Red Hat OpenShiftがなぜデジタル推進に有効なのか
前述のような世界観を実現するうえで、考慮しなければならないことがある。「多種多様なシステムインフラをいかにして適切に管理していくか」だ。
インフラ基盤のなかには、オンプレミス上で動いているものもあれば、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、IBM Cloudなどのパブリッククラウド上で動いているものもある。複数種類のインフラ環境の特性を考慮しながら、構築・運用を実施していくのは非常に骨の折れる作業である。
そこで大西氏が推奨したのが、エンタープライズ対応のコンテナプラットフォームであるRed Hat OpenShift(以下、OpenShift)の活用だ。OpenShiftはコンテナエンジンであるDockerとコンテナオーケストレーションであるKubernetesをベースの技術として使用しており、コンテナを活用した開発や運用に有益な機能を提供してくれる。
また、OpenShiftのプラットフォーム上で運用できるのは、コンテナ環境を想定してつくられたアプリケーションだけではない。仮想マシンでの運用を想定しているアプリケーションさえも動かせるという。これを実現してくれるのが、OpenShiftの機能の1つであるOpenShift Virtualization。この機能を用いることで、仮想マシンを特別なコンテナ内にパッケージングすることが可能になるのだ。
OpenShiftを活用することで、大きく分けて以下の3パターンのインフラ運用が実現できる。
- OpenShift Virtualizationを活用して、仮想マシンでの運用を想定してつくられたアプリケーションをOpenShift上で動かす
- コンテナ化したアプリケーションをOpenShift上で動かす
- コンテナ化したアプリケーションをOpenShift上で動かし、かつOperatorによる自律的な運用・管理を実現する
「今後、OpenShiftを活用したい方は『1.環境をつくる』『2.触ってみる』『3.未来を考える』という順番でこのプラットフォームに慣れ親しんでほしい」と大西氏は言う。このうち、1と2を実現するためのおすすめの方法をいくつか紹介していった。
大西氏が所属する日本アイ・ビー・エムは、毎週水曜日をベースにIBM Tech/Developer Dojoという開発者向けイベントを開催している(参加は無料)。「このイベント内でOpenShiftに触れてもらうことで、プラットフォームのことを理解できる」と大西氏は推奨した。
OpenShiftの開発元であるRed Hatのサブスクリプションサービス「Red Hat Developer」に登録することも有益だという(ここにアクセスし、画面下部にある「Join Red Hat Developer」ボタンを押下することで登録ページへ遷移可能)。このサブスクリプションに登録することで、さまざまなサービスを無償で試用できる。
「Red Hat Developer」に登録することで利用できるサービスのなかでも特に重要なのは、開発者のパーソナルコンピュータ上で最小のOpenShiftを動作させられるRed Hat CodeReady Containersだ。このソフトウェアを導入することで、開発者の手元でOpenShiftの機能を試すことができる。専用のマシンを用意して、Red Hat Linuxと一緒にRed Hat CodeReady Containersを試して欲しい、とインストールの方法から主な実行までデモを交えて紹介した。
大西氏は、セッション直後に、Red Hat CodeReady Containersの中でOpenShift Virtualizationが動作している様子をTwitterの動画として公開しているので確認して欲しい。
また、よりOpenShiftを便利に活用するために、OpenShift環境用の認定ソフトウェアを簡単に検索、デプロイ可能なオープンクラウド・マーケットプレイス Red Hat Marketplaceを利用することも有益であり、日本の開発者にもビジネスチャンスを広げてほしいと紹介した。
最後に、大西氏はセッションをこう総括する。
「OpenShiftを有効活用してDXを行い、日本の未来を変えましょう。デジタル化がどんどん進んでいくという世界的な潮流のなかで、日本はまだまだ他国と比べて後れをとっています。だからこそ、開発者たちは頑張らなければいけない。アプリの力で日本を変えて、日本がもっと明るく強い国になるように。そんな未来を願っております」
体験中心型の技術の学び場「IBM Tech/Developer Dojo」
毎週水曜日をベースに開発者向けイベントを開催しています。 人気のコンテンツを集め、クラウドの基礎から応用まで学べるコースになっています。現在、オンラインイベントとして実施していますので、どこからでもご参加いただけます。