解説2「ワーキングアグリーメント」
さて、次はワーキングアグリーメントの解説です。
なぜ、チームの約束事を決めるの?
期待のズレを減らし共通理解を増やし、チームとしてのパフォーマンスがアップするように、自分たちのふるまいや約束事を決めることが目的です。
チームの生産性をより高めるため、チームとして機能させるためであって、決して、働き方を縛るためのものではありません。仕事をしていく上での認識合わせと言った方が、堅苦しさが減るかもしれません。
開発ルールや就業規則、チームコミュニケーションの決まり事など、全方位のルールを敷き詰めると膨大な量になってしまうでしょう。チームでの直近のトラブルや違和感にフォーカスをあて、本当に必要な約束事を作っていきましょう。
ワーキングアグリーメントとは
ワーキングアグリーメントとは、自分たちで作る自分たちのための約束事です。リーダーやマネージャー、人事部が決めるものでありません。就業規則でも、堅苦しいルールでもなく、働きやすくするための合意事項です。
現在進行形で問題になっていることや、トラブルになりそうなことを中心に約束事を決めていきます。最低限の項目で良いので、5個くらいを目処に決めてみましょう。20個も30個もあったら、覚えられないうえに、逆にギスギスしてしまうでしょう。メンバー自身が自分事としてチームに貢献し、モチベーション高く仕事をするために、自分たちの決まり事を作っていくのです。
その際、受け取り方が異なるようなあいまいなものは避けましょう。具体的で解釈が異ならない、定量的なものや状態で表現します。また、きれいな文章にまとめることは意識しなくても良いでしょう。文章や単語よりも議論で埋めた行間にこそ価値があるのです。視座も視野も、スキルや行動特性も異なるメンバー同士で、多様性を認めた上でより強いチームになりましょう。
事前準備
以下の部材を用意しましょう。
- 付箋紙
- サインペン
- ホワイトボード
- ドットシール
- A4用紙
ゴール
A4用紙に、自分たちがより働きやすくなるふるまいや約束事のリストを書き出すことがゴールです。
当日の流れ(60分)
議論にはいくらでも時間をかけられます。まず、問題を議題の土壌に上げ、議論することが大事です。60分を目処に約束事を決定しましょう。
直近の問題や、日頃のモヤモヤしていること、先送りし続けている重要な問題、こうやってくれたら助かるなぁといったことを話し合いましょう。
次の手順で実施すると良いでしょう。
簡潔にワーキングアグリーメントの説明
「これはチームを縛るものではなく、チームとして機能させるため、生産性を上げるための約束事です」
すでに問題になっていることや、トラブルになりそうなことを各自付箋紙に3つ書き出す
「日頃問題になっていること、モヤモヤしている問題を付箋紙に書き出してください。ひとり3つです」
ひとり1枚ずつホワイトボードに貼って共有
「ではひとり1枚ずつ簡潔に説明して貼り出してください。一周したら2枚目です」
同じことを言っているのであれば付箋紙を寄せる
「似たような付箋紙は寄せましょう」
ドット投票で課題感の順位を決定する
「いろいろな問題がリストアップされました。約束事にしたい問題にドットシールで投票しましょう。ひとり3票までです」
問題点に共感した多いものから解決策を考える
「投票数の多かったものはこの5つですね。これらの解決策を考えましょう」
解決策をそれぞれが付箋紙に書き出しながら共有する
「ホワイトボードの前で立ったままで構いません。解決案を出してみましょう。付箋紙に書くのも忘れないでください」
ドット投票したり、組み合わせたりしながら約束事を決定する
「どうですか? 出てきたこれらの解決策を組み合わせて約束事にしますか? どれかを選びますか? 決めることが重要ですよ」
決定したワーキングアグリーメント要素をA4用紙に書き出す
「決定した約束事をA4用紙に書き出しましょう」
チームメンバー全員の視野に入る場所に貼り出す
「これがわれわれのワーキングアグリーメントです。朝会を実施する場所のタスクボードなど、見えるところに貼っておきましょう」