ドローンはこれからどうなっていくか
ドローンの進化と発展
「今はラジコンの延長線にあるようなイメージ」。南さんがそう言うように、多くの人はドローンを「ラジコンのようなもの」として捉えているのではないでしょうか。実は、自律的に動く事例がどんどん増えてきています。「ようやく、そういうことができるようになってきた」と、南さんはうれしそうに語っていました。
そして、ドローンは発展を遂げたことにより、人材不足が起きています。「アーキテクチャを描く中で不足している人材が見えてくる」、そう語る南さんが実際に足りないと感じているのはソフトウェア人材です。だからこそ、ソフトウェア人材が集まるデブサミでお話されたことはとても意義深いものなのではないでしょうか。
ドローンとOSS
ドローンには、オープンソースのプラットフォームが存在しています。オープンソースハードウェアのFlight ControllerであるPixhawk、機体・制御機器間通信を行うMAVLink、オープンソースのGround Control SystemであるQGroundControl、そしてオートパイロットのソフトウェアであるPX4。ドローンを動かすために必要な要素はオープンソースで一通り揃っています。そして、このDronecodeは実際に産業用ドローンで活用されています。
DroneとGround StationはgRPCで繋ぐこともできる、とのことです。このあたりは、ソフトウェアエンジニアが普段触れている技術との相性がよいところですね。
ドローン前提社会に向けて
ここまでの話から、ドローンの開発にソフトウェアエンジニアが参画するためのハードルはかなり低くなっていることが見てとれました。さて、あらためてドローン前提社会では何が実現されるのでしょうか。たとえば離島への輸送や、レポートの前半で紹介した物流・農業への適用などが挙げられるでしょう。
そういった課題解決を実践していくためにはソフトウェアエンジニアの力が必要ですが、現状、ドローン業界ではソフトウェアエンジニアが足りていないとのことです。Drone as a Serviceという概念も登場してきている今、ドローン開発はソフトウェアエンジニアにとっても魅力的な選択肢のひとつになってきているのでは、と感じました。
結び: Society5.0に向けたアーキテクチャ
ドローン前提社会。空飛ぶクルマがそこらじゅうを飛び回る、SFのような世界。実際にその世界を実現すると、空中に仮想的な「道」をつくることが必要になってきます。ドローン産業のビジョンである「安心安全」と「経済合理性」を前提に置きながら発展させていくためには、アーキテクチャの存在が不可欠であると感じました。
最後に、南さんは「ソフトウェアとソフトウェアがつながったSystem of Systemsを組みあげていきたい」というメッセージを発信されていました。夢のような世界を、テクノロジーで現実のものにしてゆく。そんな夢のあるチャレンジに挑戦していくソフトウェアエンジニアが、この講演をきっかけに増えていくんじゃないか――。そう思えるようなワクワクする講演でした。