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20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門

EclipseでGit操作をしてみよう〜EGitプラグインを紹介

20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門 第8回

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EGitによるGit操作

 前項で紹介した手順の1と2をこの節で解説していきます。その中で、EGitによるGit操作の基本も併せて紹介していきます。

プロジェクトとローカルリポジトリを作成する

 手順1にあるように、まずGitで管理するプロジェクトをEclipseで作成します。ここでは、話を簡単にするために、単なるJavaプロジェクトを作成することにしますが、第6回で作成したTomcatプロジェクト、第7回の動的Webプロジェクトでも同様の手順で行えます。第2回を参考に、プロジェクト名「FirstEGitProject」でJavaプロジェクトを作成してください。

 プロジェクトが作成できたら、手順2にあるように、そのプロジェクトをGitのローカルリポジトリ化します。パッケージエクスプローラーで作成されたFirstEGitProjectプロジェクトフォルダを右クリックし、表示されたメニューから
[チーム] > [プロジェクトの共用]
を選択してください(図4)。

図4: プロジェクトの共用メニューを選択
図4: プロジェクトの共用メニューを選択

 すると、図5のプロジェクトの共用ダイアログが表示されるので、[Git]を選択して、[次へ]をクリックします。

図5: プロジェクトの共用ダイアログ画面
図5: プロジェクトの共用ダイアログ画面

 次に、図6のGitリポジトリの構成画面が表示されます。

図6: Gitリポジトリの構成画面
図6: Gitリポジトリの構成画面

 この画面は、ローカルリポジトリをプロジェクトフォルダとは別の場所に作成し、そのリポジトリとこのプロジェクトを紐づけるための画面です。この方法はGitを使っていく上で少々使いにくく、通常行う方法とは違います。

 通常は、プロジェクトフォルダをローカルリポジトリとします。その場合は、[プロジェクトの親フォルダ内のリポジトリを使用または作成]にチェックを入れます。すると、図7の画面に変化します。

図7: チェックを入れて変化したGitリポジトリの構成画面
図7: チェックを入れて変化したGitリポジトリの構成画面

 この画面のプロジェクトリストからFirstEGitProjectを選択し、[リポジトリーの作成]をクリックします。すると、ローカルリポジトリが作成され、図8の画面に変化し、[完了]ボタンがクリックできるようになります。

図8: ローカルリポジトリが作成されたGitリポジトリの構成画面
図8: ローカルリポジトリが作成されたGitリポジトリの構成画面

 [完了]をクリックし、ウィザードを終了させてください。すると、パッケージエクスプローラー上のプロジェクト表記が図9のように変化します。

図9: Git管理対象になったFirstEGitProjectフォルダ
図9: Git管理対象になったFirstEGitProjectフォルダ

 プロジェクトフォルダ名の右横に[FirstEGitProject master]という表示が、Gitのリポジトリ名を表し、まさにGitで管理されていることを物語っています。

Gitのブランチという仕組みを理解しよう

 なお、masterという表示について補足しておきます。このmasterはブランチ名を表します。Gitでは、リポジトリ内のファイルセットをブランチと読んでおり、必ずメインとなるブランチが存在します。通常、このメインのブランチのファイルセットを、製品としてリリースします。

 そして、プロジェクト内のファイルを変更する際、メインのブランチに影響が少ないように現在のファイルセットを丸々コピーして別ブランチを作成し、そのブランチ上で改変できる仕組みが備わっています。一通り改変が終了したら、そのブランチの内容をメインのブランチに統合します。これを、マージといいます(図10)。

図10: Gitのブランチの仕組み
図10: Gitのブランチの仕組み

 もちろん、ブランチはいくつも作成することができます。もし改変内容が不要な場合は、ブランチを削除すれば、全てを無かったことにすることも可能です。このようなブランチのうち、メインとなるブランチに対してEGitは自動的にmasterと命名するようになっています。先のリポジトリ名横のmasterという表示は、現在作業対象としているブランチ名を表しています。

