必要だと思うことをやっていたら、気づいたらテックリードに
小田中:塩谷さんはテックリードをどのような存在と位置づけていますか?
塩谷:わたしたちはチームのOKRを3カ月単位で立てています。その目標を達成するためにエンジニアがどのように専門性を発揮できるかを考えることが重要だと考えています。特に、テックリード相当のロールを担う方には、ビジネスチームと連携して先の情報をキャッチアップし、最適なシステムやアーキテクチャを検討し、チームの状況を踏まえて優先順位を付けることを期待しています。そのため、テックリードは単に技術的なリーダーではなく、事業の方向性を理解しながらエンジニアリングをリードする存在だと位置づけています。
小田中:塩谷さんはEMとして、村本さんと責任範囲や仕事で重複するところもあるかと思います。そのようなときにどうしていますか?
塩谷:私もスクラムのイベントに参加し、村本さんと1on1でコミュニケーションを取りながら進めています。役割が重なる部分があっても、お互いの強みを活かしながら連携することを意識しています。例えば「次の機能開発にはチームのケイパビリティが足りなさそうだ」と村本さんから相談があった際には、わたしがEMとして他チームとの調整やリソースの管理を担当し、必要なサポートを行うようにしています。
小田中:いいタッグが組めていますね。チームを超えて動けるのは、EMとテックリードが別に存在しているからこそですね。村本さんは実際チーム外の方と関わったりしますか?
村本:今は新規事業にフォーカスしているのであまり関わっていませんが、前のプロダクトだと3チームあったので、改善プロジェクトの立ち上げをしていました。
小田中:ところで前職でもテックリード的なことをやられていたそうですが、前職ではテックリードは明確なロールとしてありましたか?
村本:前職でも明確ではなかったですね。技術で事業を成長させていく責務のチームにいて、例えば機械学習でレコメンドシステムを作るなどの取り組みをしていました。そこのリードをしていたのが、テックリード的な役割を担った最初のタイミングだったのかなと思います。
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小田中:テックリード的な役割は、自分から「テックリードになるぞ!」と狙っていたのか、それとも気がついたらなっていたのでしょうか。
村本:完全に「気がついたら」ですね。当時は自分が必要だと思ったことをやることが多かったです。
小田中:必要だと思うことをやっていたら、気がついたらリードになったと。やるべきことをやるのも大事ですが、結果的にテックリードに選ばれるのは周囲からの信頼もあると思います。何か努力したことはありますか?
村本:自発的に行動を起こすことは多かったですね。仕事とは、与えられるものもあれば、自分から見つけて作り出すものもあると思っています。前職でも自分から仕事を見つけていたり、インプットした技術について何が効果的か実験したりしていたので、そうしたところが評価されていたと思います。
小田中:目の前の課題を解決するために自発的に動くことを積み重ねることで、キャリアが築かれていくのはすごくいいなと思います。ただ若手エンジニアだと、気になっていることがあっても「自分が手を出していいだろうか」と逡巡する人もいます。村本さんはそうした葛藤はありましたか?
村本:あまりなかったかなと思います。前職は新卒採用が多く、自主性は早めに育まれた環境だったと思います。
小田中:ログラスはどうですか?
村本:同じだと思います。ログラスには強いエンジニアが多くいて「ぼくなんかが貢献できるのかな」と不安でしたが、実際入社すると課題はいくらでもあるし、強いエンジニアがいても、その人が全部のことをできるわけではない。自分が見える範囲で自分にできることを拾ってやっていくことは、若手だろうが自信がなかろうができることだと思います。そのために必要なことができる環境です。
小田中:昔も今も、自らハンドルを握って行動することでキャリアを築いているところはブレずに続けていますね。そのなかでOKRのミーティングに参加するなど、少しフェーズが変化していると思います。自分のインプットで何か変化を感じるところはありますか?
村本:何か軸のようなものができつつある気がしています。より中長期で考えて、局所最適にならないような意思決定や、システムの少し先に来る課題に今どんな対処ができるだろうかなど。目線を少し先にしてインプットするところが変化かなと思います。
小田中:具体的にはどのようなことをしていますか?
村本:OKRのミーティングに出ること、事業の構造を把握することです。他には、お客様の課題や、その課題をプロダクトでどう解決するかを把握することは、中長期を考える上で必要です。さらに、これからお客様になりそうな企業の規模や課題をインプットして、現状のシステムで課題が解決できるかどうかを考えることもあります。もし足りないところがあればPdMなどに改善を提案したり、EMにメンバーが足りないと相談したり。これまでにない発想の変化がでてきました。
小田中:先手を打つように変化しているんですね。足りないスキルがあったとき、具体的にどのように身につけていきますか?
村本:ログラスには強いエンジニアがいるので、学ばせてもらうことが多いです。例えばドメインモデリングに強い松岡幸一郎さんと一緒に、業務でもドメインモデリングをやることで概要を知り、松岡さんが開設しているYouTubeを見たり、架空のプロダクトを考えてそのモデリングを実際にやってみたり考えたり、業務に応用したりして身につけるようにしています。