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Women Developers Summit 2025 セッションレポート(AD)

自分の軸を持って「とりあえずやってみる」が道を拓く──女性として、エンジニアとして、キャリア転機を乗り越える

【session3】ライフイベントをチャンスに変える!不安を乗り越えて築く未来のキャリア

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 IT業界で女性エンジニアがキャリアを築くなかでは、結婚や出産といったライフイベントに直面し、悩むことも多い。そんな中でも、キャリアの転機の一つひとつに丁寧に向き合い、自身の軸をしっかりと持ちながら「なんとかなる」を合言葉に乗り越えてきたパーソルホールディングスの桃井良枝氏。SESからベンチャー企業、そして現在のパーソルホールディングスへと転職しながら、キャリアアップとライフイベントを両立してきた経歴を振り返って、自身が大事にしている考え方を共有した。

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スキルアップを目指し、SESから事業会社へ

 桃井氏は、新卒で地元の零細企業に就職し、事務などの仕事を言われるがままこなしていたという。1年経って自分のキャリアを見つめ直したときに、興味のあったIT業界に入ろうとSES企業に転職した。

 桃井氏は、IT業界に入ってからいくつかのライフイベントを経験し、キャリアと働く価値観を変化させてきた。「このセッションではエンジニア職に就いたあと、2回の転機とそこから得た経験をお話しできればと思っています」

パーソルホールディングス株式会社 グループIT本部 ビジネスコアインフラ部 コアインフラ室 リードコンサルタント 桃井 良枝氏

パーソルホールディングス株式会社 グループIT本部 ビジネスコアインフラ部 コアインフラ室 リードコンサルタント

桃井 良枝氏

 桃井氏は現在のパーソルホールディングスに入社するまでに、IT業界でSES企業とベンチャー企業の2社を経験している。一度目のキャリア転機は、SES企業に在籍しているとき、「結婚」というライフイベントのタイミングで起きた。

 「同じSES企業で、日勤・夜勤の保守業務に就いていた夫と結婚しました。夫は結婚してすぐに事業会社に転職して、インフラエンジニアとして働き始めたんです。事業会社で日々スキルアップをして、充実している様子で、SES企業にいた時よりもかなり楽しそうだな、と。私も事業会社っていいな、と関心が高まりました」

 SES企業時代、桃井氏にとっては初めてのIT業界だったこともあり学ぶことが多かった。主にサポート業務を任される中で、問い合わせをもらうことでサーバーやネットワークの仕組みを知ることができたので、「最初はとても楽しかった」と振り返る。

 一方で、15年前の時代には構築案件に女性がなかなかアサインされる機会が少なく、いつまでもサポート業務しか任せてもらえなかった。桃井氏の業務は、システムの一部の動作について調査をして回答するもの。システム全体に関する知識が身につかないと感じ、「このままでは自分のキャリアが広がらないのでは」という不安があった。

 自社サービスを持つ事業会社ならシステム構築の工程に一貫して関わることができるのではないか。そう考えていたところ、身近な人が事業会社で楽しく働く姿を目の当たりにしたことで、より転職の意思を強くした。

 最初のキャリア転機となったこの転職活動では、自分の「やりたいこと」を見つめ直したと桃井氏。

 「自分はスキルアップを目指したい。スキルアップとは、システムの設計から構築・運用・保守と一貫して関わり学ぶことだと結論付けて、これを軸に転職活動を行いました」

 それまでのエンジニアとしての経歴はサポート業務がメインだったため、なかなか希望の職種で採用してもらえず、転職活動には苦労した。そんな中、クラウドストレージ事業を展開しているベンチャー企業から声をかけてもらってインフラエンジニアとして入社することができた。

 しかし、すぐにはスキルアップに取り組めなかった。あくまでも前職のサポート業務の経験を買われて採用されていたからだ。前職のスキルを生かして実機検証やマニュアルの作成といったサポート業務を行いながら、徐々にできる業務を広げていった。

