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イベントレポート

【CEDEC2014】操作はどうする? 酔わないためには? ――先駆者たちが語る「Oculus Rift」のVRゲーム開発で注意すべきポイント

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開発環境はUnityが人気

 最後のパートでは、Oculus RiftのVRゲーム開発経験者だからこそ言える、有効な開発手法や工夫、苦労している点について語られた。

Oculusあるある大事典
Oculusあるある大事典

 開発環境は、パネリスト全員がUnityと答えた。Unreal Engineを使う場合もあるが、パッケージや情報の豊富さからUnityが好まれている。近藤氏は初期はネイティブで開発していたようだが、パフォーマンス面が多少劣ったとしてもやはり「Unityの方が圧倒的に楽」だと言う。

 井口氏は、UnityのPro版でないとOculus Rift開発ができないという制約があり、今後のバージョンアップでフリー版でもOculus Rift開発ができるようにならないかと期待を寄せた。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの伊藤氏は、今すぐ実現できるとは言えないが、調整中であると回答(注1)。井口氏によると、有志によって開発されたソフト、OVRAgentを使えば、速度は落ちるが、フリー版でもOculus Rift開発が可能になるとのこと。

注1

 Oculus Connectにおいて、フリー版のUnityでもOculus Rift用アプリケーションの開発が可能になったことが9月20日(現地時間)に発表された。

 Oculus Rift DK2の登場で、さらなる高解像度や高いフレームレートの維持が要求されるようになったが、フレームレートをキープするためには高速化にも気を配る必要がある。高速化について何か工夫している点はあるのだろうか。

左:近藤義仁氏、中:井口健治氏、右:桜花一門氏。
左:近藤義仁氏、中:井口健治氏、右:桜花一門氏。

 桜花氏は「過去にコンシューマーゲームのソフトを使った経験が生きており、見えないものは動的に消したり、LOD(Level of Detail、モデルの精度を切り替える技術)をよく使う」などの工夫を行っているという。

 井口氏は、高速化のボトルネックになるのはCPUよりむしろGPUであるとする。しかし、GPUの能力を高くするため、SLI(Scalable Link Interface)などビデオカードを複数枚刺したものを使おうとすると、映像を送り出すタイミングに遅延が生じてしまうため、問題があるそうだ。「GPUを強化する場合には複数枚刺しではなくて、1枚で高性能なカードにした方がいい」と井口氏。

 近藤氏は、PCの性能に応じて、動的に映像を同期したり、アンチエイリアスを切ったりするなど、実行時にフレームレートをキープする工夫をしている。フレームレートを維持しないと、はじめてOculus Riftをつけた人が、「気持ち悪い」という感想を持ち、今後Oculus Riftに親しんでいく機会を失ってしまう。そうなるよりは、多少画質を落としてでもフレームレートをキープしたい、とした。

作って終わりではない、体験してもらうまでがOculus RiftのVRコンテンツ

 最後に、こうして苦労して開発したOculus RiftのVRコンテンツを人々に見てもらうために、Oculus Riftの作品展示時の注意、また広くOculus Riftを普及させるための工夫についての話題になった。

 CEDEC 2014で「Hiyoshi Jump」という実写映像を使ったスーパージャンプ体験ができるVRコンテンツを展示した伊藤氏は、Oculus Riftの体験には付き添って操作を手助けする人が必要だという。「座ってやるのが一番いいが、それだとコンテンツに縛りがある。立ってやる場合は、ユーザーが予想外の挙動をする場合があるので、付き添いは絶対必要」(伊藤氏)。

 今後のOculus Riftコンテンツの市場性について近藤氏は、まだプラットフォームが整備されていないと言う。マネタイズの仕組みがまだ無いため、予算をつけたり、研究したりといったことは難しい。すでに他のコンテンツのために作っているキャラクターデータ、背景などをうまく活用し、低コストでデモを作り、普及させることが必要だとした。

 司会の渡邉氏は「VRゲーム開発はまだ始まったばかり。まだ知見も少ないが、先人の意見を参考に、ぜひ一緒にVRゲーム開発をやっていきたい」と呼びかけ、セッションを締めくくった。

参考情報

 Oculus開発の一番詳細なドキュメントは、Oculus VR社の「Best Practices Guide」があり、有志による日本語訳も公開されている。本日の登壇者、近藤氏が中心となってまとめている「楽しく使う Oculus Rift DK2」は、DK2の設定における注意点が詳しく説明されている。

 

 また、本セッションで登壇した桜花一門氏らOculus Festival in Japanのメンバーを著者に迎えた解説書『Oculus Riftで俺の嫁と会える本(仮題)』が、翔泳社から2014年内に刊行予定。Oculus Riftの楽しみ方や、UnityとMMDモデルを使ったコンテンツ開発を紹介する。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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https://codezine.jp/article/detail/8091 2014/09/26 14:00

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