「My Starbucks」と呼ばれる、スターバックスをより楽しむための会員サービスの拡大を通して取り組んできたポイントと、そこにAWSをどう絡めてきたかが解説され、非常に興味深いセッションとなりました。
オンラインサービス「My Starbucks」の変遷と課題
2011年3月に始まった会員向けオンラインサービス「My Starbucks」。2012年3月に有料のコーヒーセミナー「Coffee Seminar」をスタートさせてから、さまざまなサービスを「My Starbucks」に連動させる形で展開してきました。プリペイドカードの「スターバックスカード」は現在そのデザインパターン数が100を超え、人気デザインのものは発売日に完売してしまうという盛況ぶりです。紛失時の残高復旧機能やオンライン入金・オートチャージ機能なども充実してきています。
これらサービスと共にスターバックスジャパン社は成長を遂げてきましたが、一方で顕在化してきた課題もあります。スターバックスの掲げる「4th place」(1st:顧客の家、2nd:職場や外出先、3rd:世界中のスタバ店舗、ONとOFFの交流地点に続く位置付け。デジタル・バーチャルな世界)として顧客に利用してもらうためには何をすれば良いのか? スターバックスコーヒージャパン株式会社 ファイナンス本部 情報システム部 カスタマーサービスチームの野溝忠利氏は、「4th Place」実現のために構築された、日本のマーケットに合わせた日本オリジナルのシステム「Customer Facing System」における現状と改善点について解説しました。
「Customer facing system」には3つの特徴があると言います。「1. すべてのシステムが会員認証基盤と密に結合」していることで、非常に短い期間でサービスを展開、稼働させることができています。2012年頃から急激に増加し始めた「2. スマートフォンによるアクセス数」は2013年には半数を超え、現在は全体の7割以上を占めるまでになっています。またこのようなアクティブ率の高いユーザーが増えることで、「3. 会員数や取引高の増加」も目覚ましいものとなりました。
しかし一方で、これら特徴はそのまま課題として浮き彫りになりました。密結合となっていることで障害発生時の影響範囲が連鎖的に広がってしまい、アクセス数増加が急激にあった場合にその瞬間的な変化に対応しきれない、アプリケーションレイヤーでは解決できない急速な会員増や取引増への対応といった課題を解決しなければなりませんでした。