指標をアクションにつなげた成功事例
ここからは指標をアクションにつなげて改善に成功した話として、「タウンワーク」で成果を大幅に高めた事例をお話しします。
問題点の整理
タウンワークでは会員向けに、求人を紹介するメールを送信しているのですが、そこからの応募数が低いという問題を以前から抱えていました。少し調べてみると、次のような問題点があることが明らかになりました。
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1週あたりの通数が少ない
- 1桁でした
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ユーザーに合った適切な情報が送られていない
- メールのタイトル、内容が全メールで同じ
- パーソナライズされていない
- 登録内容と紹介求人のミスマッチ
そこで、これらの問題点を解決するべく、次のように指標(KPI)とアクションを設定しました。
- 指標(KPI)
- ・メールからの応募数(CV数)
- 「通数が少ない」ことへのアクション
- ・配信頻度を増やす
- ・種類を増やす
- 「ユーザーに合った適切な情報が送られていない」ことへのアクション
- ・タイトル、内容の見直し
- ・求人抽出ロジックの改善
メール配信の改善
アクションの設定では、会員を年齢や職業などさまざまにセグメンテーションして、指標であるメールからの応募数を細かく見ていきました。メールの配信については「通数が少ない」という問題点が挙がっていましたが、それ以前に「この会員に対し、なぜこんな時間にメールを配信するのか」という現状が明らかになりました。そもそも配信時刻の設定に、会員のセグメントが考慮されていないようでした。
これを、次のように改善しました。
改善として何をしたのか? この答えはシンプルです。
「セグメントごとに、
適した内容で、
適した時間に配信した」
というだけのことです。デモグラメール[2]は、例えば主婦と学生には次のように配信しました。
- 主婦に配信するデモグラメール
- ・主婦向け求人のみに絞る。
- ・家事などの忙しい時間を避ける。
- 学生に配信するデモグラメール
- ・学生から人気のある求人のみに絞る。
- ・昼間は学校に行っているので夜に送る。
一方、レコメンド(おすすめ)メールは次のように改善を行いました。
- 「検索率」をベースに時間を決める
- ・昼、夕方、夜で波があるがピークが20〜22時にくるため、送信時間を20時に決定。
- ・データはBigDataから取得。
- 内容はBigDataチーム独自のロジックから抽出
- ・ユーザーが見た情報と求人の関連をスコアリング。
これらはまさに、Alistair Crollさんの指摘である「いかにデータを細かくするか」「セグメンテーションする(ユーザーを分類する)」「時系列を無視した平均化はダメ」を実施したものです。
[2] デモグラはデモグラフィックの略で、年齢や性別、職業など人口統計学上の属性のこと。デモグラメールはこうした属性別に送信するメール。