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COMPANY Forum 2016「世界で通用するエンジニアに必要な経験とは」セッションレポート(AD)

「鈍感力」はグローバルに必須スキル ~ まつもとゆきひろ氏とワークスアプリケーションズが語る、世界で通用するエンジニアとは【COMPANY Forum 2016】

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英語が上達するには、まず簡単でもいいから使う時間を増やすこと

五味明子氏(左)、まつもとゆきひろ氏(右)
五味明子氏(左)、まつもとゆきひろ氏(右)

五味 やっぱり海外ってなると、どうしても英語が壁になってしまうと思うんです。私も記者として海外取材に行くと、通訳の付かない取材はハードルが高いなと感じます。英語について、みなさんどう思われますか?

まつもと そうですね。取材をする側とされる側だと、だいぶ違う悩みがあると思いますね。取材する側は英語力を求められて「かわいそうだな」と思うんですけれど、される側は聞かれているので、適当なことを言っていれば、ちゃんと英語を直してくれるんです。

五味 まつもとさんが第2部でおっしゃられていましたが、インドや中国の方の鈍感力が、私には本当にうらやましいんですね。

まつもと 「なぜ言ってることが分からないの?」って言われますもんね。民族的なものもあるかもしれませんが、見習わないといけないですね。「度胸」と「鈍感力」。いいキーワードですね。

井上 英語については、本音と建前があると思います。「英語なんて全然できないよ」という人に対して、「なんとかなるよ」「英単語を並べるだけでも、伝えたいことは伝わるよ」という建前もある一方で、やっぱり本音のとこでは、英語が話せないとストレスになる部分もあるんです。日本語だと微妙なニュアンスを伝えられるですが、英語だと妙に機械的になってしまって、結局言いたいことが伝わってないな……みたいな。妙に命令口調になっているときもあれば、ミーティングをしていても、雰囲気が堅くなっちゃうんですね、英語だと。ホントに英語力があると柔らかい雰囲気にできるのかもしれませんが、そこまでの英語力がやっぱりなくて。

廣原 英語については、「絶対に勉強しておいた方がいいな」と今になって思いますね。まつもとさんの話を聞いて「なるほど」って思ったのは、僕は今まで生きてきて、英語が必要なシーンに遭遇したことがないんです。これまでは、英語を話せないことが社内評価に影響したり、仕事が進められなかったりすることもありませんし。さすがに今は、英語ができないことがボトルネックになっているのは事実で。自分なりに勉強もしているんですけど、全然追いつかないんですよ。これからグローバルでエンジニアとしてやっていくのであれば、英語は絶対いるなって感じます。

 一方で、日本語でも何を言っているかわからない人っているじゃないですか。英語さえできれば勝ち残るのかというとそうではなく、重要なのは、「伝えたいことを相手に分かるように表現できること」ですよね。その上で英語力が無いと。まずコミュニケーション能力があった上で、英語力も必要ということだと思います。

五味 まつもとさんがフェローをなさっている楽天さんは、社内公用語が確か英語ですよね。ご覧になっていて、いかがですか?

まつもと そうですね。もう4年ぐらいになるので、だいぶ皆さん英語を使うことにも慣れてきましたね。今は、採用するエンジニアの半分以上が外国人なので、日本人しかいないのに無理して英語を使っているわけではなくて、本当に各チームに、日本語がしゃべれない人がいるのが当たり前になってきています。

 語学の学習って、英語を使う時間の長さによってしゃべれるようになる傾向があるようです。楽天では、日本人同士の雑談は日本語なんですけど、ミーティングで意思決定をするような場面は全部英語なので、慣れていってるのはあるみたいですね。あと、日本人なら通用するような同調圧力が通じないので、会社がホワイト化したのもあるようです。「みんなが働いているから帰りづらい、そんなのありえない」って。

五味 ワークスさんも最近、英語を話す社員の方も増えていると伺っているんですが、いかがでしょうか?

井上 そうですね。今、上海とシンガポールの開発拠点に100人以上いる感じで。かつ日本のオフィスにも、各海外拠点からの赴任者がいます。僕が関わっているHUEの基盤開発チームの外国人の比率は半分以上になりますね。今の採用ベースからいくと、おそらく日本人が少数派になりそうな環境ではあります。

 さっき突然思い出したんですけど、僕の中では、ネイティブの人よりも、中国の方の英語の方がわかりやすいなと思います。彼らは外国語として英語を学んでいて、多少ゆっくりしゃべってくれたりするので。もし、全く英語に自信がない人でも、お互いが外国語として話す英語は意外に分かりやすいというのは、一つお伝えしたいなと思いました。

五味 なるほど。まつもとさん、Rubyの開発コミュニティで、日本人以外の方とやりとりすることが多いですよね。これから、こちらの会場にいらっしゃる皆さんも、日本人以外開発者の方と話すことが、多分出てくると思います。壇上の3名が特別なわけじゃなく。普通のエンジニアの方が、普通に英語を使ってコミュニケーションをとらなければならなくなったときに、英語への抵抗感をなくしていくためにどうしたらいいのでしょうか。

まつもと 上手になるには使っていく時間を増やす。だから最初の一歩から上手になる必要は、あんまりないと思うんですね。

 プログラマ同士だと、GitHubのIssueで使う英語といえば「I run this program」「I got this result」「I expect this」、それくらいしかなくて、あとはプログラムでも通じる。その時に使っている英語は中学レベル以下ですよね。僕は、英語を使う心理的抵抗の方が大きいんじゃないかなと思います。

 その後に、例えば、ドキュメンテーションを全部英語で書いたり、自分の書いたソフトウェアを英語で宣伝したりするとなると、それなりに英語を勉強しなきゃいけないと思うんです。でも、普通のコミュニケーション、「こんなバグがあったので直しました」だと「I found this bug. I fixed.」で終わる。全然たいした英語じゃないんですよね。

五味 ワークスさんでは、社員の方が心理的な壁を持っていらっしゃるときに、どうやってそれを取り払っていっていますか?

廣原 社内を見ていると、若い人は特に壁を意識することなくできていると思います。やっぱり若いうちに英語を使い始めることがいいのかなと思います。

まつもと 英語も含めたコミュニケーションが当たり前な社風になれば、心理的な壁を感じないと思います。楽天はそれを強制的にやったわけですけど。ワークスも外国人エンジニアが多くなると、そっちが当たり前になって、当たり前だからこそみんながやれるようになるんじゃないかと思いますね。

井上 ネイティブばかりの環境に自分一人で行くと、みんなペラペラで、かなり劣等感を感じるかもしれませんが、中国やインドの方が、みんな外国語として英語を話す環境は、とっかかりとしていいのかなと思います。自分もそうですが、日本人は、下手な英語を話すことをやたら恥ずかしがる傾向にありますが、その恥ずかしさが少し軽減されるので。

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日本の課題は、IT業界を「憧れの職業」にすること

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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