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快適なコミュニケーションを実現するために ──CPaaS×生成AIのコミュニケーションプラットフォーム戦略

【13-E-6】CPaaS×生成AIが実現する次世代コミュニケーション革命~システム統合からインテリジェント対話まで~ Vonageで実現する AI時代のコミュニケーションプラットフォーム戦略

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 デジタルトランスフォーメーションが加速する中、顧客とのコミュニケーションは多様化し、その基盤に求められる要件も大きく変化している。そこで注目されているのが、「CPaaS:Communications Platform as a Service」と呼ばれる多様な通信機能をクラウド上で提供するサービスだ。電話、SMS、ビデオ、チャットなどのコミュニケーション機能をAPIを通じて連携させ、さらに生成AIを活用することで高度な対応がかなう。そのベンダーとして一翼を担うKDDIウェブコミュニケーションズでエバンジェリストを務める高橋 克己氏がCPaaSの最新活用法に加え、実装・運用のベストプラクティスを解説した。

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DX推進に必須な「CPaaS」という存在

 KDDIウェブコミュニケーションズでエバンジェリストを務める高橋氏は、「企業や社会のDXが進むにつれ、CPaaS(シーパース)は必ず必要な存在になる。この名前だけでも、是非覚えていってほしい」と冒頭で強く訴えた。

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ エバンジェリスト 高橋 克己氏
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ エバンジェリスト 高橋 克己氏

 「CPaaS:Communications Platform as a Service」とは、電話やSMS、ビデオなどコミュニケーション機能をクラウド上で提供するプラットフォームサービス。市場規模はグローバルで2024年に163億ドル規模に拡大し、2029年には616億ドルまで成長すると予測されており、年平均成長率30%以上が期待されている。

 現在の最大市場は北米だが、伸び率で言えばアジア・太平洋圏での成長が著しい。この市場成長の理由として一番に挙げられるのが、コロナ禍以降、テレビ会議やオンラインコミュニケーションの普及拡大だ。そして5Gの普及やBYODの浸透、コールセンターのCX向上なども大きく影響しているという。

 CPaaSは、あくまでプラットフォームサービスであり、APIで提供されることとなる。つまり、自分たちのアプリケーションに、「ボタンを押すとSMSを送信する」「ビデオ通話をする」などの機能を実装したい時には、APIを利用してプログラムを実装するだけでスピーディに組み込めるというわけだ。

 
CPaaSのアーキテクチャについて

 CPaaSには、SMSやビデオなどを提供するメディアサーバーなどが組み込まれているが、電話については各国の通信事業者との契約や回線接続が必要となる。ここにはかなり複雑なレギュレーション対応が求められ、場合によっては、アグリゲーターと呼ばれる中間事業者経由でつなげることもある。

 最近はTeams、Slack、Workspaceなどの社内コミュニケーション向けの「UCaaS」や、MiiTel、BIZTEL、Genesys Cloud、UJETなど、コールセンター向けの「CCaaS」といった特化型サービスも登場している。

 こうした特化型サービスの登場により、CPaaSはAPIによる部品としての位置づけが強くなり、特に顧客接点における利⽤にCPaaSを利⽤するケースが増えている。高橋氏は、その理由として「社内向けのUCaaSはツールを限定すればいいが、お客様はそうはいかない。時と場合に応じて使い分けるため、全てのチャネルを自前で用意するのは大変。そこでCPaaSを活用してマルチチャネル化を図ろうとしている」と解説した。

 CPaaSを活用する利点は、従量制課⾦であることが非常に大きいことだ。050番号のレンタル費用は月額で1番号165円、発信で1分間5.5円(固定電話宛)となっている。この価格ならば、スモールスタートでグロースが可能なため、大企業はもちろんスタートアップ企業にとってもメリットが大きい。そして、2つ目のメリットは、マルチチャネルであることから、顧客接点の多様化に対応できることにある。3つ目は、「餅は餅屋」とも言うように、マネージドでグローバルなクラウドサービスがすぐに提供されることにある。

日本市場で広がるCPaaS利用と、APIの実践的な活用事例

 CPaaSを提供するベンダーは、グローバルではTwilio、Vonage、Infobip、Sinchの4社が主要プレイヤーとしてあげられる。Vonageが2017年から、Infobipが2021年から、Twilioが2013年から日本で展開しており、それぞれは現在、KDDI、NTT、ソフトバンクという日本の3大通信キャリアと提携関係にある。

 CPaaSの主な活用例としては、二要素認証におけるSMS送信、システム障害時の電話での緊急通報、レコメンデーション通知(SMS)、コールセンター業務(電話)やビデオ会議システムなどが挙げられる。

 興味深い事例として、高橋氏自身が開発した「slackfone」が紹介された。電話の着信があるとCPaaSが受けて音声を文字化し、Slackで通知するというもの。電話データベースと連携させることで、Slackで受けた電話番号の相手がわかるようになっている。電話相手をチェックし、必要に応じて受ければよいため、煩わしい電話対応が不要になる。他にもFileMakerで作成したコールセンターシステム、サイボウズのGaroon用ビデオ会議などが紹介された。

