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20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門

EclipseでAWSアプリを作成してみよう〜AWS Toolkit for Eclipseプラグイン

20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門 第10回

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Elastic Beanstalkアプリケーションの作成と動作確認

 前節で、手順の1と2が終了しました。この節では、手順3と4を行い、ローカルで動作確認済みのfirstawsjavaアプリケーションをAWS上で動作させましょう。

AWSのリージョン選択

 先述のように、firstawsjavaを動作させる環境として、Elastic Beanstalkを利用します。そのために、まず、Elastic Beanstalkアプリケーションを作成する必要があり、これは、Eclipseではなく、AWSコンソールから行います。

AWS Toolkit for Eclipseが未対応

 本来なら、AWS Toolkit for Eclipseには、EclipseからElastic Beanstalk環境を作成できる機能があります。図6のメニューに、[新規AWS Elastic Beanstalk環境]というメニューがあり、これが該当します。このメニューから表示されるウィザードを利用すると、Elastic Beanstalk環境をEclipseから作成でき、そのリモート環境にfirstawsjavaプロジェクトをひもづけることもできます。まるでローカル環境のようにElastic Beanstalk環境にデプロイすることも可能です。

 しかし、現状、この機能は利用できません。というのは、AWS Toolkit for Eclipseの推奨動作環境がJava 8と、かなり古いものとなっています。最新のPleiades All in One Eclipseは、Java 16で動作するようになっており、AWS Toolkit for Eclipseが未対応の動作環境となっています。これが動作しない原因です。

 そのため、本稿では、手動でElastic Beanstalk環境の構築、デプロイを行うことにします。

 AWSコンソールからElastic Beanstalkアプリケーションを作成する前に、リージョンを選択しておきましょう。リージョンとは、AWSのサーバ郡が配置された地域と思っておいて問題ないでしょう。AWSコンソールの右上、名前が表示された右横に地域が表示されています。そこをクリックすると、リージョンリストが表示されるので、適切なところを選択してください(図16)。

図16: リージョンの選択メニュー
図16: リージョンの選択メニュー

 図16のように、筆者は関西在住なので、大阪を選択しています。

Elastic Beanstalkアプリケーションの作成

 選択したリージョンにElastic Beanstalkアプリケーションを作成していきます。AWSコンソールの左上の[サービス]リンクをクリックしてください。図17のメニューが表示されます。

図17: AWSのサービスメニュー
図17: AWSのサービスメニュー

 このメニューから、[Elastic Beanstalk]をクリックしてください([コンピューティング]セクションに含まれています)。すると、図18の画面が表示されるので、[Create Application]ボタンをクリックします。

図18: Elastic Beanstalkのダッシュボード画面
図18: Elastic Beanstalkのダッシュボード画面

 すると、図19のWebアプリケーションの作成画面が表示されます。

図19: Webアプリケーションの作成画面
図19: Webアプリケーションの作成画面

 [アプリケーション名]として「FirstEBJava」を入力し、[プラットフォーム]から「Tomcat」を選択します。すると、[プラットフォームのブランチ]、[プラットフォームのバージョン]が、図19のように、推奨されたものが自動的に選択されます。[アプリケーションタグ]については、未入力でかまいません。

 そのまま画面をスクロールし、[アプリケーションコード]セクションでは、「コードのアップロード」を選択します。すると、[ソースコード元]セクションが表示されるので、「ローカルファイル」が選択されていることを確認し、[ファイルを選択]から、図15のtargetフォルダ内に作成されたfirstawsjava-1.0.0.warファイルを選択します。すると、自動的に画面は図20の表示になります。

図20: アップロードするwarファイルを選択
図20: アップロードするwarファイルを選択

 この状態で[アプリケーションの作成]ボタンをクリックします。すると、画面が切り替わり、数分間ほど環境構築がAWS上で行われます。その途中で、FirstEBJavaアプリケーションを動作させるための環境として、Firstebjava-env(自動命名)が作成され、その環境にfirstawsjava-1.0.0.warがデプロイされます。これらは全て自動なので、しばらく待ちます。最終的に、画面が図21のように表示されると、Elastic Beanstalk環境が無事稼働したことになります。