 少しずつ経験を積む中で、ついに自分でシステム構築・運用保守に関われるタイミングが訪れた。新しいクラウドストレージサービスの事業を開始することになり、桃井氏も開発に携わることになったのだ。

 当時の会社では、機器設置からサーバー構築、運用保守まで自分たちで行っていた。使っているソフトウェアもOSS製品だったため、有償サポートはなく、不具合が起きた際も自分たちで調査・対応していた。

 「周りのサポートを受けながら、サーバーの設計から運用保守という一貫した業務に携われた。転職時に軸にしていたスキルアップの目的を達成することができました」

マネジメント職への挑戦と出産・時短勤務

 ベンチャー企業に入社して5年ほど経ち、桃井氏にシステム部の部長職の打診があった。技術職としてスキルアップに集中したいという思いや、自分に管理職が務まるのか……といった不安はあったものの、引き受けることにした。

 「自分に向いているかどうかはやってみないとわからないので、とりあえずやってみようかな、と。一歩踏み出してみて、うまくいけばそのまま続ければいいし、ダメだったら降りればいいと考えての決断でした」

 そうして始めた管理職は、「意外と楽しいと思えた」という。予算管理や進捗管理、人事評価など新しい業務に向き合うなかで、不安なことは抱え込まず、前任の部長やチームメンバーに相談していた。「どう思われるかよりも、問題を解決することが重要」だという意識で取り組んでいた。

 そんな中で、大きな転機が訪れる。妊娠・出産、そして産休・育休の取得である。当時所属する会社では初の産休・育休取得メンバーとなった。メンバーはみんな協力的で、妊娠中も柔軟に働き、育休の期間を経て、時短勤務で復帰した。桃井氏は、同じ会社で第二子の出産、復帰も経験。その時には部長職を退いており、自分のペースで働ける環境に安心していた。

 しかし、その頃から「最新技術の追求やスキルアップのために使う時間が圧倒的に足りていない」という不安を覚えるようになった。

 「人事制度が変更になって、エンジニアはより技術力を求められるようになりました。私は時短勤務のため、業務時間外のメンテナンス作業などにはほとんど参加できず、他メンバーに対して追い目を感じるようになってしまったんです」

 今後のためにもキャリアアップは目指したいけれど、子育てのためにもワークライフバランスは取りたい。いつか子どもに手がかからなくなって、学習の時間が取れたとしても、若手と同じ土俵で戦い続けることができるのか……などの悩みに向き合い始めた。

 そこで「技術力の成長だけを追い続けるのは苦しい」と感じた桃井氏は、限られた時間の中で成果を出し、キャリアを築いていける方法を模索することにした。そして自身のスキルを考えた結果、マネジメント経験を生かし、人や組織を管理する力を伸ばそうと考え、「マネジメント力を高める転職」を決意した。

 二度目のキャリア転機となった転職では、「マネジメント能力を高める」という軸に加えて、育児と仕事を両立するための2つの条件も決めていた。

 一つ目は上流工程に携われるような職種であること。ベンチャー企業では上流から下流まで全てに携わるのが当たり前だったが、働く時間に限りがある桃井氏は、携わる範囲を絞ったほうがよいと考えたのだ。

 もう一つは、時短勤務とリモートワーク。「家族との時間を大切にしているので、この条件は必須だった」と桃井氏。

 最終面接まで行っても時短勤務とリモートワークの条件が通らず、断られることもあった。そんな中で現在のパーソルホールディングスは桃井氏の希望の働き方を尊重したうえで「ぜひ来てください」と声をかけてくれた。桃井氏は、その言葉に背中を押されて入社を決めた。

