コミュニティに参加しよう
興味のあるイベントが見つかり、参加登録も完了しました。そして参加当日です。まず確認しておきたいのが会場への入り方です。多くの場合、イベントサイトに注意事項として記述してあります。開発者向けのイベントは夜、または休日に行われるために平日昼間とセキュリティが変わっている可能性があります。表玄関からは入れなかったり、受付が閉まっていることもあります。会場に着いてから慌てることがないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
次に会場に着く時間です。多くのイベントは開始30分前に開場するようです。前の方で聞きたければ早めに到着した方が良いです。ただ、手持ちぶさたになってしまうこともありますので、適切な時間(10分くらい前など)に着くのがお勧めです。座席について言えば、日本人の特徴なのか、あえて一番前に座る人は多くありません。少し前に着いたとしても、人気のイベントでもない限りは前方は空いていたりします。受付時にはイベントサイトのユーザIDを伝えたり、受付表を見せることがあります。ユーザIDを覚えてない人は多いので、各イベントサイトでログインしてすぐに確認できるようにしておきましょう。
会場によっては飲食が可能です。飲み物は持参しておくのが良いでしょう。90分以上は座って話を聞いたり、ハンズオンやワークショップなどで手を動かすことになります。会場に自販機などが用意されていないことも多いので、会場に入る前にあらかじめ買っておくことをお勧めします。
ハンズオンで持ち込むPCについて
イベントによっては座学ではなく、実際に自分で手を動かすハンズオンもあります。この場合は自分でPCを持ち込むことが多いです(貸与が用意されている場合もあります)。そうした時には会社のPCを持ってくる人が多いのですが、管理者権限がないと無線LANに接続できなかったり、必要なソフトウェアがインストールできないことがあります。また、会場のネットワーク帯域が細いケースも多く、そうした時に開発環境(Xcode、Visual Studio、UnityなどのIDE)をダウンロードするのは厳しい時があります。イベントページを確認して、あらかじめ準備すべきものを用意して、セットアップしておきましょう。
普段業務では大きなモニターを使っていたり、ノートPCとのデュアルモニターの人は、なるべく大きめのモニターのノートPCがお勧めです。最近のWebサービスは大きな画面を想定しているものも多く、ハンズオンで小さな画面(10インチ以下など)では視認性が悪い状態になります。時々GPD Pocketのような小型デバイスやSurface Goのようなタブレットとしても使えるくらいの小さなデバイスを持ち込む人もいますが、ハンズオンでは苦しそうに手を動かしています。
質問しよう
多くのイベントで登壇の最後に質疑応答の時間が設けられます。こういう時に質問ができると理想的です。登壇者としては何かしらのフィードバックを得たいと思っていますので、何も質問がないと興味を持ってもらえなかったとがっかりしてしまうでしょう。とはいえ、ずっと聞いている状態だったのに突然質問してくださいと言われて質問できるものではありません。そのため、聞いている時から疑問点があったらメモを取るようにしておきましょう。スマートフォンのメモアプリに残しておいても良いですし、Twitterなどのソーシャルメディアに投稿する形でも良いでしょう。
多くのイベントで見かけるのが、登壇が終わった後に個別で質問に行く行為です。もちろん、皆に聞かれて困る質問の場合もあるでしょうが、多くの場合はそんなことはありません。登壇している側としては、なぜ質疑応答の時に言ってくれなかったのかと思ってしまいます。質疑応答の時であれば、みんなで質問と答えを共有できますし、個別の場合は同じ質問を繰り返し受ける可能性もあります。コミュニティはみんなで情報を共有し、みんなで成長していく場であることを忘れないでください。自分だけが答えを得よう、自分だけ得しようという考えはよくありません。レベルの低い質問かも知れない、と臆病になってしまうのも分かりますが、そこは勇気を持って質問してほしいです。
ソーシャルで拡散しよう
多くのコミュニティでTwitter用のハッシュタグを用意しています。コミュニティはどんどん拡大し、みんなに知れ渡ってほしいと願っているものです。その一助になるのがTwitterです。みんながイベントの様子をツイートすることで、そのフォロワーにもコミュニティが知れ渡っていきます。みんなが役立つ情報を発信することで、次回はぜひ参加しようと思ってもらえるのです。ツイートは自分にとってもメリットがあります。情報を受け取るだけ(インプットだけ)では脳は自然と忘れ去ってしまいます。しかしツイートすることでインプットからアウトプットに変わります。そうすると記憶の定着が良くなり、忘れづらくなります。何より忘れてしまっても自分のツイートを振り返れば思い出せるのです。せっかく参加したイベントの内容をフローとして流してしまうのではなく、自分の中でも定着させましょう。
