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Developers Boost 2023 セッションレポート(AD)

入社半年で挑戦した人事データ分析プロジェクト、データサイエンティストとしての成長とは

【Session7】泥臭い作業から栄光へ:人事データ分析プロジェクトの舞台裏~データと戦い抜いた新卒データサイエンティストの物語~

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数々の困難を乗り越えた、データサイエンティストとしての成長とは

 当初は「自分の夢につながる仕事に、こんなに早くから取り組めるなんて幸せだ!」と高揚したものの、その後に数々の試練に直面することになった。なおデータ分析のステップは下図のように進めた。

データ分析のステップ
データ分析のステップ

 最初の困難はデータ収集だ。「データ収集なんてデータベースから一気に引き抜けばいいのでは」と思えるかもしれないが、多くの場合そうではない。まず新卒に関係するデータが各部署に散在していた。データの管理者が誰かを探して、協力を仰ぐなどの交渉も経験した。

 期待していたデータを入手できないこともあった。仮説を立てて準備したものの、実際にデータをもらおうとすると「この前消しちゃったんだよね……」と告げられて絶望することも。データがないとなると、仮説を再度組み立て直さなくてはならない。

 データが分析できる形ではなかったケースも多発した。部署によりデータの形式はまちまちだ。データを分析する立場からすると、データは表にきれいに収まるような「プレーンな(正規化された)」形が理想的だ。しかし実際には「かつて誰かが作ったマクロが“秘伝のタレ”のように代々引き継がれていた」ようで難解なものも少なくなかった。

 データ分析ではよくあることだが、分析できるようにするまでの前準備が大変なのだ。「何度も投げ出したくなりました。きついと感じながらも、地道にやるしかないので、時間をかけて徐々にデータセットを作りあげていきました。1週間で終わらせる予定でしたが、この時点で1カ月以上が過ぎていました」と倉持氏。

 もう1つの困難はデータ分析だ。いよいよ分析しようという段になり、意気揚々と始めたもののスムーズには進まなかった。まず、手がかりがなかった。社内には大規模な人事データ分析の前例がなく、他社の人事データ分析の事例についても、詳細を調べようにも公開されていない。

 実践的なスキルも足りなかった。大学院で勉強したものの、まだ経験や専門スキルを蓄積できていなかった。倉持氏は「熱意があるからデータサイエンティストになれたものの、データ分析のスキルが圧倒的に足りませんでした。勉強しては挑戦して、失敗してを繰り返す日々で、本当に何度も心が折れかけました。しかし大量の失敗から学び続けることで、徐々に方向性が見えてきました」と振り返る。

 なんとかデータ分析の結果が形になり、自信満々で報告した。内容は「新卒社員は性格や思考で4タイプに分類できます」というものだった。現場からは「すごいんだけど、それでどうするの?」という反応が返ってきた。そこで倉持氏は「データからインサイトを得ることばかり意識が向いていて分析結果を現場業務にどう活かすかを念頭においていなかった」と気づくことができた。

 さらに試行錯誤を繰り返し、データを結びつけていくことで新たな発見にたどり着いた。倉持氏が見つけた4つのタイプから、それぞれのキャリアパスの傾向や必要なサポートの形が見えてきたのだ。例えば「ガッツあふれるタイプの勢いを落とさないサポート方法と時期は?」など、こうした発見から今後は人事戦略に合わせて、どのような人材を採用していくべきかの指針にもつなげている。

 倉持氏は「多くの困難を乗り越えてプロジェクトを成功に終わらせることができました。従来の必勝法を相対化し、データ活用と組み合わせることでより良い新卒採用のあり方、新たな仕組み作りをスタートしています。偉大な一歩であるものの、まだ一歩でしかありません。これからもこうした課題にひたむきに進んで行きたいと思っています」と話す。

 そして最後に倉持氏は「今回のストーリーで皆さんが持つ“オレ/ワタシの必勝法”が本当に正しいのか、時代に合っているのか、最適なのかを考えるきっかけになればと思います」とメッセージを残して講演を締めた。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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