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Silverlight 2で作成する業務アプリケーション入門(AD)

Silverlightとサーバーサービスの連携

Silverlight 2で作成する業務アプリケーション入門(6)

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ASP.NET Webサービスを呼び出す際の注意点

 ここまででSilverlightからWebサービスを呼び出すことが可能になりました。

 SilverlightからWebサービスを呼び出す際にはいくつかの注意点がありますので、ここで触れておきましょう。

WebServiceの設定情報

 サンプルではVisual Studioのテスト用Webサーバー上にWebサービスを配置しましたが、Silverlightを本番環境に移送する場合は、Webサービスの参照も本番のWebサービスに切り替える必要があります。

 WindowsアプリケーションやASP.NETではapp.configやweb.configといった設定ファイルにWebサービスへの参照情報を記述しましたが、Silverlightでもサービスリファレンスの設定時に作成されるServiceReference.ClientConfigファイルにWebサービスへの参照情報が記述されています。

 本番環境に移送する場合には、このファイルのendpoint情報を変更しSilverlightを再パッケージ(XAP)化する必要があります。このため実際の開発時にはテスト用と本番用の2つのServiceReference.ClientConfigを用意したり、MSBuildのビルド時に定義を置き換えたりといった工夫が必要になると思います。

 MSBuildのビルド時にXMLの定義情報を書き換える方法がNAndu氏の記事『XmlMassUpdateタスクを使用したデプロイ』にまとまっています。ぜひ参考にしてください。

クロスドメインリクエスト

 もう一つ大きな問題になるのが、Silverlightから違うドメインのサービスを呼び出す際に問題になるクロスドメインリクエストの問題です。

 Silverlightの既定ではSilverlightをホストしているドメインにあるサービス以外へのリクエストは禁止されています。もしSilverlightからの接続が許可されていない他ドメインにあるWebサービスを呼び出そうとした場合、実行時にCommunicationExceptionの例外が発生します。

他ドメインへのリクエストの禁止
他ドメインへのリクエストの禁止

 他ドメインに対するリクエストを無制限に許してしまうと、悪意を持ったプログラムは、利用者が気づかないうちに他ドメインのサービスに対し、サービス拒否攻撃(DDoS)やDNS Rebinding、逆トンネルといった攻撃を行ってしまう可能性があります。

 Silverlightでは、Webサービスをホストするドメインのサーバーで、Silverlightからのリクエストを許可することを表すドメイン間ポリシーファイルをサーバーのルートサイトに公開してもらうことで、クロスドメイン間のリクエストが許可される設計になっています。

 つまり業務で他システムのサービスを利用する場合、対象サービスのルートサイトにドメイン間ポリシーファイルが提供されているか、提供してもらうことが可能かを確認・検討することが必要となります。

 また、Visual StudioのテストWebサーバーでSilverlightをホストしている場合、「http://localhost:2591」といったようにポートが自動的に割り振られます。この状態で、「http://localhost」に存在するWebサービスに対してリクエストを発行すると、上記のCommunicationExceptionが発生してしまいます。

 この場合、localhostのルートサイト(既定ではC:\Inetpub\wwwroot)に後述するドメイン間ポリシーファイルを配置する必要があります。

 Visual StudioのテストWebサーバーがバインドするポート番号は次の方法で確認・設定を行うことができます。Visual Studioのソリューションエクスプローラから、該当Webサイトプロジェクトを右クリックして、[プロパティ]-[Web(ポート番号の確認)]を開いてください。

ポート番号の確認
ポート番号の確認

ドメイン間ポリシーファイル

 Silverlightで使用されるドメイン間ポリシーファイルは、Flashで使用されているcrossdomain.xmlとSilverlightで新たに採用されたclientaccesspolicy.xmlの2種類があります(Silverlightではcrossdomain.xmlはすべてのドメインに対しアクセスを許可する/しないの2択しか設定できません)。

 Silverlightではクロスドメインへのリクエストがあった場合、まず始めに対象ホストのルートサイトからclientaccesspolicy.xmlを検索します。clientaccesspolicy.xmlが存在しない場合は続いてcrossdomain.xmlを検索し、発見されたドメイン間ポリシーファイルを元にアクセス制御を行います。読み込まれたドメイン間ポリシーファイルの設定はブラウザセッションの間有効になります。テスト中にドメイン間ポリシーファイルを書き換えても、ブラウザを再起動するまで変更が有効になりませんので注意してください。[リスト3]にclientaccesspolicy.xmlの例を示します。

[リスト3]clientaccesspolicyによるアクセス制限1(clientaccesspolicy.xml)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<access-policy>
  <cross-domain-access>
    <policy >
      <allow-from http-request-headers="SOAPAction">
        <domain uri="http://localhost:2591"/>
      </allow-from>
      <grant-to>
        <resource path="/webservice1/" include-subpaths="true"/>
      </grant-to>
    </policy>
  </cross-domain-access>
</access-policy>

 この例では、「http://localhost:2591」ドメインからのSOAPActionについて、webservice1ディレクトリにあるWebサービスについてアクセスが許可されています。

 また、例えばすべてのドメインから、すべての要求に応えるためには[リスト4]のように構成を変更します。

[リスト4]clientaccesspolicyによるアクセス制限2(clientaccesspolicy.xml)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<access-policy>
  <cross-domain-access>
    <policy >
      <allow-from http-request-headers="*">
        <domain uri="*"/>
      </allow-from>
      <grant-to>
        <resource path="/" include-subpaths="true"/>
      </grant-to>
    </policy>
  </cross-domain-access>
</access-policy>

 clientaccesspolicy.xmlを配置して動作を確かめてください。問題なくサービスを呼び出すことはできましたか?

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ASP.NETサービス以外との連携

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト かるあ (杉山 洋一)(カルア(スギヤマ ヨウイチ))

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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