FireMonkeyフレームワークを使う
FireMonkeyとは
FireMonkeyは、バージョン「XE2」からDelphi / C++Builderに搭載されたコンポーネントフレームワークです。Delphi / C++Builderには、これまでVCLと呼ばれるコンポーネントフレームワークがありました。VCLはWindowsコントロールをカプセル化するとともに、便利な機能をたくさん提供していました。開発者は、マウス操作で簡単に高機能なWindows向けのアプリケーションを作成できました。
FireMonkeyがVCLと違うのは、まずマルチプラットフォームサポートという点です。Windowsだけでなく、Mac OS X、iOSで利用できます。通常マルチプラットフォームというと、限定的な機能しか使えなかったり、実行パフォーマンスが劣る場合がありますが、FireMonkeyは違います。FireMonkeyは、CPU/GPUネイティブで、見た目にもきれいな2D/3Dグラフィックを扱えます。単に複数のプラットフォームで動くというだけでなく、これまで専門のグラフィックライブラリなどを用いないと実現できなかった高度なグラフィック処理を、コンポーネントで簡単に作成できるのです。
iOSアプリ開発にFireMonkeyを使う
Delphi XE2でiOSアプリを開発する場合にもFireMonkeyフレームワークを使います。専用のウィザードが用意されているので、簡単にアプリのひな型を作成できます。
- Windows 上でDelphi XE2を起動し、IDEのメニューの[新規作成]-[その他]を選択し、「新規作成」ダイアログを表示します。
- 左のツリーのペインで「Delphiプロジェクト」をクリックすると、右側に作成可能なアプリケーションの種類が表示されます(図5)。
- FireMonkey HD iOSアプリケーションをマウスで選択して、[OK]ボタンをクリックします。
- 設計画面に切り替わり、画面上にiPhoneっぽいフォーム画面が表示されます(図6)。
Delphiでは、赤い印をつけた部分にあるツールパレット上のコンポーネントと呼ばれる部品を、このフォーム上に配置し、緑の印をつけた部分にあるオブジェクトインスペクタで、コンポーネントの設定を行うだけで簡単に画面を設計することができます。また紫の印をつけた部分は構造ペインと呼ばれ、フォーム上に配置されたコンポーネントが追加されていきます。
- ツールパレットの「検索」と描かれている部分に「view」と入力します。
- すると、フィルタリングが行われ、ツールパレットの中にあるコンポーネントで「view」と名のつくコンポーネントのみ表示されます(図7)。
コンポーネントは多数あるので、あらかじめ使用したいコンポーネントが分かっている場合は、この検索機能を使うと便利です。ここでは、TViewPort3Dというコンポーネントを使います。これは、後で使用する3Dコンポーネントを表示するためのビューポートになります。
- 絞られて表示されたコンポーネントの中からTViewPort3Dを選択し、マウスでダブルクリックします。または、ツールパレットからフォーム側へ、ドラッグ&ドロップします。設計画面上は図のようになります(図8)。
- 設計画面上で、配置したViewPort3D1をマウスで選択して、左下にあるオブジェクトインスペクタのAlignプロパティの値をalTopに変更します。するとViewPort3D1コンポーネントが、フォームの上部に移動します(図9)。
このようにDelphiではオブジェクトインスペクタを使用して、プロパティの値を変更することで、そのコンポーネントに対する設定を簡単に行うことができます。