APIやSDK、サンプルコードやアプリもそろい、自在に自社独自アプリが開発できる
プログラムから自由に作り込みができるところもWebexの強みだ。SDKやAPIが豊富に提供されている。そのため自社用に画面のデザインやUIをカスタマイズすることも可能だ。APIでWebexの一部機能だけを組み込んで、独自のWebサイトやWebアプリケーションを構築することもできる。
同社の高山貴行氏は「Cisco Webex for Developersを見ていただくと、コラボレーションで使えるAPIがずらっと並んでいます。Webexのメッセージング機能、会議機能、通話機能、デバイスをコントロールする機能など、いろんなものにAPIが使えるように網羅的に提供しています」と話す。
便利に使えそうなのがWebexのメッセージング機能だ。先述したように、テキストメッセージだけではなくBOTとして使うこともできる。例えば株価や在庫量など、業務に関連があるWebサイトやシステムで何らかの数値がしきい値を超えたら、Webexのメッセージとして通知する、あるいはWebexへのメッセージ投稿をきっかけに何らかのコマンドやマクロを動かすなどだ。
スクラッチから開発する必要はない。WebexのApp Hubには各種アプリが登録されている(提供前のものもある)。例えばMicrosoft 365(Outlook Alerts for Microsoft Office 365)、ServiceNow、Salesforce、BOXで簡単な業務ワークフローを動かすことも可能だ。Code Exchangeにはサンプルコードがシェアされている。
同社の銭昆氏は「Browser SDKでひとつWebアプリケーションを作っておけば、パソコン、スマホ、タブレットなどデバイスを問わず利用することができる。後はCSSでデバイスごとに最適な表示ができるようデザインを設定すればいいだけ」と話す。例えばビデオ会議に参加するための自社専用Webページを作るのもいいだろう。まだビデオ会議に慣れない社員がいる会社なら、Webページに会社のロゴを入れ、自動的に会議室にログインし、カメラとマイクを適切な設定にするなどの操作を自動実行するだけでも、社員に便利なページを提供できる。
Webexの面白い活用事例に「パ・リーグTV」がある。これは友達と一緒に野球観戦ができるWebサイトだ。ブラウザから試合中継を閲覧できるだけではなく、一緒に観戦するメンバーの顔も閲覧できる。つまりブラウザページに野球中継の画面と、Webex Meetingsのビデオ会議画面を組み込んでいるのだ。自宅にいながらにして、仲間と一緒に試合を観戦できる。
ほかにも顔認識機能とマクロ機能を活用すれば、さまざまな可能性が広がる。会議室でWebex端末を利用するなら、一定の人数以上の人物を認識したら「室内の人数が超過しています」と密を防ぐアラートを表示することもできる。Webexを会社受付に使うケースもある。訪問客はWebex端末を通じて受付係と話すことができる。Webexなので、受付業務を在宅で行うことも可能だ。
これまでも紹介したように、試してみたければCisco DevNetにアクセスしてみよう。解説ドキュメントや資料が豊富にそろっている。App Hubのアプリ、Code Exchangeのサンプルコード、仮想的に試すならSandboxもある。アイデア次第で多彩なコミュニケーションが実現できそうだ。