「トップダウンでやればいい」わけではない、生成AI導入の難しさ
最後に斎藤氏は、Sun AsteriskがどのようにAI活用を推進しているのか、その組織体制について紹介した。
日本とベトナムの2拠点、それぞれに「ストラテジックテック」という組織を持っている。その中にエンジニアリングのエキスパートがいて、技術戦略を考えて落とし込んだり、他の事業部とのアラインを行ったりといった役割を担っている。

また、ストラテジックテックの中にはR&Dが設置されており、先述のFigma Pluginや、開発プロセスのモニタリング自動化もこのR&Dによる取り組みだ。R&Dでは、他にも最新のテクノロジーの調査などを実施し、どのように技術戦略に取り入れていくかを検討している。
「AIを活用した開発プロセスが過渡期である現在、ストラテジックテックの役割はますます重要になっている」と斎藤氏は言う。
特にSun Asteriskのようなクライアント事業では、開発にAIを導入することで見積もりの仕方にも変化が出てくる。AIの活用によって作業工数がどう変わり、見積もりにどう反映すればいいのかといった設計も、ストラテジックテックが模索しているという。
また、斎藤氏はAIを活用した開発について「『トップダウンでAIを活用して』と言っても浸透しない」と指摘。常時100以上のプロジェクトが稼働しているSun Asteriskでも、AI導入の難しさを感じていたという。
そこで、同社では「この案件においては、どのようにAIを活用するのか」をあらかじめ宣言してもらうことにしている。プロジェクトが進行している間は、宣言通りに実行できているか、それによって開発品質がどう変わっているのか先述のDevOpsの仕組みでモニタリングするのだ。
Sun Asteriskではこのような形で生成AIを活用した開発に取り組んでいる。斎藤氏は「事業開発において、あらゆるフェーズで生成AIが活用できるようになっている」と、生成AIの活用可能性を改めて評価した。
「今後は、開発プロセスで生成AIを活用する上で、生成AIとなじむようなデザインシステムを構築できるかが重要だと考えています。今期は開発プロセスの中でも特にデザインの部分に力を入れて、AI活用をさらに進化させていきたいです」