低品質なソフトウェアには170兆円のコストがかかっている
ここで、昨今のソフトウェアの品質について紹介した。まず見せたのは「1.3兆ドル」という数字だ。これは、アメリカの2020年のレポートで、Information & Software Qualityコンソーシアムが発表したものだ。レガシーなシステム構築やシステム運用のバグ対応などで、日本円にして170兆円もの費用がかかっている。
「数字が大きすぎて、ちょっと自分事に感じられないですよね。そこで、もう少しブレイクダウンしてみましょう」と語って、下図を見せた。
コロナ禍によるデジタルトランスフォーメーションの加速や自宅で複数のデバイスを使い分ける、ユーザー体験の品質が悪いとそのサービスから離れてしまう、といった辺りは肌感覚があるところだろうと語り掛けた。
じつは、テストカバレッジと顧客満足度には相関関係がある。mablが毎年実施している調査(Testing in DevOps)によると、テストカバレッジが優れているとするチームでは顧客満足度が高いという回答が実に80%に上るのだ。
では、こうしたテスト品質の改善はどうしたら実現できるのだろうか。
「従来のテストアプローチでQA:品質保証をしっかりやろうとすればするほど、開発スピードが遅くなったり、メンテナンスコストが高くなったりしてしまいます。テストのサイロ化も進みがちです。
ちょうどIPAから、今年のDX白書が出ていましたが、DevOpsやCI/CDパイプラインを意識した開発をやっている企業が、日本はわずか10%程度に対して、アメリカは50%を超えています。まだまだ国内では手動テストやテストコードのメンテナンスが当たり前の状況であると思います」