システムデザイナ
システムデザイナを利用すると、アプリケーションデザイナで定義したアプリケーションを設計者や開発者がみて分かりやすい論理的なまとまりの単位でデザインできます。VSTAでは、この論理的なまとまりの単位のことをアプリケーションシステムと呼んでいます。システムデザイナで作成するアプリケーションシステムダイアグラム(VSTAでは、各デザイナで作成したモデルのことをダイアグラムと呼びます)は、アプリケーションデザイナで作成するアプリケーションダイアグラムと非常に似ていますが、この両者には先ほど説明したような意味的な違いがあるため、うまく使い分ける必要があります。また、配置デザイナの説明のところで詳しく述べますが、配置デザイナを利用するためには、システムデザイナで作成するアプリケーションシステムダイアグラムが必要となります。
では、さっそく中身を見てみましょう。図4は図3の一部をアプリケーションシステムとしてデザインしているものです。
アプリケーションシステムのデザインは、Visual Studioのシステムビューというウィンドウからデザイン対象のアプリケーションを選択することで行います。このため、アプリケーションシステム内にはいくつでも自由にアプリケーションを入れられますが、アプリケーションデザイナで定義されていないアプリケーションはアプリケーションシステム内に配置することはできません。
アプリケーションをいくつか組み合わせ、分かりやすい論理的なまとまりとしてのアプリケーションシステムを定義したならば、そのアプリケーションシステムに対して外部からアクセスするためのエンドポイント(これをプロキシエンドポイントと呼びます)を定義する必要があります。プロキシエンドポイントを定義することによって、そのアプリケーションシステムは、アプリケーションデザイナで見たアプリケーションと同様の振る舞いをできるようになります。図5は、CatalogSystemというアプリケーションシステムに対して、CatalogWebServiceという名前の新しいプロキシエンドポイントを定義している図になります。
この定義によって、CatalogSystemというアプリケーションシステムに対して、CatalogWebServiceというプロキシエンドポイントを通してアクセスするための設定ができたことになります。
このようにして作成したアプリケーションシステムは、別のアプリケーションシステムをデザインする際に再利用して使用できるようになります。図6は、WebClientSystemというアプリケーションシステムを定義し、SalesWebClientというASP.NET Webアプリケーションとさきほど定義したCatalogSystemというアプリケーションシステムを接続しているところです。
このようにして、アプリケーションシステム自体を入れ子にするようなデザインを行っていくことにより、膨大な量のアプリケーションを定義する必要があったとしても、それを少しずつ分かりやすい単位でまとめながら全体としてどのように接続されているかを視覚的に把握できるようになります。
さらにアプリケーションシステムとしてデザインしたものは、次に説明する論理データセンターと組み合わせることによって、そのアプリケーション自体が本当に配置することが可能な設定になっているのかを確認できるというメリットもあります。この内容については、論理データセンターデザイナ、配置デザイナと順を追って説明します。