A最初に笑えるような話題を振って場を和ませるということと、聞き役に徹するということです。カウンセリングには「王道」と言えるものはありません。他のアドバイザーのカウンセリングを見ても、人によって突っ込んで聞く部分も違うし、話し方や目線も違います。
また、求職者もそれぞれ違います。経歴はもちろん、仕事に求めるものも違うし、「面白い」と感じる部分もそれぞれ違うでしょう。そしてカウンセリングに来られる環境も違います。すでに前の会社を辞めて少しでも早く決めたい人もいれば、いい仕事があったら転職しようとゆっくり構えている人もいるでしょう。
様々な状況で、また限られた時間の中で話を聞きだすためにはどうしたらいいか、と考えた結果、笑ってもらえるような話を振って場を和ませ、その人が持つ本来の姿が出てきやすくし、そして聞き役に徹するようになったのです。そうすることで、単に経歴やスキルによるマッチングだけではなく、その方が本来持っている輝きを引き出して、さらに輝ける場所はどこかというマッチングを行なうことができると思っています。
求職者の方とお会いして感じるのは、思わぬところにその方の特長があるということです。企業に求職者の経歴書を渡して説明を差し上げるだけが私の仕事ではありません。求職者に企業のことをお伝えするのと同じように、企業側にも面接だけではわからないその方の人物像をお伝えすることで、採用可否の判断材料を把握されるように持っていくことが大切です。
そのために、職歴だけでなく学生時代のことなど若い頃の考え方などもお聞きして、例えば粘り強い性格ならばそれがどこから来たものなのか、といったことを企業にお伝えしています。
QAそうですね。ITを切り口に様々な企業とのおつきあいがあります。ただし、やはり出版でのお付き合いと人事部門とのおつきあいは違います。例えば、なるべく採用面接に同席して、どんな質問があったかなどの個別情報を収集し、それを求職者にお伝えしてきました。
また、当社は大手から中小企業までおつきあいがありますが、規模は小さくても独自の技術を持って新しい価値を創り出している企業もあり、規模とやりがいは比例しないというのが私の実感です。その会社が持つ技術にどのような競争優位性があり、今後どのような展開を狙っているかというお話を伺うと、私自身は技術者でもないのにワクワクしてきます。そのワクワクを求職者の方にも感じながら働いていただければ、と常に思っています。
Aお客様にIT企業が多く、エンジニアの案件を多くお預かりしていますが、エンジニアに限らず営業やバックオフィス系などの職種も数多くご紹介しています。
QA私自身で会社へ働きかけ、当社は現在、翔泳社の持つ豊富な教育リソースをうまく利用しながら、広い意味で「育成」をテーマに様々な展開を試みています。先にご紹介した3年間限定の特定契約社員制度「3Years@SEplus」もそうですし、Webデザインや技術翻訳などのセミナーを定期的に開催して、力を付けていただきながらついでに仕事を紹介したりもしています。また次は「営業スタッフ」を対象にしたセミナー兼転職相談会などを企画中です。
こうした「インプットの場や時間」をフックに、フローとしての人材紹介だけではなく、ストック型の人材紹介を目指していきたいと考えています。前述のセミナーなどで緩やかにつながった潜在的な転職意向者の方々から、そのキャリアやスキル、仕事のスタンスやご希望などを事前に伺っておいて、転職を真剣にお考えになった際にはまず最初に私どもにご相談いただける。その時になって慌てて企業探しをするのではなく事前に相談しておけば、間違いなく転職成功の確率は高まります。
これまでの私のすべてのキャリアを活かして「自分を磨きつつ、転職に備える」。そんな関係を皆様と地道に作って行けたらと思います。