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自分の可能性を広げよう!U30デベロッパーのための「キャリアのすゝめ」

個人開発こそ若手デベロッパーの成長促進剤! 個人開発を自分のキャリアにどう結び付けたのか?――ゆずたそさんに聞いた

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 プログラミング初心者から学生、ベテランのエンジニア、起業家まで全25名の個人開発者が自分の体験を語った書籍『個人開発をはじめよう!』。同人誌版の制作・販売をきっかけに、商業出版へとたどり着いた。同書を出版した横山翔さんは、TwitterやGitHubで「yuzutas0」(ゆずたそ)というアカウントで活動しながら、本業では業務支援Webサービスの企画・開発にたずさわっている。自身でも多数のWebサービスを開発し、数多くの個人開発を見てきたという。今回はそんな横山さんに個人開発のノウハウと、それを自分のキャリアにどう結びつけているのか話を伺った。

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Web開発を勉強するために、個人開発を始めてみた

――横山さんは、これまで個人開発で多くのWebサービスを作られたそうですが、個人開発のきっかけは何でしょうか。また、これまでどのようなサービスを作ってきましたか。

 私は、社会人になってから本格的にWeb開発を勉強し始めて、業務とは別に個人でWebサービスを作るようになりました。自分自身でWebサービスを作った経験が評価されて、幅広い仕事を任せてもらえましたし、新卒2年目で社内のテックリードを任せられるようになりました。現在はいくつかの企業でWebサービスの企画や開発にたずさわっています。

横山翔(ゆずたそ)さん
横山翔(ゆずたそ)さん

 個人開発したサービスを3つ紹介します。まずは、GIGAZINEにも紹介された、かばん検索サービス「HileSearch(ハイルサーチ)」です。PCを選ぶと、そのPCが入るサイズのかばんを教えてくれるというサービスです。

かばん検索サービス「HileSearch(ハイルサーチ)」
かばん検索サービス「HileSearch(ハイルサーチ)」

 2つ目は、個人用の技術情報共有サービスです。Markdownで書けて、タグやラベルを付けて検索できる、技術情報などのメモサービスです。

 3つ目は、自分の恋人・パートナーにどのように接してもらうといいか、アドバイスしてくれる恋愛診断サービスを友人と2人で作りました。自分がどんな行動にときめくのか、いくつかの質問に答えていくことで、より良い関係を築けるアドバイスをもらえるサービスです。UIデザインは、プロの方にお金を支払って作ってもらいました。

――どれも、本格的なサービスのようですね。ずっと個人でWebサービスを開発しているのでしょうか。また、どのくらいの数を開発してきましたか。

 一番活発に個人開発をしていたのは、2014年から2015年頃です。自分がWeb開発について勉強していた時期なので、モチベーションが高かったです。

 最初に作ったのは、学習支援サービスです。自分でも応用情報技術者試験の勉強時に使っていました。参考書の各項目を何日までに学習するという予定を立てて、その進捗をマル・バツ・サンカクで入力していくというサービスです。ただ、今思えばスプレッドシートでも良かったのではないかと思います。それでも実際に何人かに使ってもらったり、初めて作ったのに窓の杜に掲載してもらったりして、少し驚きましたね。

 全部で何個作ったのかは、正直なところ覚えていません。Webサービスとして公開したのが、10個くらいです。公開していないけど、社内や友人だけに使ってもらったのが10個くらいで、そのほかは株取引用やちょっとしたスクリプトなど、大小あわせると100個以上あると思います。

――社会人になってから本格的にWeb開発を始めたということでしたが、インターネットやWebサービスには早くから触れていたのでしょうか。

 私は、デジタルネイティブと呼ばれる人たちより、ちょっと前の世代です。子どもの頃、家のインターネットが常時接続ではなく従量課金制だったので、親のパソコンで一日30分だけ大好きなゲームのWebサイトを見させてもらっていました。

 大学はコンピュータサイエンス専攻ではなく、金融・計量経済を学んでいました。インターネットの可能性に感動したのは、この頃です。ある日、教育課程をとっている友人たちのBBQ会に誘われて行くと、そこにとある小学校の教員の方がいて、「何か面白い企画はないか」と聞かれたんです。ちょうど、バングラデシュに旅行してきた直後だったので、インターネットで向こうの学校とつないで、国際交流をするという企画を提案しました。するとその企画が採用され、子どもたちがインターネットで国際交流する特別授業を運営することになりました。

 遠く離れた国の人たちと交流しているのを実際に目の当たりにし、「インターネットってすごいな」と感動しました。これがインターネットの可能性に目覚めたきっかけです。

――そのインターネットの可能性が、個人でWebサービスを開発する根底にあるんですね。

 はい、そうなんです。今ってインターネットが一般の企業や家庭に普及してまだ30年くらいで、人類の長い歴史の中ではつい最近の出来事だと思います。これって結構貴重なタイミングだと思っていて、もしかしたら私たちが今日関わったサービスや今日作ったサービスが、100年後の何かにつながるかもしれない。そういう可能性を秘めている分野だと思っています。

 でも、特に新人時代はなかなか本質的な仕事はやりにくいかもしれません。私も、実際に新人の頃はそういった閉塞感がありました。やっぱり「自分のアイデアを自分で表現してみたい」「自分でサービスを作ってリリースしてみたい」という気持ちが湧きあがり、個人開発に着手することにしました。

――実際に、個人開発をやってみると、お金を稼ぐのも大変ですし、それ以上に継続するのも大変だと思います。横山さんは、そんな中で個人開発に対してどのような魅力を感じたのでしょうか。

 個人開発の一番の魅力は、自分のアイデアを誰かに届けられることだと思います。Webサービスをリリースすると、使ってくれた人からコメントやフィードバックをいただけて、自分が作ったサービスの効果をストレートに実感できます。狙ったとおりだったら、うれしくなりますし、違っていればこうすれば良かったと反省します。自分の取り組みとダイレクトにつながっているところが、一番の醍醐味だと思います。

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この記事の著者

可知 豊(カチ ユタカ)

フリーランスのテクニカルライター 興味の対象はオープンソースの日常利用、ライセンス、プログラミング学習など。 著書「知る、読む、使う! オープンソースライセンス」。https://www.catch.jp

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鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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