「IBM UrbanCode」で実現できる開発プロセス標準化のメリット
「Wi2様にとって、UrbanCode Deployはデプロイ自動化ツールだけでなく『ドキュメント化ツール』として評価されました。最近は、プロセスを可視化し部門間のコミュニケーションを良くしたいというモチベーションでUrbanCode Deployをご採用いただくお客様が多くなっています」と黒川氏は話す。
IBM UrbanCode Deployは、同社が2013年に買収した製品である。デプロイプロセスを設定する専用のGUI画面に、パレット上に用意されたパーツを使ってビジュアルに定義し、保存しておくことができる。既存のスクリプトを呼び出すことも可能だ。Wi2では、この機能をプロセスの標準化のためにも活用している。
UrbanCode Deploy上で定義したプロセスは、サーバ上で一元管理できる。各環境にデプロイされているアプリケーションの種類やバージョンを、ダッシュボード上で一覧化して確認することも可能だ。
また、システムでの自動化手順だけでなく、人による承認フローもプロセスの中に組み込むことができる。例えば、特定のデプロイ作業を「アプリケーション管理者」と「運用担当者」の双方から承認された段階で、初めて自動実行するといった運用上の「ルール」まで定義しておくことができるのだ。スピードと品質の向上、手動のデプロイ作業に起因するエラーの削減に加え、「誰がいつデプロイしたか」「誰が承認したか」をログとして記録できることで、監査や証跡にも利用できる。
DevOpsツールとしてのUrbanCode Deployが持つ大きな強みの一つは、プロセス定義に対応するプラグインの多さである。以下に挙げるとおり、多様なWebサーバ、データベース、ビルドツール、構成管理ツール、テストツールなどに対応している(2015年12月15日時点で146種類)。
継続的インテグレーション(CI)を実現するためのビルドツールとして開発者からの支持が厚い「Jenkins」とUrbanCode Deployを組み合わせて利用することも可能だ。「開発部門だけでなく、運用部門、テスト部門などを含めた全社的なDevOpsを考える場合に、ビルドには開発部門が慣れているJenkins、デプロイには各部門間で理解しやすく可視化されたビジュアルなUrbanCode Deployを利用するという選択も実際に行われています」と黒川氏は言う。
また、UrbanCode Deployでは現在OpenStackへの対応も進めており、OpenStackのオーケストレーション機能である「OpenStack HEAT Templates(HOT)」をビジュアルにデザインできる機能も提供している。アプリケーションだけでなく、インフラのデプロイにも拡充することで、将来にわたりDevOpsの「標準ツール」として使い続けられる拡張性を備えている。
ハイブリッドクラウドにおける運用負荷の増大、そしてシステム開発におけるリリースサイクル短縮への要請といった課題にチャレンジし、IT部門の価値を企業が再認識していくために、「DevOps」に取り組むことは、今後あらゆる企業で重要になっていくだろう。
多彩なツールと提案力で「ハイブリッドクラウド」の課題解決をサポート
今回は、特に「DevOps」にフォーカスしたが、これに限らず、IBMでは、ITインフラの「ハイブリッドクラウド」化によって企業が抱える新たな課題に向けたソリューションを日々拡充している。
例えば、2015年11月には、企業におけるクラウドサービスの調達や運用、管理を行うソフトウェアを開発する「Gravitant」の買収を発表した。同社のソフトウェアを使うと、企業のIT管理者は、さまざまな企業が提供するコンピューティングサービス、ソフトウェアサービスの機能や価格の比較、評価、購入、そして購入後のサービスの管理を、統一されたコンソール上で一括して行うことができるようになるという。ハイブリッドクラウドの管理を合理化するための新たな選択肢として期待されており、IBMでは今後、このソフトウェアをSaaSとして提供することを予定している。
グローバルでの多くのベストプラクティスを持つ日本IBMのコンサルティング力と充実したツール群は、ハイブリッドクラウド環境の新たな課題に取り組むすべての企業にとって心強い味方となるはずだ。
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