はじめに
Liftによるアプリケーション開発、第3回となる本稿は、Modelを利用したデータアクセスについて解説します。
前回、LiftのView層を解説する際に利用したサンプルを、LiftのModelを利用してデータベースへのアクセスを行うように改良しながら、Modelの使い方について説明します。
対象読者
- Javaは知っているが、Scalaも学んでみたいと思っている方
- ScalaでのWebアプリケーション開発に興味がある方
必要な環境
最低動作環境
- Java SE 5
推奨環境
- Java SE 6
- Apache Maven 2.10
- Scala 2.7.5
LiftのModel
Liftにおけるデータアクセスコンポーネントは、Mapper and Record Frameworkと呼ばれています。その名のとおり、MapperはJDBCを利用したデータアクセスを提供するコンポーネントで、RecordはMapperを抽象化してJDBC以外の(XMLなど)を対象としたデータアクセスを提供するコンポーネントです。ただし、Recordの方は現在開発中のため、ここではMapperを主に解説することにします。
Modelの特徴
Modelは、次のような特徴を持っています。
(1)規約による設定
データベースとのマッピング定義は規約による設定(CoC:Convention over Configuration)を採用しています。テーブル名=Modelのクラス名、カラム名=モデルクラスのプロパティ名という形でマッピングを定義します。
(2)スキーマの同期
schemifyによるスキーマの同期という機能があります。データベースのスキーマとModelに定義されているプロパティを自動的に同期することができ、スキーマを拡張しながらの開発が可能です。
(3)動的な検索API
SQLを意識しない動的な検索APIが提供されています。検索条件やソート順などは、ModelのAPIを利用して指定します。開発者が直接SQLを意識して作成することなく動的な検索を実現できます。もちろん、直接SQLを指定した検索も可能です。
(4)CRUD画面の自動生成機能
CRUD画面の自動生成機能がサポートされています。Modelクラスに、Crudfyというtraitを追加するだけで、簡単な一覧検索、登録、更新、削除を行う画面が自動生成されます。生成する画面は、ある程度開発者が拡張、カスタマイズすることもできます。
MapperとMetaMapper
Modelを定義するには、MapperとMetaMapperという2つのコンポーネントを作成する必要があります。
Mapperは、データベース上のテーブルに対応するクラスです。Mapperのインスタンスが、データベース上の1レコードに対応します。Mapperクラスのクラス名がテーブル名に対応し、プロパティの定義がテーブルのカラム名に対応します。Mapperクラスには、データの保存や削除などの、レコード単位の操作を行うメソッドが定義されています。
MetaMapperは、テーブル単位の定義や操作を行うシングルトンオブジェクトです。MetaMapperオブジェクトは、Mapperクラスのファクトリクラスであり、検索やソート順の定義などを定義します。
MapperクラスとMetaMapperオブジェクトの関係は、以下の図のようになります。