図21: Elastic Beanstalk環境が無事稼働したことを知らせる画面
図21: Elastic Beanstalk環境が無事稼働したことを知らせる画面

 まとめると、Elastic Beanstalkでは、アプリケーション名を入力して、プラットフォームを選択し、動作させるアプリケーションをアップロードするだけで、それに合わせて自動で環境が構築されるようになります。

 ここでは、firstawsjavaプロジェクトを動作させるために、以下のものを作成しました。

  • Elastic Beanstalkアプリケーション: FirstEBJava
  • FirstEBJavaを稼働させるためのElastic Beanstalk環境: Firstebjava-env
  • Firstebjava-env環境上で動作するアプリケーション(ソースセット): firstawsjava-1.0.0.war

AWSでの動作確認

 これで、AWS上でアプリケーションが無事稼働したので、動作確認を行っておきましょう。図21の左上に、「Firstebjava-env.….elasticbeanstalk.com」というリンクが表示されています。

 これは、おのおのの環境でユニークなので、各自、表示されたリンクをクリックしてください。すると、index.jspが実行されて、「HelloWorld!」が表示されます。さらに、このURLの末尾に/helloを付記して実行してみてください。同じく、HelloServletが実行されて、「HelloWorld!」と表示されます。

EclipseからAWSの稼働状況の確認

 最後に、EclipseからAWSの稼働状況を確認する方法を紹介します。

AWSパースペクティブ

 図5にあるように、AWS Toolkit for Eclipseをインストールすると、AWSエクスプローラービューが表示されており、このビューから、AWSのさまざまなサービスの稼働状況を確認することができます。

 さらに、これらの稼働状況をより詳細に確認するためのパースペクティブも用意されています。それを利用していきましょう。図6のAWS Toolkitのメニューから[AWS管理パースペクティブを開く]を選択してください。Eclipseは、図22の画面になります。

図22: AWS管理パースペクティブ
図22: AWS管理パースペクティブ

 まず、Eclipseがアクセスするリージョンを選択します。左上のAWSエクスプローラービューのアイコンをクリックします。すると、図23のリージョンリストが表示されるので、FirstEBJavaアプリケーションを作成したリージョンと同一のものを選択してください。

図23: リージョンの選択メニュー
図23: リージョンの選択メニュー

 すると、図24のように現在稼働中のサービスが表示され、Eclipseから確認できるようになります。

図24: Eclipseから現在稼働中のサービスが確認できる
図24: Eclipseから現在稼働中のサービスが確認できる

 図24では、Firstebjava-envをダブルクリックしてエディタ領域に詳細内容も表示させています。さらに、画面下部のEC2インスタンスビューで、現在稼働中のEC2として、Firstebjava-envも確認できます。先述のように、Elastic Beanstalkは、その実体はEC2など、既存のAWSサービスを組み合わせて、その構築を自動化したものというのが、この稼働状況からも確認できるでしょう。

Elastic Beanstalkアプリケーションの終了

 このように、EclipseとそのプラグインであるAWS Toolkit for Eclipse、さらに、Elastic Beanstalkを利用すると、簡単にJavaのWebアプリケーションを本番環境で動作させることができます。

 なお、AWSは従量課金制なので、ここで作成したFirstEBJavaアプリケーションを稼働し続けていると、その分課金されてしまいます。無料枠がある方ならばいいですが、動作確認が終了し、特に問題がなければ、破棄させておきましょう。これも、Eclipseから行えます。

 AWSエクスプローラービューから、FirstEBJavaを右クリックし、表示された[Delete Application]を選択します(図25)。

図25: EclipseからElastic Beanstalkアプリケーションを削除
図25: EclipseからElastic Beanstalkアプリケーションを削除

 削除には数分かかるので、しばらく経ってから、Elastic Beanstalkダッシュボードから該当アプリケーションが環境とともに削除されていることを確認してください。

最後に

 Eclipseを紹介する本連載も、これで終了となります。20年経ってもまだまだコーディングの現場で活躍しているEclipseの魅力の一端でも味わっていただけたのなら、嬉しい限りです。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook<個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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