DatabaseGear + CodeGearの取り組み
駆け足で紹介してきたが、このようにDatabaseGearは、単独で利用するだけでもデータベース開発を効率化し、その品質を高めることができる。しかし、エンバカデロが進めるもう1つの価値の創出は、DatabaseGearとCodeGearの融合、つまりアプリケーション開発との融合にある。
藤井氏は、この融合の取り組みを3つのフェーズによって示した。
第1フェーズ
最初のフェーズは、CodeGear製品とDatabaseGear製品のゆるやかな連携だ。多くの企業向けアプリケーション開発では、データベースは必須だ。変更のサイクルが早くなっているからこそ、アプリケーション開発とデータベース開発の連携は欠かせない。「従来なら、データベースはそこにあるものとしてアプリケーション開発で利用していたが、もはやデータベースも日々変化するものとなってきている」
こうした状況で、例えばER/Studioのような製品を利用する価値は高い。現時点では、両製品は緊密な連携を果たしていないが、対応するデータベースやプラットフォームを拡充し、連携のハウツーなどを提供することで、CodeGearの開発ツールを利用する開発者にとって有効なデータベース開発ツールとなる。具体的な例として、Delphi/C++Builder 2009 Architectのように、ER/Studio Developer Editionなどアプリケーション開発者向けに機能を限定したDatabaseGear製品を開発ツールにバンドルするケースが挙げられる。
第2フェーズ
次のフェーズは、CodeGear製品とDatabaseGear製品の補完性のあるソリューションを提供することだ。例えば、先に紹介したDB Optimizerは、アプリケーション全体のパフォーマンス分析・修正のためのソリューションという視点で見た際にも、有効なツールとなる。
Java向けには、従来Optimizeitとして知られてきたパフォーマンスツールがある。これは、エンバカデロで新たに「J Optimizer」として登場する予定だ。このJ Optimizerは、Java VMといった特定のJava環境のメモリ管理やスレッド管理といったレベルから、Javaアプリケーションサーバーの各コンテナ機能のレスポンス分析など、幅広いJavaのパフォーマンス分析に対応する。
このツールとDB Optimizerを組み合わせれば、Javaアプリケーションのコンテナ上の動作から、その中で実行されるSQLの細部までドリルダウンして、詳細にパフォーマンス劣化の原因を特定することができるだろう。
このように組み合わせによって、価値が高まる例はこのほかにもある。特に最近では、フレームワークによってデータベースアクセス部分を抽象化する開発手法が普及してきており、このようなケースでSQLに立ち返ってパフォーマンス分析ができることは重要だ。
第3フェーズ
藤井氏は、「あくまでもディスカッションレベル」のアイデアとしながらも、第3のフェーズについて紹介した。例えば、PowerSQLのようなSQL支援機能は、すぐにでもCodeGearの開発ツールに取り込んで、開発フェーズでのSQLの取り扱いを効率化できるようにしたい。そのほかにも、開発サイクル全体を通して、さまざまな機能が相互補完的に機能強化に貢献するだけでなく、開発スタイルを大幅に変革するイノベーションを実現できるような組み合わせが考えられるかもしれない。
DatabaseGearとCodeGearの融合の取り組みは、まさに今始まったばかりだ。開発者の生産性を高めるという課題に対し、両者の融合の成果が活かされるときを期待したい。