懇親会での過ごし方
イベントの多くが勉強会と懇親会のセットになっています(懇親会がない場合もあります)。人によっては懇親会こそがメインイベントだと言うくらい大事な時間でもあります。新しい仲間を作ったり、すでに知り合っている人たちと親交を深める場にもなります。名刺交換ももちろん行いますが、開発者同士の場合はあまり役に立たないかも知れません。むしろFacebookやTwitterなどを教えあって繋がる方が後々役に立ちます。むしろ開発者でありながらソーシャルアカウントを持っていないと言われると、あまりコミュニケーションに興味がない人なのかと思ってしまうでしょう。
懇親会ではなるべく積極的に話しかけるようにしましょう。筆者もそれは非常に苦手なのですが、何とかトライしています。相手も自分と同じ立場だと考えれば、お互い話しかけるきっかけを待っている状態と言えます。こういう時には先に言ったもの勝ち、躊躇する前にとにかく話してみるのが大事です。また、簡単な自己紹介も考えておくと良いでしょう。会社と名前を言って終わり、ではなくどんな仕事をしているのか、何に興味があって参加しているのかくらい考えておくと、いざという時に慌てずに済みます。懇親会ではピザなどの食べ物やアルコールを含む飲み物が出ることが多いですが、それをただひたすらに黙々と食べ続けるのはお勧めできません。
何回かイベントに参加し、話せる相手を増やしていくことでイベントに参加する敷居が下がっていきます。最初は心理的障壁があって当たり前です。ただ、その気持ちを一歩踏み出すことができれば、きっと楽しい時間が待っているはずです。
アウトプットしよう
楽しいイベントが終わったら、ぜひその知見をアウトプットしましょう。例えばブログで書いても良いですし、TwitterやFacebookでも良いでしょう。書くならば記憶の新しい内に、早めに書くことをお勧めします。内容については自分が分かれば十分で、他人の目を気にする必要はありません。勉強会で得られた知見を書いたり、懇親会で話した内容を書いても良いでしょう。前述の通り、インプットするだけでは記憶はどんどん失われてしまいます。アウトプットする行為は、記憶の定着を促します。自分の中にある情報をまとめ、ブログなどの形でアウトプットすることで情報が知識になるのです。
そうやって書き上げたブログをコミュニティ内でアピールしましょう。みんながきっと読んでくれるはずです。特に当日参加できなかった人たちにとって、非常に役立つ情報になるでしょう。せっかく書いたブログ記事も読まれなかったら残念でなりません。しかし、その内容に興味を持ってくれる仲間がコミュニティ内にはたくさん存在します。彼らに自分を知ってもらうための手立てとしてもブログによるアウトプットはお勧めです。
登壇しよう
さらに一歩進むと登壇する機会が得られるかも知れません。大勢の前で話すなんてとても……と躊躇してしまうかも知れません。しかし、その心理的障壁を乗り越えられれば多くの得られがあるのです。まず、自分が持っている知識の再構築ができます。人に話す際にはスライドを作りますが、そこに記載するために調べ物が増えるでしょう。情報源を調べたり、社内データを検索したりするかも知れません。見やすくデータを整形したり、グラフを作ったりすることもあります。それは非常に手間暇のかかる作業ですが、その作業によって自分の中でもあやふやだった知識がきちんとした形になるのです。この知識の再構築によって、あなたの中でも知識の奥深さが生まれます。
自分では人に語れるような内容がない、と諦めないでください。筆者は自分の常識、他人の非常識と考えています。自分の中ではこんなことは当たり前過ぎてみんな知っていると思ってしまっていることでも、他人にとっては初耳だったなんてことはよくあります。発信することを恐れてはいけません。聴衆全員に役立たなくて当たり前、全体の一割の人にとって役立つ情報であれば十分ではないでしょうか。
そして発表者には多くのフィードバックが寄せられます。質問であったり、自分たちはこうしているという新しい知見を教えてもらえるかも知れません。情報は発信者の元に一番集まります。発信者はコミュニティに対して与え(ギブ)しています。そしてコミュニティにおいてはギブが多い人ほど、得られ(テイク)があるものです。積極的なギブを繰り返すことでコミュニティの中でも確固たる存在になれるでしょう。何より発表者は話しかけてもらいやすいので、懇親会でも話しかける人を探すこともありません。きっと安心して過ごせることでしょう。