SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Pythonの新機能を知ろう!

【Python 3.12への道のり】3.10で実装された型機能など、魅力的な機能を正式リリースまでに使いこなす

Pythonの新機能を知ろう! 第1回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Union演算子(|)によるUnion型の記述が可能に

 Pythonでは、型ヒントの一つであるUnion型(ユニオン型)を利用することで、「複数の型のいずれか」という型を表現できます。Unionとは、数学でいう和集合を意味します。つまり、「または」(OR、論理和)という関係となります。strクラスのendswithメソッドのように、引数に文字列でもタプルでも両方受け取れるようなケースでは、型ヒントにUnion型を使っています。

 Union型は、typing.Unionを使って実装されています。例えば、先述のendswithメソッドのケースでは、以下のような定義になります(あくまでも定義の一例です)。

リスト union.py
from typing import Union
def endswith(suffix: Union[str, tuple[str, ...]]) -> bool:
…略…

  typingモジュールのUnion型をインポートし、型ヒントにUnion型を指定して引数にユニオン型としたい型をカンマで区切って列挙します。しかしながら、この書き方はimport文が必要になる、いちいちUnion型の引数に型を記述するなど、やや冗長でした。そこで、Python 3.10では、許容する型を論理和で使われる縦バー「|」で結んで指定できるようになりました(Union演算子)。上記のendswithメソッドの定義は、以下のように書き直すことができます。

リスト union.py
def endswith(suffix: str|tuple[str, ...]) -> bool:
…略…

  import文も不要で、型ヒントからUnionも消えるのでコードがスッキリとします。TypeScriptやPHPなどと同じようにシンプルにUnion型が指定できるようになりました。

型ヒント

 Pythonは動的に型付けを行うプログラミング言語であるので、基本的にはデータ型の明示は不要です。しかし、Python 3.5で導入された型ヒントを使うことで、コーディングを効率化したり、コードの可読性や安全性を高めることができます。例えば、VSCodeではコード補完が使えますし、mypyのような静的型チェックツールを使うことで、実行前にコードの問題点を検出できます。型ヒントは、変数の宣言、関数の引数、戻り値などにアノテーションを付加することで実現されます。以下は、型ヒントを使用した関数の例です。引数のnameは文字列であり、戻り値も文字列であることが明示されます。

リスト union.py
def hello(name: str) -> str:
  return "こんにちは、" + name + "さん!"

  型ヒントはコア機能に含まれているので、追加のライブラリなしで利用できます。

次のページ
パラメータ仕様変数により関数の引数を参照した型定義が可能に

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Pythonの新機能を知ろう!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介> WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/18356 2023/10/02 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング