空間情報の表現方法
つぎに重要になるのが撮影する高さです。高度の上下によって撮影できる範囲は異なってきます。遠くを見通して、より多くの空間情報を共有したい場合には、高さを保つ必要があるのです。では具体的に全天球撮影では、どのように行われるべきか、RICOH THETAを使って検証を試みてみました。
最初に手軽な方法が「全天球カメラの遠投」です(図4)。ご覧いただいた通りブレていますし、撮影タイミングもズレますので、まったくもってオススメできないものとなりました。
次に検証を行ったのが「全天球カメラを釣竿に吊るす」です(図5)。こちらは長さ3mの収納式釣竿を使って撮影を行いました。ご覧のように、ブレもなく安定して撮影できるため効果的と判断できました。
撮影風景は図6のように涙ぐましい努力の結晶ではありますが、自重が大きな全天球カメラでは、釣竿レベルでは厳しい状況も分かってきました。また、太く大きな釣竿を使う場合は、収納サイズも大きくなってしまうため、可搬性が損なわれるという新たな課題も見えてきました。
より大きな自重の全天球カメラにも耐え、さらに高度を上げて撮影すべく試用したのが「磯網」です(図7)。
磯釣りに用いられる網で、長さも6mまで伸ばせ太さも十分で収納サイズも小さく抑えることができました。
本文を途中からご覧いただいた方の中には、「これのどこが研究なんだ…」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、こういった地道な努力の一つ1つが研究成果へと繋がっていきます。…たぶん…(笑)。