 なお、ブランチを作成したり、削除したりという内容は、本稿の範囲を超えるので、今回は割愛することをご了承ください。

ステージングとコミット

 では、プロジェクトフォルダ名左横の[>]は何を表すのでしょうか。前項で行った手順はプロジェクトフォルダをリポジトリとする作業ですが、その時点では、リポジトリは空のままです。この空のリポジトリにファイル類を登録していく必要があります。この登録する作業を、先述のようにコミットといいます。

 ただし、Gitでは、いきなりコミットはできません。まず、コミット対象のファイルを選択する必要があります。これを、ステージングといいます。つまり、Gitでの作業の流れは次の通りです。

 ファイルの追加・編集→コミット対象ファイルをステージング→コミット

 パッケージエクスプローラーでプロジェクトフォルダ名左横の「>」の表記は、追加・編集されているにもかかわらず、ステージングされていないファイルがあることを示すものです。

 なお、プロジェクトを作っただけで、何もソースコードを記述していないのに、コミットされていないファイルがあることに不思議に思うかもしれませんが、Eclipseでプロジェクトを作成すると、隠しファイルとしてそのプロジェクトの設定ファイル類が自動で生成されています。これらが未ステージングなための表記となっています。そこで、これらの設定ファイル類をステージング→コミットしていきましょう。

ステージングする

 まず、ステージングからです。パッケージエクスプローラーでFirstEGitProjectフォルダを右クリックし、表示されたメニューから、
[チーム]>[コミット]
を選択してください(図11)。

図11: コミットメニューを選択
図11: コミットメニューを選択

 すると、図12のGitステージングビューが表示されます。

図12: 表示されたGitステージングビュー
図12: 表示されたGitステージングビュー

 左側の[ステージされていない変更]に対象ファイルがリスト表示されています。このリストからコミット対象のファイルを選択し、をクリックすると、ステージングされます。もし全てのファイルをステージングする場合は、全てのファイルを選択して、をクリックしてもいいですが、一方で、をクリックしてもかまいません。

 ここでは、表示されている全てのファイルをステージングしてください。すると、図13のように対象ファイルが[ステージされた変更]に移動します。

図13: ステージングされたファイル
図13: ステージングされたファイル

 これで、コミット対象ファイルがステージングされました。もしステージング対象から外す場合は、[ステージされた変更]一覧から対象ファイルを選択し、をクリックします。全てのファイルを対象から外す場合は、をクリックします。

 この状態で、パッケージエクスプローラーを見ると、図14のようになっています。

図14: ステージングされたファイルが含まれたプロジェクトフォルダ
図14: ステージングされたファイルが含まれたプロジェクトフォルダ

 FirstEGitProjectフォルダ名左横にあった[>]表記がなくなり、代わりに、フォルダアイコンがに変化しています。この状態のプロジェクトは、コミット可能となっています。

コミットする

 では、早速コミットしましょう。コミットは、Gitステージングビュー右下の[コミット]ボタンをクリックすればコミットできますが、コミットするためには必ずコミットメッセージを記述する必要があります。このコミットメッセージは、コミット内容がわかるものであれば何でもかまいません。そこで、ここでは、図15のように、「プロジェクトの作成。」と入力しておきます。

図15: コミットメッセージを入力したGitステージングビュー
図15: コミットメッセージを入力したGitステージングビュー

 この状態で[コミット]ボタンをクリックし、コミットを行いましょう。無事コミットが終了すると、パッケージエクスプローラー上のFirstEGitProjectフォルダは図16のようになっています。

図16: コミットが終了したプロジェクトフォルダ
図16: コミットが終了したプロジェクトフォルダ

 なお、コミットする際、Gitステージングビュー右下の[Author]と[Committer]に自身の名前とメールアドレスを「名前 <メールアドレス>」の書式で入力しておく必要があります。名前だけではコミットできないので注意しておいてください。

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GitHubとEGitの連携

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

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