後編は技術詳説とユースケースのデモ
約10分間の休憩を挟みセッション後半に登壇したのは、茂氏同様、古手川氏が率いる部署のソリューション・エンジニア、早川博氏である。
早川氏は、GraalVMの利用形態として、シングルバイナリ生成装置、組み込みランタイムの詳細を解説した。
シングルバイナリ生成装置とはつまり、GraalVMを使うと、JavaバイトコードからのシングルバイナリのNative Imageを生成できるということだ。Native Imageにすることで、ランタイムの起動時間の削減や、パフォーマンスが大幅に向上する。そのNative Imageを生成する仕組みや、Native Imageがはまるユースケース、Native Imageのパフォーマンスなどが紹介された。「Native Imageは高速起動・高速スケールが求められるユースケースに適しています」(早川氏)
第三の利用形態、組み込みランタイムとは、Oracle DBなどの製品やOpenJDKなどの環境に組み込むことで、製品固有の言語以外の言語を実行可能にするなど、多言語対応の拡張を行うというものだ。もちろん、組み込みのコード例なども紹介された。
OCHaCafeの醍醐味はデモがあること。Oracle Cloud上にデモ環境作るところから見せるのも、OCHaCafeの特長だ。今回は、GraalVMの多様なユースケースのうち、いくつかについてデモが行われた。
実はデモを含めたコンテンツ作りには「非常に苦労している」と古手川氏。「メンバーは通常の仕事をしつつ、裏で命を削る思いでコンテンツ作りをしているんです」(古手川氏)
その苦労は参加者には伝わっており、「参加者によるTwitterの反応は、その苦労をいたわるようなものもたくさんあったりする」と古手川氏は苦笑を浮かべるが、参加者からのフィードバックの一つひとつが、OCHaCafe運営のモチベーションになっているという。
エンタープライズエンジニア向け勉強会「OCHaCafe Premium」の開催も
今後、OCHaCafeはさらなる展望を検討しているという。それがアーキテクトやエンタープライズエンジニア向けの「OCHaCafe Premium」の開催である。
「Premiumのコンセプトは、より実践的なものになると思います。例えばOracle Cloudだから考えなければならない可用性の条件やセキュリティなど、Oracle Cloudに寄ったセッションを展開する予定です」(古手川氏)
今年9月、米サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2019」で、Oracle Cloudの無料トライアルに、「Always Free」という期限無しでOracle Cloudが利用できるプランの追加されることが発表された。「Oracle Cloudを使う敷居はどんどん下がっています。OCHaCafeはでは何かしらオラクルのクラウドソリューションを使うなど、Oracle Cloudがちゃんと使えることを紹介する場でもあるのです」(古手川氏)
OCHaCafeの醍醐味は、濃い技術情報が手に入るだけではない。「デベロッパーの人たちがくつろいでコミュニケーションを取れる場でありたい」という古手川氏の強い思いを表すように、セッション後の懇親会では、美味しい食事と飲み物が用意されている。
OCHaCafeはおよそ月1回の割合で開催されている。「技術を身につけ、自身の価値を向上させたい」という方は、ぜひ、一度、参加してみてはいかがだろう。
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