はじめに
Visual Studio 2008 Service Pack1(以下、VS2008 SP1)の追加機能の一つにASP.NET Dynamic Data Application(以下、Dynamic Data)があります。これは、データに対してLINQ to SQLとLINQ to Entitiesを利用し、データを動的に扱うアプリケーション構築を可能にします。
プロジェクトテンプレートにより、既定で「作成、読み取り、更新、削除」が用意されているマスタメンテのようなWeb UIを持つアプリケーションが構築できるのが特徴です。
本稿では、触れている方も多いであろうLINQ to SQLクラスを利用して解説とサンプル作成を行います。
VS2008 SP1で追加された機能に新型データアクセステクノロジ「ADO.NET Entity Framework」が挙げられます。ADO.NET Entity Frameworkは、概念レベルでのモデルの設計、クエリの実行を可能にする非常に柔軟なフレームワークです。
LINQ to Entitiesは、Entityモデルに対して行うLINQのことで、この対象となるのがADO.NET Entity Frameworkのモデルです。
Visual Studio 2008 Service Pack1のリリース
8月12日にVS2008 SP1がリリースされました。VS2008のRTMから一年と経たずにリリースされたSP1ですが、連載の最初に解説したように多くの機能追加(強化)やバグフィックスが行われています。大きな目玉として以下の機能が追加(強化)されました。
- ASP.NET Dynamic Data Application
- WPFのパフォーマンス・機能強化
- ADO.NET Entity Framework
- ADO.NET Data Services
- SQL Server 2008対応
- CLRの改善によるアプリケーション起動速度の向上
今回のSP1を適用することで、SQL Server 2008の利用も問題なく行えるようになるので、SP1の機能を利用するだけでなく、SQL Server 2008を利用する際にも適用は必要になります。
なお、本稿では、SP1のRTM版を利用しています。
Visual Web Developer 2008(以下、VWD 2008)のSP1もリリースされましたが、このVWD 2008は新規インストールが必要になります。Webサイトのみ作成できたVWD 2008ですが、SP1になったことで、Webプロジェクトも作成できるようになります。つまり、VWD 2008でもASP.NET MVCアプリケーションが作成できるようになりました。興味がある方はASP.NET MVCの記事と併せて利用してみてください。
今回触れる部分
- VS2008 SP1のインストール
- ASP.NET Dynamic Data Applicationの概要
- ASP.NET Dynamic Data Applicationを利用したサンプル作成
必要な環境
次の環境が必要です。
- Visual Studio 2008
- Visual Studio 2008 Service Pack1
VS2008のインストールは、Visual Studio 2008入門 第1回を参考に行ってください。
VS2008 SP1インストーラの入手先
VS2008 SP1は、こちらからダウンロードできます。
インストールはウィザードに従って進めるだけです。