検証の壁を乗り越えるために必要な、ビジネスの視点
三つ目に重要なスキルとして紹介されたのは、「ビジネスの考え方」だ。エンジニアもビジネスを理解しておくに越したことはないが、具体的にどのようなスキルが求められるのか。
風間氏は「新規事業の検証をするが、その後が続かない」という失敗の経験を共有した。アイデア創出から企画、検証まではスムーズに進むが、本格的な実装やローンチでつまずいてしまうことが多々あるという。検証の結果、アイデア創出時の想定と同じであることが分かったのにもかかわらず、次に進まないのである。
その原因を、「事業計画に問題があるからだ」と風間氏は指摘する。
「つまり、単にアイデアが良くて、それが技術的に実現できることを証明するだけでは不十分。ビジネスとして成立するかどうかまで落とし込んで考えなければいけません」と語り、事業の目的を見つめ直すことが必要だと強調した。
その事業で何を目指すのか、どういった仕組みでマネタイズするのかによって、検証の内容も変わってくるはずだ。
検証から先に進まないプロジェクトでは、ビジネスの目的に対して検証に過不足がある可能性がある。特に「検証が過剰なことが多い」と風間氏。
「あくまで検証の段階なので、失敗するならもっと早く失敗しないといけないはず。しかし、過剰な検証をやってしまうことが起こりやすいと思います」

デザイン思考の基本に基づくと、最初のプロトタイプは約30分で作ってユーザーに意見を求めるのが理想だ。アイデアから検証まで、あまりに期間が開いてしまうとユーザーのニーズも変わってしまう可能性がある。
「エンジニアはビジネスに関してそこまで考えなくてもよいのでは、と思うかもしれませんが、ビジネスは検証の内容にかかわってきます。最後まで走り切るためにはビジネスの視点が不可欠です」
風間氏がここまで紹介した「3つのスキル」は、実際の経験を通して身につけるべきだと感じた重要な力だ。風間氏自身も、「これからも新規事業に携わっていくうえで、持っておきたい心構え」だという。
しかし、風間氏がそれ以上に重視しているのが「社会課題を解決すること」だ。エンジニアとして働くうえでもっともやりがいに感じていることだと話す。
「今回は3つのスキルを紹介しましたが、それ以上に『自分が社会に対して何がやりたいのか』を考えることが大事。自分が社会で果たしたい役割を、常に見つめていきたい」と語り、セッションを締めくくった。
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