ビズリーチの新卒研修の特徴
ここでビズリーチの新卒研修の特徴を3つ紹介させていただきたいと思います。
ひとつ目は技術面だけでなく、企画面などの幅広いカリキュラムで構成されていることです。
たとえばデザイナーであってもフロントエンドの技術を理解していくために簡単なプログラミングやSQL、正規表現を覚えてもらったり、逆にエンジニアにもフロントエンド技術はもちろんのことデザインの基礎なども教えたりしています。また、プロダクト企画研修やスクラム研修なども組み込んでいます。
プロダクトを100%内製しているビズリーチでは、エンジニアはただコードを書いていればよいというわけではなく、さまざまな部門と協力してより良いプロダクトを作り上げていく必要があります。したがってエンジニアとしての技術力だけでなく、他の部門に対する理解を深めて欲しいというねらいがあります。また、実際に実務に入るとなかなか触れる機会のない分野に触れることで、将来のキャリアパスを考える上での一助となればという思いもあります。
科目名 | 目的 | 日数 |
---|---|---|
HTML/CSS | Webサービスのモックは自分で実装できるようになる | 3 |
Git |
Gitの操作に一通り慣れる バージョン管理の重要性を認識する |
2 |
プログラミング基礎 |
プログラミングの基礎を覚える(基本文法等) Javaに慣れる |
9 |
正規表現 |
正規表現の一般的な記法には触れる 長期的なマスターは求めないが、必要となれば調べながらでも |
3 |
SQL |
一通りのSQLが書けるようになる joinやサブクエリの理解 |
2 |
プログラミング応用 | プログラミングの基礎を覚える(オブジェクト指向、例外、GCなど) | 11 |
RDBMS |
RDBMSの概要を理解する 簡単なWebサービスのDBを設計できるようになる |
6 |
Webアプリケーション | Webフレームワークの立ち位置、使い方を知る | 4 |
JavaScript |
JavaScriptの基本的な書き方、使いみちを理解する サーバサイドJavaScript、AltJSについて知る |
5 |
Linux/インフラ |
基本的な操作、簡単なシェルスクリプトが書けるようになり、ネットワークの知識を得る PCの組み方やAWSの使い方、冗長構成の必要性やサーバの役割を覚える |
10 |
スクラム |
スクラムの要素、流れは理解する 実践により、スクラム実行の難しさと効力を理解する |
3 |
Scala | JavaとScalaの違い(プログラミングの多様性)を理解する | 3 |
情報設計 | 画面設計の際になぜそうするのか考え、具現化できるようにする | 1 |
プロダクト企画 |
サービス作りの考え方を学ぶ 実践により経験を積む |
3 |
Android |
簡単なアプリを作り、自分のスマートフォンで動かせる センサなどWebアプリケーションでは普段使わないものに触れる |
3 |
セキュリティ |
基本的なアタック手法/対策を理解する どんな攻撃が有効であるか(=どう対策していくか、気づけるか)、自分で考えられるようになる |
3 |
Twitter課題 |
Twitterクローンを一人で作ることでWebサービスを一から作る 自分なりの機能を考え、実装することを経験する |
22 |
2つ目は、研修講師が全員社内の人材ということです。
研修講師は現場のエースエンジニアが担当しており、講義内容も基本的には研修の目的に沿ったものを講師が考えています。研修で使用する教科書についてもそれぞれの講師と相談して決めており、研修用教材として有用であることはもちろん、実務に入っても長く使える書籍を選んでいます。
やはり現場で活躍しているエンジニアの講義には説得力がありますし、新卒研修の期間中になるべく多くの先輩エンジニアとコミュニケーションを取ることで、社内にどのようなエンジニアがおり、誰がどのような分野を得意としているのかを知ることができます。
「データベースならこの人」「Javaならこの人」というように困った時に誰に頼ればいいかがわかっているだけでもスムーズに業務に入っていくための助けになりますし、できればそういったコミュニケーションの中で自分のロールモデルとなる先輩エンジニアを見つけて欲しいと思っています。
そして3つ目は先輩のサポートが手厚いことです。
これは今年の研修で改善している点でもあるのですが、研修に若手の先輩エンジニアが交代で参加して相談相手になったり、既にある程度のスキルを持っている新卒には研修内容とは別により難易度の高い課題に取り組んでもらったりするような、さまざまなサポート体制を整えています。また、研修だけでなく、他の先輩社員たちと一緒にランチに行けるよう声をかけるといったコミュニケーションも積極的に行うようにしています。
今年の新卒はエンジニア、デザイナーだけでも30人近くいるため、なるべく多くの目で一人ひとりをちゃんと見られるようにし、細かな不満や不安を拾い上げることができればと考えています。
業務と研修作成を振り返ってみて気づいたこと
講師や各部署と連携しながら研修内容を具体化していく中で、自分が当初仕事につまづいていた理由もだんだんわかってきました。物事がうまくいっているときはきちんとちゃんと目的やマイルストーンが見えているのですが、うまくいっていないときは必ずと言っていいほど視野が狭くなり、本来の目的を見失ってしまっているのです。
私は自分の考えや得意分野にこだわりすぎるところがあり、気づくと自分で自分の首を絞めてしまっているということが多くありました。視野を広く持つためにも幅広い技術や深い技術、さらには技術以外の力もバランスよく身につけていく必要があるのだと思います。これらは研修の中でも散々言われてきたことだったのですが、1年経った今、ようやく納得できました。
私が1年かけてようやく気づいたことの大切さを、今年はきちんと伝わるよう研修の改善に取り組んできましたが、それでも去年の私と同様に「こんな研修やってられるか!」と思ってしまう新卒エンジニアがいるかもしれません。しかし来年にはまたその新卒エンジニアが研修を改善していくことになるはずです。こうやって新卒エンジニアがより良い新卒研修を作っていくこともビズリーチの文化のひとつとなっていくことでしょう。