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Developers Summit 2024 Summer レポート

「変化を実感」する重要性、デンソーの取り組みに見るアジャイル開発とスクラム体制の本質とは?

【23-C-5】ゼロから始めたアジャイル開発 ~ 新人エンジニアとユーザーが語る「変化を実感する」重要性 ~

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 製造業全体でDXが進んでいない中、自動車部品メーカーのデンソーは、同社のリスキリングプログラム「DENSO cloud & agile dojo」にて、愛知県の金属プレスメーカーである株式会社タケダのDX支援プロジェクトに取り組み、成果を上げている。本セッションでは同プロジェクトについて、株式会社デンソー クラウドサービス開発部の三浦仁士氏・澤木大輔氏、株式会社タケダ 業務管理部の大滝隆治氏が語る。

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顧客課題を教材として学ぶ「DENSO cloud & agile dojo」

 愛知県のものづくりを支える両社は、車で約5分の距離に本社を構える。同プロジェクトは昨年8月から9月にかけて行われ、三浦氏はその期間について「社用車に入りきらない人は、酷暑の中を歩かされた(笑)。今となっては良い思い出だ」とユーモラスに振り返る。

株式会社デンソー クラウドサービス開発部 三浦 仁士氏
株式会社デンソー クラウドサービス開発部 三浦 仁士氏

 「DENSO cloud & agile dojo」(以下、「dojo」)は、元々クラウドサービス開発部内のオンボーディングプログラムであったが、全社的なソフトウェア人材増加の取り組みの一環として、現在は全社に公開されている。年に数回程度開催されており、現役のソフトウェアエンジニアが講師となって「生きた技術」を教える。

 dojoでは、前半の1か月でウェブ開発とアジャイル開発の基礎を学び、後半の1か月で実際にスクラムで開発を行う。学んだ知識を定着させるだけでなく、アジャイル開発を実体験できることが、このプログラムの特長だ。

未経験者にWebサービス開発を基礎から教え込む「ブートキャンプ」
未経験者にWebサービス開発を基礎から教え込む「ブートキャンプ」

 ただし、過去4回の開催には「リアルな困りごとを題材にせず、仮想ユーザーからのフィードバックで進めていた」「作成したプロダクトがその後使われることはなく、その場限りの開発に留まっていた」などの課題があった。この課題を乗り越えるには、「サンプルではない実際のプロダクト開発」が求められていた。

株式会社タケダ 業務管理部 業務管理課 課長 大滝 隆治氏
株式会社タケダ 業務管理部 業務管理課 課長 大滝 隆治氏

 一方タケダでは、DXに向けた前進としてデジタライゼーションの必要性を認識していたものの、未着手の項目が多く課題が山積し「どこから手をつけるべきかわからない」状況に陥っていた。過去にもデジタル化に挑戦したことはあったものの、特定の人にしか恩恵がなかったり、新しい仕組みが定着せず手戻りが発生したりと、「あまりうまくいかなかった」(大滝氏)。偶然のマッチングから意気投合した両社は、互いのニーズを満たせるdojoに望みをかけたのだ。

タケダは基幹システムのレガシー化など、さまざまなDX課題解決の糸口にする狙いがあった
タケダは基幹システムのレガシー化など、さまざまなDX課題解決の糸口にする狙いがあった

 取り組む課題は、2か月でも技術的な見通しが立てられる「生産実績の可視化」に決定。作業日報をデジタル化し、生産実績をタイムリーに可視化するための基盤作りに取り組むことにした。「現場を巻き込んで進められること、現場の課長にデジタル化を推進したい人材がいることが、選定の決め手となった」と大滝氏は語る。こうして、第5回目のdojoプロダクト開発がスタートを切った。

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最初の不安を乗り越え、相互に成果を実感

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この記事の著者

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

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