キャリアの転機で大事にした3つのポイント

 パーソルホールディングスで新しいキャリアのスタートを切った桃井氏。最初は、前職のベンチャー企業との違いで戸惑うことも多かった。

 「企業の規模や事業内容、業種の違いによって、考え方や社内文化が全く異なると感じました。自分の知らない業務フローがたくさんあって若手社員に教えてもらうこともありました」

 そんな新しい環境で、桃井氏は「今までのやり方は通じないのが当たり前」と考えて、分からないことを恥ずかしがらずに伝え、相談する先を増やすように意識した。

 一方で、前職では当たり前で特別なスキルとして捉えていなかった部分が、役に立つこともあった。前職ではプロジェクトマネージャーを明確に定めずに、各自でタスクを生成・管理してアジャイルに進めていたが、その経験がプロジェクトマネジメントのスキルにつながっていた。

 他にも、業務を円滑に進めるために、年代問わずに積極的にコミュニケーションを取ったり、雑談に参加したりすることも、チームを活性化するマネジメントの一つであることに気づいた。

 そうした働き方が評価され、桃井氏はチームリーダーに任命された。「マネジメント力を高める」という転職時の目標をかなえるチャンスだったが、前職では数名のメンバーの管理しかしたことがなく「10名を超えるチームのリーダーは正直プレッシャーが強かった」と振り返る。

 とはいえ、部長職を引き受けたときと同様に「できるかどうかはやってみないとわからない」という気持ちで承諾。その結果、チームリーダーとして働く中で、マネジメントスキルの向上を実感することができた。主に以下の取り組みを行い、それぞれから学びを得ることができた。

 チームリーダーの経験を経て桃井氏が感じたのは、「会社によって求められるマネジメントの形は異なるものの、どの環境でも共通して求められるのは人間力」であること。

 「人間力とは、信頼関係を築き、相手を理解し柔軟に対応する力。仕事や人間関係を円滑に進めるための総合的な能力です。図には細かいスキルを書きましたが、人間力が土台となってチームの信頼を築き、目標を達成するための重要な要素として機能すると考えています」

 そのうえで桃井氏は「これまで培った経験や知識は、人間力を高めるための大切な土台」と言い、さらに「その土台をもとに、こうあるべきという固定概念にとらわれず、さまざまなことに臆せずチャレンジすることで人間力をさらに高めていきたい」と語った。

 最後に、いくつものキャリアの転機を乗り越えてきた桃井氏が、キャリアの分岐点において大事にしていることを3つ紹介した。

 一つ目は、「軸」を持つこと。「キャリアを見つめ直したときに、譲れないものがきっとあるはず」と桃井氏。桃井氏も、技術のスキルアップやマネジメント力の向上といった軸をぶらさずに、キャリアを選択してきた。

 二つ目は、「とりあえずやってみる」こと。軸が定まっていれば、めぐってきたチャンスをとりあえずやってみることが、必ず自分の成長につながるはずだ。たとえ失敗してもそれは無駄にならない。

 三つ目は「なんとかなる」精神だ。桃井氏いわく、「なんとかなるという気持ちで挑戦してきたことが、現在につながっていると感じている」。キャリアアップにチャレンジしたり、新しい業務や未経験の領域を担当したりするときには、「なんとかなる」精神でやってみてほしいと励ました。

 桃井氏は、自身のこれからのキャリアプランとして「子供が小学生になるまでは時短勤務を続ける」と話す。そのためには、短い時間でも成果が出せるように、工夫を重ねていく必要がある。

 「人間力を高めることも、今後の目標の一つです。現在は若手メンバーのプロジェクトの支援にも取り組んでいます。フォローの仕方やコミュニケーションを磨いていくほか、今回の登壇のように新しい挑戦もやっていきたいです。もちろん、マネジメント力の向上にも引き続き向き合っていきます」

桃井氏のインタビュー記事もおすすめ!

 パーソルのテクノロジーに関する取り組みを詳しく紹介するメディア「TECH DOOR」では、桃井氏のインタビュー記事を公開しています。より詳細な話が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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