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今からでも遅くない これから始めるScala

今からでも遅くない これから始めるScala(後編)

進化したオブジェクト指向


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パターンマッチ

 ここでは、前編と中編で簡単に紹介したScalaのパターンマッチについて、詳細を解説したいと思います。

 パターンマッチは、強力な条件判断を行うための仕組みです。JavaやC言語のswitch文と異なり、型によるマッチやif文によるパターンガード、ケースクラスと組み合わせたオブジェクトの構造に対するマッチなど、簡潔な記述でさまざまな方法で条件判断を行うことが可能です。

パターンマッチの基本

 パターンマッチは、match式を用いて記述します。基本的な書式は次のとおりです。

リスト12 パターンマッチの書き方
値 match {
  case パターン1 => { 処理1 }
  case パターン2 => { 処理1 }
  case ...
  case _ => { どのパターンにも当てはまらない場合 }

 さて、具体的なパターンの記述方法ですが、次のようにさまざまなパターンが記述できます。

パターンの記述方法
種類 記述例 説明
ワイルドカードパターン case _ あらゆるものにマッチ。ようはdefault。
定数パターン case "foo" "foo"など値にマッチ。
変数パターン case n すべてにマッチするが、マッチした結果をnという変数名で束縛して使える。
型付きパターン case d:Double Double型の場合にマッチ。
パターンガード case n if n % 2 == 0 ifで条件を指定。例では偶数のみマッチ。
コンストラクタパターン case Foo( s, n ) caseクラスであるFooクラスにマッチし、Fooクラスのプロパティを変数s, nに束縛する。

 具体的な例を見てみましょう。以下のmatchTestメソッドはAny型の引数をとり、パターンマッチで型の判定を行う単純な関数ですが、上記の表で紹介したパターンをほぼすべて使用しています。

リスト13 パターンマッチのサンプル
def matchTest( v:Any ) = v match {
  case n:Int if n < 0 => "負の整数です"      // Int型の型付きパターンとパターンガード
  case n:Int => "正の整数です"               // Int型の型付きパターン
  case s:String => "文字列(%s)です" format s // String型の型付きパターン
  case 3.14 => "Double型の値3.14です"        // 3.14という定数パターン
  case Some( x ) => "Option型で値は%sです" format x  // ケースクラスOption型のコンストラクタパターン
  case x:AnyRef => "%s型の値%sです" format ( x.getClass ,x ) // AnyRef型の型付きパターン
  case _ => "どのパターンにもマッチしません" // ワイルドカードパターン
}

 では、リスト13のmatchTestメソッドをREPLで定義して、さまざまな値を渡してみましょう。

リスト14 パターンマッチの動作確認
scala> matchTest( 10 )
res1: java.lang.String = 正の整数です

scala> matchTest( -99 )
res2: java.lang.String = 負の整数です

scala> matchTest( "hogefuga" )
res3: java.lang.String = 文字列(hogefuga)です

scala> matchTest( 3.14 )
res4: java.lang.String = Double型の値3.14です

scala> matchTest( Some( List( 2,3) ) )
res5: java.lang.String = Option型で値はList(2, 3)です

scala> matchTest( new Date  )
res6: java.lang.String = class java.util.Date型の値Fri Jun 18 18:26:48 JST 2010です

scala> matchTest( null  )
res7: java.lang.String = どのパターンにもマッチしません

 引数の型や値によって、処理が分岐していることが確認できると思います。このように、パターンマッチはこれまでのswitch文やif文を組み合わせて記述していた条件分岐をすっきりとまとめて書くことができるのです。

次のページ
ケースクラス

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 尾崎 智仁(オザキ トモヒト)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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