の4点を挙げる。
- 開発スピードと柔軟性の両立
- 運用・保守の手離れが良い
- セキュリティーの心配が減る
- 継続的な機能拡張による新たな価値の提供
この中でセキュリティについて、SPIRALでは、セキュリティ面で実績のあるソフトウェア部品が用意されている。もう一つのSPIRALならではの強みとして、メール配信が必要なシステム開発が得意なことが挙げられる。例えば高速一斉配信、セグメント配信、記念日配信、文面差し込みなどを簡単に組み込みことができる。また、なりすましを防ぐDKIMに対応している。
林氏は最後にSIer、Web制作会社にSPIRALを活用するために提供されているプログラム、SPIRAL Developers Program略してSDPを紹介し、担当セッションを終了した。
ここでモデレータの吉田氏が再登壇し、セッションのまとめを行った。クラウドのベンダーは横並びで、差が分からないことが多い。どこも同じようなことを言っておかないと、選択の土俵に上がれないからだ。しかし吉田氏は「違いは必ずある」と語る。例えば今回のSPIRALでは、DB上において個人情報などセンシティブなセキュリティはベンダー側が持つと言っている。その他のベンダーには別の得意分野があり、「ユーザー側が、複数の選択肢の中から選択可能であることが、非常に大事」(吉田氏)。
またクラウドでは、同じアーキテクチャーによるコミュニティーができるので、そこで自分たちの技術力を補う人や会社を紹介される、案件を回すとなどのパートナーシップが生まれることが期待できる。
最後に吉田氏は「提供できるメニューの幅が、新しいビジネスを生み出す原動力になる」と、PaaS活用によって選択肢を増やすことがSIerが生き残る一つの道になりうることを示唆し、セッションを閉じた。