エンジニアはビジネスの最前線へ──現場に踏み込む喜びとマインドセット
──エンジニアがビジネスに「踏み込んでいる状態」とは、具体的にどういうことでしょうか?
「踏み込んでいない状態」とは、限られた範囲の中で言われたことだけをやり、「自分たちが何に貢献しているか分からないまま、でも幸せだ」と感じている状態です。
一方で、「踏み込んでいる状態」とは、ビジネスの現場の泥臭さに身を投じ、汗をかいている人たちと一緒に、技術を分かっている人間として同じ汗をかくことです。物流なら一緒に物を運び、小売なら一緒に物を売りに行く。そうやって現場を一緒に回していく点が大きく違います。
──現場に踏み込むことで、エンジニアはどのような喜びにワクワクできるのでしょうか?
自分たちの技術が社会の役に立っていると、最前線で感じられるのが何より嬉しいです。もちろん辛く厳しい場面もあると思いますが、自分たちが作りたい未来社会の実現に直接貢献できるんです。そして何より高い志を持つ良いチームの中にいられて、自分も成長できる。そのことにワクワクできるんです。物理的な製品だと設計者や作り手と消費者の距離は遠いですが、デジタルサービスは本当にすぐそこにユーザーがいらっしゃいます。
──技術が好きなエンジニアが、ビジネスやお客様をもっと好きになるには、どうすればよいでしょうか?
そのお客様に直接「あなたはこのビジネスのどこが好きですか?」と聞くことです。お互いの「好き」を共有する「オタク同士のトーク」です。人間は、技術だけが好きで他は全部嫌い、なんてことはありません。それぞれの人が誇りを持って自分のビジネスをやっていて、その真髄に触れられると、しびれるほど感動します。私たちも技術が好きなので、お互いに響き合うのです。ビジネスサイドの人たちを心から尊敬していますし、彼らの役に立ちたいと思います。お互いの熱意が交差するところで、良いビジネスが生まれるのだと思います。
エンジニアが真に主役となる未来への道筋
──最後に、これからのエンジニアたちへエールをお願いします。エンジニアが真にビジネスの主役となるために、明日から何をすべきでしょうか?
AIの時代が始まり、エンジニアにとってものすごいチャンスが広がっています。AIを正しく理解して使いこなし、あるいは新しいAIを作れるエンジニアが、これからの社会を支えていかなければなりません。そうした人たちの価値は、ものすごく高まる時代です。これからのエンジニアはAIネイティブですから、間違いなくより高みに登れる、大チャンスの時代だと思います。ワクワクする新しい技術をどんどん使っていきましょう。心から応援したいですし、私たちも最前線を走り続けます。
──そのような未来の実現のために、CodeZineやデブサミのような場に何を期待しますか?
現場で本当に役立つ技術や本物のノウハウを共有する上で、CodeZineやデブサミのような場が非常に重要です。会社の枠を超え、健全に助け合い、より良い世の中にしていく。そうした会社を超えた善意のギブアンドギブがもっと行われるべきであり、その中でコミュニティが果たす役割は非常に大きいと期待しています。「俺たちはこうやって使えるんだぜ、みんなもやろうよ」という善意の発信こそが重要です。忖度のない、技術屋としての純粋な思い。困っている人がいれば助け合う。そういう世の中であり続けたいですね。
──まず技術を愛し、手を動かして、作っている人に会いに行く。私たちのようなメディアや、コミュニティでの情報発信を通じ、ビジネス課題をどう解決しているかを学ぶ。そして、ビジネスに踏み込んでいくことの重要性を、実感しました。私たちもそういった世の中を作れるよう、頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。
