メシウス製品の.NET 8対応版は3つのステップで順次リリース
この日、最後となった主催者であるメシウスのセッションには、同社の氏家晋氏が登壇。メシウスが提供する.NET用開発製品の.NET 8への対応に関するロードマップが紹介された。これについて氏家氏は「2024年初頭から、第一弾、第二弾、第三弾という3つのステップで、.NET 8に対応した製品のリリースを進めて行く予定です」と紹介する。
まず第一弾となる2024年1月には、入力支援コントロールセット「InputMan for Windows Forms」および多段明細データグリッド「MultiRow for Windows Forms」、そして.NET開発コンポーネントセットであるComponentOneの.NET 8対応版をリリースする予定だ。
また2024年2月には第二弾として、Excel/PDFファイルを作成・操作するためのAPIライブラリである「DioDocs for Excel/PDF」、表計算データグリッドコンポーネント「SPREAD for Windows Forms」、そして帳票開発コンポーネントである「ActiveReports for .NET」の新版のリリースがそれぞれ予定されている。
さらに第三弾としては、現段階では詳細なスケジュールは未定であるものの、2024年4月以降に、「SPREAD for WPF」「InputMan for WPF」の.NET 8対応版を順次提供していきたいとしている。
「現在、.NET Frameworkや.NET 6/7で開発運用しているアプリケーションの.NET 8への移行については、Visual Studioの拡張機能である『.NET Upgrade Assistant』が非常に役立ちますが、メシウスでもそうしたツールの活用も含めた移行方法について、製品のヘルプや当社Webサイト上の製品情報ページ、ブログ記事などでも随時紹介していきます。ぜひご覧いただければと思います」と最後に氏家氏は語る。
以上、「ECHO 2023」で実施された4つの講演の模様をレポートしてきたが、最終セッション終了後には、受講者からの質問に講演者が答える質疑応答の時間も設けられた。そこでの主なやり取りについても簡単に触れておこう。
まず、大田氏がセッションの中で、DioDocs for Excelの採用に舵を切った前提部分で述べた、COMオブジェクトの解放をめぐるリスクをについて質問が寄せられた。「解放に難があるのは分かるが、できないわけではない。COMオブジェクトの操作を避ける具体的な理由を教えてほしい」というものである。
これに対し大田氏は、「実際にCOMの解放がたいへん難しいことは前提として、そもそもExcelのCOMを操作するのは、Excelをプログラム的に動かすことであり、本来、人が動かすExcelをサーバーサイドなど人が関与しないところで動作させることには懸念があるというのが私の考えです」と応じた。こちらについては井上氏も昨年の「ECHO 2022」でも言及していたように「サポート外であり、推奨できない」という立場を重ねて明らかにした。
また、井上氏への質問として、.NET6から.NET8への移行を検討している参加者から寄せられたのが、「早めに移行したいとは思っているが、やはりリリース直後はバグなどが含まれていることも考えられる。安定するまでにはどれくらいの期間が必要か」というものだ。
井上氏は「今回の.NET 8はLTSによる提供で、3年間の長いサポート期間を設けているわけです。これは、STSによるリリースに比べて、より安定的な作り込みがなされていることにほかなりません。事実、プレビュー版にしても1~7まで提供されてきましたし、その後正式リリース直前のRC版としても2つのバージョンがリリースされてきています。すでにお客さまも含めた十分検証がなされており、そうした観点から、安定性が担保されていると考えていただいてよいかと思います」と答えた。
クロスプラットフォーム対応やモバイルアプリ対応を含め、常に変化を遂げるアプリケーション開発をめぐるニーズに応えるかたちで、弛みなく進化を続ける.NET。今回の「ECHO 2023」は、今後の.NET開発が目指す世界の全体的なイメージを捉えるうえで有意義な情報を与えてくれるものとなったはずだ。