TensorFlowの登場と今後の機械学習・深層学習の展望
続いてシバタ氏は昨年末に公開されて大きな反響を呼んだGoogle発の深層学習フレームワーク「TensorFlow」についての解説に移りました(※CodeZineにて詳細なシバタ氏の解説記事を読むことができます)。TensorFlowは、深層学習の構築に必要な線形代数を表現し、GPU等の分散処理技術を使って高速に計算するためのライブラリです。PythonやC++から簡単に扱うことができます。
TensorFlowでできる深層学習の例としては、手書き文字の認識や機械翻訳、イメージ内にある物体の識別などがあります。従来であれば非常に手間の掛かったこういった作業がTensorFlowを使うことで行えるというのは分析を行なう者にとっては嬉しい部分でした。続けてシバタ氏は、デモとして実環境内で環境構築を行い、画像認識をさせる手順をやって見せることで、その簡単さ、凄さをアピール。
「料理の仕方」で例えると「"ポチッとな"でできる所まで来ている」という機械学習に対して、深層学習は「道具はあってそれを使うことができるのであれば利用できる」という位置付けにある、とシバタ氏は現状位置を説明しました。ここでの「道具を使う」とは「オープンソースを使ってコーディングができる」という意味となり、このオープンソースがTensorFlowとなります。
セッションの最後に、シバタ氏はある発表で公開された一枚のスライド(が映っている写真)を使い、今後の展望について以下のようにコメントして発表を結びました。
「機械学習をできる人だけが問題を定型化することでアイデアが出ているのが現状だが、皆が使うと凄いことが起こるのではないか。特定分野における"ドメインナレッジ"を持つ人が、その業界にいるからこそ使えるデータを機械学習で使って問題を定形化できたら多様なアイデアが生まれるのではないかと思う。機械学習を学ぶコストはどんどん下がってきているし、今後も下がっていくことで本当に予想しなかったことが起こるかも知れません。」