ChatGPTで生産性と品質を向上させる3つの戦略
それでは、このテクノロジーをどのように活用していけば良いのか。畠山氏は、生産性と品質を向上させるためのポイントとして、以下の3つを挙げた。
- トークンのインプットとアウトプット
- 論理モデルと実装の疎結合
- 既存開発環境との融合
まず1についてだが、ChatGPTのトークンのインプットとアウトプットではトークンの上限が異なることに注意が必要だ。たとえばGPT-4 Turbo プレビューでは、入力トークンの上限は12万8000である一方、出力のトークンはわずか4096しかない。
ChatGPTはチャットでの受け答えを前提としているため、一度に大量の出力はできないのだ。また、トークンが増えると精度は落ちやすくなり、ノイズが生まれてしまうことにも注意が必要だ。
次に2について、畠山氏は「実装の話も大切だが、本当に管理するべきなのは論理モデル」と強調する。論理モデルさえあれば、ChatGPTがドラフトを作成してくれる。それを直す際も、GitHub Copilotで最適化すれば良いだけだ。多くの作業が自動化できるだろう。
畠山氏は、「現時点でLLMの精度には課題がある。そのため、エンジニアの存在が必要だ。しかし、これからLLMの精度は上がっていく。そうなってくると、論理レイヤーをしっかり管理し、各サービス・テクノロジーを最適化することこそがエンジニアの腕の見せ所となっていく」と、これからのエンジニアの仕事のあり方を見据えた。
3では、畠山氏がチームでのプロンプト実行とアウトプット共有について例示。メールから要件を作成すると、その要件をもとにして機能要件・非機能要件・プロジェクトスケジュールなどを作ることができる。さらにそれをもとに画面遷移図、アーキテクチャ図などを作成する。ここまでの作業が、実はプロジェクトマネージャーでもできる時代である。1人でも簡単にできて、時間もかからないので数もこなせる。
UXデザイナーやデベロッパーにしても、もととなるドキュメントさえ共有されていればそれぞれの仕事ができる。つまりチームとして作業ができる。基本となるデータは現状ではほとんどがテキストで、GitHubなど既存のソースコード管理ツールが使えることもメリットだ。
ちなみにこの日、OpenAIは新たな動画生成AI「Sora」を発表。畠山氏はこのニュースに触れ、「今後もLLMは継続的に進化し、さらなる自動化ツールの登場も近い。もっと皆さんの生活は楽しくなるはずだ。少しでも楽しいコーディングができるように祈っている」とセッションを結んだ。