EntityFrameworkのバージョン変更
2013年4月現在の最新のEntity Frameworkのバージョンは5.0です。4.0からの変更点として、Enumのサポートやパフォーマンス改善、この後説明するSQL Server 2012 Express LocalDB(以下LocalDB)対応などがあります。
今回はLoaclDBを使う予定なので、こちらも最新にしておきましょう。NuGetを使うことで、最新バージョンに簡単に更新することができます。
(1)NuGetによるライブラリバージョン更新
まず、「ツール」-「ライブラリパッケージマネージャー」-「パッケージマネージャーコンソール」を選択して、NuGetのコンソールを表示します。
次に、以下のコマンドを実行して、ソリューションに含まれる各プロジェクトが参照しているEntity Framworkをバージョン5.0.0に更新します。
PM> Update-Package EntityFramework
SQL Server 2012 Express LocalDBへの切り替え
ASP.NET 4.5の新機能ではありませんが、.NET Framework 4.5リリースに先立って、SQL Server 2012 Expressに「LocalDB」という機能が追加されました。簡単に言うと、サービスではなく、必要な時にプロセスが起動する、開発向けのSQL Serverです。主な利点として、通常のSQL Serverと互換性のあるAPIを提供しながら、動作が軽いことが挙げられます。詳しくは以下のページを参照してください。
上記ページにもある通り、今後はLocalDBの使用が推奨されるそうなので、本連載でもそれに倣うことにします。
(1) DB接続文字列の変更
LocalDBを使うように切り替えるには、DB接続文字列を変更するだけで対応可能です。Web.configファイルのconfigurationセクションのconnectionStrings要素内、add要素を次のように変更します。
<!-- 変更前 <add name="MRRSConnectionString" connectionString="data source=.\SQLEXPRESS;Integrated Security=true;AttachDBFilename=|DataDirectory|\MRRS.mdf;User Instance=true;Initial Catalog=MRRS;" providerName="System.Data.SqlClient"/> --> <add name="MRRSConnectionString" connectionString="data source=(localdb)\v11.0;Integrated Security=true;AttachDBFilename=|DataDirectory|\MRRS.mdf" providerName="System.Data.SqlClient"/>
まず、「data source」プロパティを"(localdb)\v11.0"に変更します。"(localdb)"はLocalDBを表し、"v11.0"はSQL Server 2012を表しています。従って、今後新たなSQL Serverがリリースされ、そちらに変更するなら"v12.0"のようにする必要があります。
そして、「User Instance」プロパティ、「Initial Catalog」プロパティは、LocalDBでは不要なので削除します。
設定は以上で完了です。
動作確認
以上の変更が終わったところで、コードの変更なしでWebサイトが動作するかどうか、F5キーを押してデバッグ実行してみましょう。スタートアッププロジェクトをMRRS Webサイト、スタートページをDefault.aspxに設定するのを忘れないでください。
既定のWebページが表示されたら、今度はメニューから「マスターメンテナンス」-「場所マスター」を選択してください。次のように、場所マスターメンテナンス画面が表示されればOKです。
まとめ
連載の第一回となる今回は、ASP.NET 4.5の概要と既存Webサイト、プロジェクトのアップグレード方法について解説しました。今回のポイントは次のとおりです。
- ASP.NET 4.5ではWebフォームにも多くの新機能が追加されている
- データバインドを中心とし、イベントベースからコマンドベースで処理が記述できるようになる
- 既存Webサイト、プロジェクトのASP.NET 4.5へのアップグレードは、VSを使ってGUIで簡単に行える
- 既存Webサイト、プロジェクトで使用しているライブラリのアップデートも、NuGetを使うとコマンド一発で行える
- LocalDBが今後は推奨され、その変更は接続文字列の変更だけで行える
次回はいよいよ新機能の紹介に入っていきます。最初は「厳密に型指定されたデータコントロール」を紹介します。お楽しみに。