Scalaでのオブジェクト指向サポート
「今からはじめるScala」は今回で最終回となります。今回は、オブジェクト指向プログラミングをScalaがどのようにサポートしているかを解説します。
多くのプログラミング言語と同様に、Scalaではクラスを定義し、継承関係を持たせることが可能です。Scalaの世界では、1(Int型)やtrue(Boolean型)などJavaではプリミティブ型として取り扱われていた値についても、オブジェクトになっており、メソッドを呼び出すことなどが行えます(Rubyでも同じですね)。前回解説した関数もオブジェクトです。
さらに、前編で簡単に紹介したケースクラスや、シングルトンオブジェクトを生成する構文、Mix-Inを可能とするトレイトなど、さまざまなプログラミング言語の特徴を取り入れたハイブリッドなオブジェクト指向プログラミングをサポートしているのです。
クラスについてのおさらい
「今からでも遅くない これから始めるScala 前編」で解説した内容ですが、Scalaでのクラス定義の方法をおさらいします。
Scalaでは、クラスの宣言はclassキーワードを用います。次のような書式となります。
<case|abstract|sealed> class クラス名[型パラメータ]( <val|var>引数名:引数型,・・・ ) extends スーパークラスまたはトレイト with トレイト1 with トレイト2 ... { クラス本体 } }
トレイトについては後ほど説明します。 では、いくつか具体的なクラス定義の例を挙げます。
// 抽象クラス 楽器 abstract class Instrument { def play:Unit // サブクラスで実装する抽象メソッド } // ギター コンストラクタに名前をとる class Guitar( val name:String ) extends Instrument { def play:Unit = println("ギャーーンッッ!!") // 抽象メソッドを実装 } // ベース コンストラクタに名前をとる class Base( val name:String ) extends Instrument { def play:Unit = println("ボボンボン") // 抽象メソッドを実装 }
抽象クラスInstrumentを継承する形で具象クラスGuitarとBaseが定義されています。Instrumentクラスは抽象メソッドplayを持っており、これはサブクラスで実装が必要です。
GuitarクラスやBaseクラスはコンストラクタ引数にString型のnameを取ります。これは、valが付与されているので引数で受け取った値はpublicなフィールドとして公開されます。valですので、読み取り専用フィールドになりますが、varを指定した場合は書き込みも可能なフィールドになります。
REPLで動作確認してみましょう。
scala> val guiter = new Guiter( "Fender Jazz Master '65") guiter: Guiter = Guiter@54477b4e scala> guiter.play ギャーーンッッ!! scala> guiter.name res1: String = Fender Jazz Master '65
ここまでが、前編で取り上げたクラスに関してのおさらいです。