性差に縛られない技術コミュニティを目指す「Code Polaris」とは?
――Code Polarisでは、現在どのような活動をされているのでしょうか。
大平:メインはSlackでのコミュニケーションです。勉強、質問&相談、雑談、子育てのチャンネルがあって、そこで会話をしています。Slackの他に、音声で雑談できるスペースとして、音声通話や画面共有がしやすいコミュニケーションツールのDiscordも使っています。また、イベントも何度か開催しました。
基本的にはメンバー同士で好きなことをしてもらっているので、オーガナイザーとしてはSlackのチャンネルをたまに巡回して、回答のついていない質問があれば、「誰か助けてくださーい!」と声をかけるくらいで、あとはメンバー同士で助け合っている状態です。
千代田:Code Polarisは、コミュニティの治安がとても良いです。メンバーの方が自発的に技術書の輪読会をしてくれるなど、コミュニティとしてうまく回っていると思います。IT業界はリモートワークとの相性が良いこともあり、子育てしながら働いているお母さんたちの生の声が聞けるのも、良いですね。お母さん同士でナレッジを共有できますし、まだ子どもはいないけど将来お母さんになりたい人にとっては、将来の予習にもなるかと思います。
――Code Polarisに参加されている方は、初心者から上級者まで幅広くいらっしゃるイメージですか?
大平:初心者〜中級者が多い印象があります。IT業界に興味のある学生の方もいます。年代だけでなくプログラミング言語や担当領域も幅広くて、住んでいる場所もさまざまです。例えばドイツやイギリスなど、日本国外からアクセスしてくれている人もいます。
コミュニティに参加している人は向上心を持っていて、誰かを助けたい人が多い上に、Code Polarisは女性しかいないので、初級者〜中級者の方がスキルアップを図るには最適な場所なんですよね。「教えてもらうには、どういう聞き方をすると答えてもらいやすいのか」を学んだり、逆に、誰かのレビューをすることで「こうやって伝えると伝わりやすいんだな」と経験を積んでもらったり。
より実践で使える実力をつけてもらうために、今後はGitHubでコミュニケーションをとりながら、オープンソースの開発プロジェクトもやっていきたいと考えています。
――Code Polarisで実現したいことを教えてください。
大平:私の願いとしては、同性のみの安心できる環境の中で、経験や知識を身につけてもらいたいです。マイノリティ特有の悩みがつきまとうせいで、女性のエンジニアがスキルアップできないのは、非常にもったいないと思うからです。
プログラミングの勉強をするだけならスクールに通ったり本を読んだりすればいいかもしれませんが、実際に現場で働くときに必要なのはそれだけではありませんよね。チーム開発で必要なコミュニケーション能力や、トラブルが発生したときに対応するための経験などいろいろあるはずです。そうした机上では学べない物事を、女性にも安心して学んでもらえるよう、Code Polarisという性差を無くした環境を整えました。メンバーの皆さんには、Code Polarisで実力を付けて自信が持てたら、どんどん外のコミュニティにも参加して、エンジニアとして活躍してもらいたいです。
千代田:オーガナイザー3人で決めたCode Polarisのビジョンは、「女性がITエンジニアとして自信を持てるポイントを見つけ育てられる居場所となる」。私たちは“男性が悪い”なんて、微塵も感じていません。男女比のバランスが取れていない現実に問題があるだけだと考えています。
今のカンファレンスのスピーカーやTwitterで影響力のある人の多くは男性かと思います。その様子を外から見た女子学生は「エンジニアは女性が就く仕事ではないのかな?」「同性が少ない社会だと苦労するかもしれないし、自分には合わないかも」と思って、就職先の選択肢から外してしまう。すると、ますます女性のエンジニアの数が減ってマイノリティになってしまうことに歯止めがかかりません。
私たちの究極の目標は、Code Polarisの必要ない世界にすることです。きっと男女比が同等になればなるほど、その世界に近づけると信じているので、今はマイノリティである女性のエンジニアの支援をすべきだと考えています。
――最後に、Code Polarisに興味のある方へメッセージをお願いします。
千代田:Code Polarisは女性のエンジニアやエンジニアを目指す女子学生の皆さんのためのコミュニティなので、興味のある方はぜひジョインしてください。仲間が増えたら今よりもっと楽しくなると思うので、みんなで楽しく学びましょう!
大平:繰り返しになりますが、私たちの本望は、女性だけで集まらなければならない今の状況が解消されることです。いつかは女性に限らず広く門戸を開いて、普通の技術コミュニティにしていきたい。コミュニティの名前に“女性”と付けなかったのには、そんな理由があります。Code Polarisにはいろいろな人が参加してくれているので、きっとおもしろい出会いがあるはずです。女性の方は、ぜひ一度、私たちのイベントサイトにアクセスしてみてください。
そして男性の方とは、一緒にこの問題について議論を深めていきたいです。女性のエンジニアが増えれば、慢性的なエンジニア不足による過重労働が減るなど、エンジニアの皆さんにとっても働きやすくなるはずです。今日私たちがお話しした“女性のエンジニアあるある”を少しでも心にとどめていただき、エンジニアの皆さんが生き生きと働ける社会を目指して、ともに歩んでもらえたらうれしいです。
――大平さん、千代田さん、貴重なお話をありがとうございました!