 なおKDDIウェブコミュニケーションズが提携するVonageは、2001年に米国で設立したCPaaSベンダーであり、国内外で12万社以上に採用されている。しかし、提供されるソリューションの裏側にあるため、「使っている」とあえて明らかに明言している企業は多くはない。

 Voice(電話)やMassages(SMS)をはじめ、多彩なコミュニケーションAPIを擁し、ユースケースAPIやマネジメントAPIなどが潤沢に用意されている。これらを活用することで簡便にサービスをつくることができる。

 高橋氏は、CPaaSの魅力を一言で言うなら「アイディア次第で、今までにはなかったコミュニケーションを作れること」と語る。そして、1つのAPIを叩くだけで電話発信ができるデモンストレーションを行なってみせた。

 
多彩のAPIの機能マップ

 CPaaSは、基本的にエンジニア向けのプラットフォームサービスではあるが、実際にはエンジニアではない人も使うことが想定されている。その1つが、ドラックアンドドロップで線を繋いでいくだけで、チャットフローが作成できるノーコードツール「AI Studio」だ。

 その中の新機能として搭載される「ナレッジAI」はこれまでチャットボットに多いシナリオ作成型の分岐モデルではなく、既存のPDFやサイトURL、テキストファイルなどのナレッジをVonageに学習させることで「AI Studio」が参照して回答を作成するというものだ。

 これを使って、自動着信・回答チャットのデモンストレーションが実施された。質問を入れると、既存のナレッジから回答文を作成する。チャットだけでなく、音声などにも適用できるという。高橋氏は「従来のシナリオベースのチャットボットは作るのが大変で、かつメンテナンスも大変。しかし、「AI Studio」なら、ナレッジをどんどん入れるだけでナレッジベースのチャットボットが簡単にでき、メンテナンスも自動的に行なえる」と強調した。

 
ノーコードツール「AI Studio」について

 そして、「Video API」によるWeb会議システムの構築についてもデモが行なわれた。従来から提供していたVideo APIを使ったオープンソースでReactベースのVideoアプリケーションをGitHubに公開しているという。これを用いることで簡単にビデオ会議などが構築できるというわけだ。チャット機能などさまざまな機能がコンポーネント内に含まれ、最も手間がかかるUIも簡単につくることができるので、興味のある方はトライしてみてはいかがだろうか。

さらに快適なコミュニケーションを実現するAI活用

 それでは今後、CPaaSはどのように進化・展開していくのだろうか。Vonageでは「ネットワークAPI」の提供を大々的に打ち出しており、通信キャリアが持つさまざまな情報をAPI経由で提供できるようになることが紹介された。

 「ネットワークAPI」では、「どの地域がどのくらいトラフィックがあるのか=トラフィック状況」がわかるため、ユーザー側の混み具合に応じてトラフィックを制限するなどして、繋がりやすさをコントロールできるようになる。また、各国のレギュレーション情報もわかるため、これまで個別に行なっていたものを全てまとめて実施することができるようになる。

 高橋氏は「こうしたことが把握できると、非常にサービスをつくりやすくなる。たとえば、誰がどこで使っているのかがわかるため、認証のためにコードを送ることも不要になってくる。そうした世界を私たちは実現していく」と強調した。

 そして、注目すべきはやはりAI連携だろう。AIを用いた顧客の声の解析、音声認識や声紋認証などはもちろん、声からアルツハイマーなどの病気を診断するなど、AIを活用した新しいサービスの可能性があげられる。また、前述したようなシナリオ型ではなく、ナレッジベースを使った生成AIの活用も普及していくと考えられる。

 そこで重要なキーワードとなるのが「WebSocket」だ。双方向の通信を実現するためのプロトコルであり、VonageのCPaaSとOpenAIをWebsocketでつなぐことによって、不自然な「間」が空きすぎないリアルタイムでのコミュニケーションが実現するという。

 
「WebSocket」について

 高橋氏は最後にプレゼンテーションのまとめとして、CPaaS市場が年間30%の成長率で拡大していること、日本市場でVonageやInfobipといった主要プレイヤーが展開を強化していることに触れ、「さまざまなコミュニケーションのためのAPIを従量制課金で提供するCPaaSはこれからますます面白くなる。興味のある方はぜひ問い合わせてほしい」と力強く語り、セッションを終えた。

快適なコミュニケーションの実現のために!

 CPaaSに興味のある方、詳しいサービスの内容や、営業説明希望などが知りたい方は、KDDIウェブコミュニケーションズへお問い合わせください。また、今回事例として挙げたVonageの概要と各APIの特長や活用方法の詳細は、Vonageサービスパンフレットから資料請求できます。

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提供:株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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