【実践編】単純な名寄せ処理の開発
ここからは前半の理論を踏まえて、実際の開発例を示していきます。
サンプルの概要
PCの役割は至って単純です。会員テーブルの各列について値が同じデータを表示し、操作者が同一人物と判断した行にチェックしてもらい、その指示に従って名寄せ処理を行うだけです。なお、検索データを絞り込むため、各列に条件を指定できるようにします。
- (PC)会員検索画面を表示する
- (操作者)値の重複チェックを行う列(例えば、姓と名)を選択する
- (PC)選択指示に従い、会員データから結果(例えば、同姓同名リスト)を表示する
- (操作者)同一人物と判断した行にチェックを入れて[名寄せ処理]をクリックする
- (PC)チェックされた会員データについて名寄せ処理を行い、会員検索画面に戻る
フリガナ列を指定すれば、複数の漢字表記がある苗字(阿部と安倍、渡辺と渡部など)や、異字体(高と髙、崎と﨑と嵜など)も同一画面に表示でき、判断が容易になります。
また、電話番号、電子メールアドレスが同じならば、まず同一人物と判定できます。
名寄せの方法には(1)余分なレコードを削除する、(2)複数レコードのフィールドを組み合わせる、が考えられますが、今回は(1)の方法で説明します。また、会員IDを外部キーに持つテーブルに連動した修正も必要ですが、今回は取り上げないことにします。
VB.NET+SQL Serverでの実装例
完成サンプルは、ページ上部のサンプルファイルのリンクからダウンロードできます。解凍後、VWD2010を起動し[ファイル]-[Webサイトを開く]で開きます。動作は「Unify.aspx」を右クリックし、[ブラウザで表示]のクリックで確認できます。
以下は、ポイントのみの説明になるので、サンプルと合わせてご確認の上、VWD2010での具体的な操作については、ASP.NET関連書籍などを参考にしてください。
- 手順1 用意するテーブル
- 手順2 ビジネスオブジェクトの準備
- 手順3 画面の定義
- 手順4 ロジックの定義
用意するテーブル
Memberを以下のように定義し、データを格納しておきます。
No. | 項目 | 列名 | データ型 | キー |
1 | 会員ID | MemberID | int(自動連番) | 主 |
2 | 姓(漢字) | SeiKanji | nvarchar(6) | |
3 | 名(漢字) | MeiKanji | nvarchar(6) | |
4 | 姓(カナ) | SeiKana | nvarchar(12) | |
5 | 名(カナ) | MeiKana | nvarchar(12) | |
6 | 郵便番号 | ZipCode | nvarchar(8) | |
7 | 住所1 | Address1 | nvarchar(24) | |
8 | 住所2 | Address2 | nvarchar(24) | |
9 | 電話番号 | TelNum | nvarchar(13) | |
10 | 携帯番号 | MobileNum | nvarchar(13) | |
11 | 備考 | Remarks | nvarchar(50) |