Eclipseの導入メリットとデメリットは?
ご覧いただいたとおり、Eclipseはシステム開発の全工程に対してなんらかの貢献ができます。下流工程と言われるプログラム設計やプログラミング、テストではもちろん、上流工程と言われる要求分析や外部設計・内部設計でもモデリングなどの機能を用いることで、開発作業の効率化が期待できます。本体および多くのプラグインがフリーであり(有料のプラグインもあります)、業務での利用も制限されていないため、開発現場や会社、自宅や学校でも、同じ開発ツールを使えるのは大きなメリットでしょう。
デメリットをあえて挙げるとすれば、便利すぎることかもしれません。例えば、Eclipse付属のエディターは非常に強力であり、キーワードを途中までタイプすると続きを補完してくれたり、次に何をタイプすべきかを教えてくれたりします。そのため、キーワードの正確なスペルを覚える必要がなく、Javaが提供している機能(メソッド)の呼び出し方法などを調べる手間が省けます。よって、SJC-P(サンマイクロシステムズのJavaプログラマ認定試験)などの資格に挑戦される方は、これらの機能をオフにしておかないと試験本番で困るかもしれません。
Eclipseのバージョン、インストール方法の種類
Eclipseにはバージョンごとにニックネームがついています。今回は執筆時点での最新バージョンである3.4を用いますが、このニックネームは「Ganymede(ガニメデ)」で、1つ前の3.3は「Europa(エウロパ)」、開発中の次期バージョン3.5は「Galileo(ガリレオ)」と呼ばれています。これらはすべて木星の衛星に関連した名前です。ダウンロードや使い始めてからの情報収集のために、覚えておくと便利です。
さて、いよいよダウンロードですが、ダウンロードと日本語化を合わせて考えておきましょう。というのも、Eclipse本体は英語版のため、日本語対応するには次の2つの方法があるからです。
- 【方法1】
英語版のパッケージをダウンロードしてから、日本語化パックをダウンロードして適用する - 【方法2】
あらかじめ日本語化されているパッケージをダウンロードする
また、それぞれの方法について複数の選択肢があります。最もオーソドックスなのは、【方法1】で、Eclipse開発の中心サイトである「eclipse.org」から英語版のパッケージとBabel多言語化パックをそれぞれダウンロードすることです。しかし、残念ながらBabel多言語化パックの開発は遅れがちで、最新版用の多言語化パックが未公開だったり、不完全だったりします。
そこで、同じ【方法1】で「eclipse.org」に先行して日本語化パックを開発しているNTTデータグループ・オープンソーススクエアの「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」をお勧めします。こちらの方がBabel多言語化パックよりも先に開発されているからです。
次に【方法2】の代表と言えるのがMergeDocプロジェクトによる「Pleiades(プレアデス)」です。Pleiadesは「Eclipse プラグイン日本語化プラグイン」で、Eclipse 3.1~3.5および150以上の既成プラグインを日本語化できます。実は、Eclipse 3.3以降の多言語パックはPleiadesの訳が元になっていて、訳の追加や修正はPleiade → Eclipse 日本語化言語パック(サードパーティ版) → Babel多言語パックの順に反映されています。つまり、最も早く日本語化を提供するのがPleiadesというわけです。
こう書くと【方法2】のPleiadesが最良ということになりますが、残念ながら、Pleiadesはプラグインで動作するという仕組み上、パソコン性能の要求が高く、CPUやメモリが低速なパソコンでは快適な動作は期待できません。また、Pleiadesのパッケージ「Pleiades All in One」の対象OSはWindowsのみであり、LinuxやMac OS X向けのパッケージは提供されていません。Windows以外でPleiadesを用いるには【方法1】によって英語版のパッケージをダウンロードしてから、Pleiades単体をダウンロードして適用する手順になります。以上をまとめると下図のようになります。
今回はプラットホームと方法の多くの組合せの中から、Windows(XPまたはVista)において【方法1】の「Eclipseパッケージと日本語化言語パック(サードパーティ版)」を用いる場合を説明します。