Dynamic Dataフィールド(ユーザーコントロール)の作成と適用
Dynamic Dataの表示に使われるDynamic Dataフィールドはユーザーコントロールとして作成することもできます。今回は、AJAX Control ToolkitのToggleButtonExtenderコントロールを適用したユーザーコントロールを作成します。
下準備として、AjaxControlToolkit.dllを参照追加し、ToggleButtonExtenderコントロールで使用するチェック/アンチェックの画像が2つ必要になります(画像はサンプルに含まれているのでよろしければ利用してください)。
Dynamic Dataフィールド(ユーザーコントロール)の作成
配置場所となるFieldTemplatesフォルダ上で[新しい項目の追加]を選択して、Dynamic Dataフィールド-「BooleanImg」と名前を付けて追加します。追加されるユーザーコントロールは1つだけでなく、表示用と編集用が追加されます(BooleanImg.ascx/BoolieanImg_Edit.ascx)。編集用は'_Edit'がベース名の後ろに自動的に付加されるので、ユーザーコントロール自身の命名規則は特にありません。
基本的に内容は同一ですので、ここではBooleanImg_Edit.ascxの設定を示します。
重要なのはチェックボックスのデータバインディングで、System.Web.DynamicData名前空間のIBindableControl.ExtractValues
メソッドを利用します。ExtractValues
メソッドは、フィールドテンプレートコントロール上で双方向データバインディングを実装します。パラメータは1組の名前とデータ抽出元のコントロールの値で、戻り値は名前と値のペアのIOrderedDirectoryとなります。
<%@ Control Language="vb" AutoEventWireup="false" Inherits="System.Web.DynamicData.FieldTemplateUserControl" %> <%@ Register Assembly="AjaxControlToolkit" Namespace="AjaxControlToolkit" TagPrefix="ajaxToolkit" %> <%--Script部分を外せばBooleanImg.ascxのコードとなる--%> <script runat="server"> ' 双方向のデータバインディング Protected Overrides Sub ExtractValues(ByVal dictionary As IOrderedDictionary) dictionary(Column.Name) = CheckBox1.Checked End Sub </script> <asp:CheckBox runat="server" ID="CheckBox1" Checked="<%# FieldValue %>" /> <ajaxToolkit:ToggleButtonExtender ID="ToggleButtonExtender1" runat="server" TargetControlID="CheckBox1" ImageWidth="20" ImageHeight="20" UncheckedImageUrl="../Content/Images/sadface.gif" CheckedImageUrl="../Content/Images/smileface.gif" CheckedImageAlternateText="Check" UncheckedImageAlternateText="UnCheck" />
以上で、ユーザーコントロールが作成できました。
Dynamic Dataフィールド(ユーザーコントロール)の適用
続いてユーザーコントロールをメタデータに使用するための属性を設定します。
UIHint
属性は、ユーザーコントロールのベース名のみ指定することでアクションに対応します。
Imports System.ComponentModel.DataAnnotations <MetadataType(GetType(author.authorMetadata))> _ Public Class author Partial Public Class authorMetadata Private _contract As Object 'Boolean形を表示するユーザーコントロール(BooleanImgとBooleanImg_Edit)を指定 <UIHint("BooleanImg")> _ Public Property contract() As Object Get Return _contract End Get Set(ByVal value As Object) _contract = value End Set End Property End Class End Class
以上で、ユーザーコントロールの指定も完了です。実行すると、図18~19のようになります。
カスタマイズのコツもこれで理解していただけたかと思います。
まとめ
Dynamic Dataは、開発者の労力をかけずとも簡単なデータドリブンアプリケーションが作成できることが確認できたかと思います。冒頭にも記述しましたが、現時点でのLINQの仕様から一括処理はできません。しかし、その点を除けばカスタマイズしやすく、非常に柔軟なアプリケーション基盤だと言えます。
また、Dynamic Dataはプロジェクト生成時に通常と比較にならないほどファイル・ソースが自動生成されます。特にGlobal.asax.vb・ユーザーコントロール部分は既定で作られているソースを修正するのは熟知していないとアプリケーションが想像通り動かなくなることもあります。
Dynamic Dataにおける開発者の役割は、自動生成されるファイル自身にはあまり手を加えず、パーシャルクラスやカスタマイズページ、ユーザーコントロールを使ってプロジェクトを構築していくことが推奨されていると言っても過言ではありません。
つまり、データベース(データモデル)あってこそのDynamic Dataですが、実際に利用するのはメタデータ・メタモデルであることが分かります。
現場での利用を考えた時にまだ積極的な利用はし辛いかもしれませんが、システムの一部としてDynamic Dataを組み込んで構築するには便利な基盤だと思います。
VS 2008 SP1もRTMされたので、ぜひ一度お試しください。次回は、RESTfulなやり取りを可能にするADO.NET Data Servicesについて解説します。お楽しみに。