Union演算子(|)によるUnion型の記述が可能に
Pythonでは、型ヒントの一つであるUnion型(ユニオン型)を利用することで、「複数の型のいずれか」という型を表現できます。Unionとは、数学でいう和集合を意味します。つまり、「または」(OR、論理和)という関係となります。strクラスのendswithメソッドのように、引数に文字列でもタプルでも両方受け取れるようなケースでは、型ヒントにUnion型を使っています。
Union型は、typing.Unionを使って実装されています。例えば、先述のendswithメソッドのケースでは、以下のような定義になります(あくまでも定義の一例です)。
from typing import Union def endswith(suffix: Union[str, tuple[str, ...]]) -> bool: …略…
typingモジュールのUnion型をインポートし、型ヒントにUnion型を指定して引数にユニオン型としたい型をカンマで区切って列挙します。しかしながら、この書き方はimport文が必要になる、いちいちUnion型の引数に型を記述するなど、やや冗長でした。そこで、Python 3.10では、許容する型を論理和で使われる縦バー「|」で結んで指定できるようになりました(Union演算子)。上記のendswithメソッドの定義は、以下のように書き直すことができます。
def endswith(suffix: str|tuple[str, ...]) -> bool: …略…
import文も不要で、型ヒントからUnionも消えるのでコードがスッキリとします。TypeScriptやPHPなどと同じようにシンプルにUnion型が指定できるようになりました。
型ヒント
Pythonは動的に型付けを行うプログラミング言語であるので、基本的にはデータ型の明示は不要です。しかし、Python 3.5で導入された型ヒントを使うことで、コーディングを効率化したり、コードの可読性や安全性を高めることができます。例えば、VSCodeではコード補完が使えますし、mypyのような静的型チェックツールを使うことで、実行前にコードの問題点を検出できます。型ヒントは、変数の宣言、関数の引数、戻り値などにアノテーションを付加することで実現されます。以下は、型ヒントを使用した関数の例です。引数のnameは文字列であり、戻り値も文字列であることが明示されます。
def hello(name: str) -> str: return "こんにちは、" + name + "さん!"
型ヒントはコア機能に含まれているので、追加のライブラリなしで利用できます。